[コラム:Spencer F. Katt]
リモートからできること

2003/10/15


 テレビの前で3つのリモコン、缶ビール、チートスのお気に入り徳用袋をジャグリングしていると、カウチポテトというより、むしろサーカスの芸人になった気分だ。乾ききった喉(のど)にビールの泡を流し込みながら、吾輩はふと考えた。マイクロソフトの「Windows XP Media Center Edition 2004」は、われわれのような手先の不器用なビデオユーザーの救世主になるだろうか……?

 ニューヨークで開かれたXP Media Centerの発表会は盛況だった。会場ではレドモンドの技術者たちが、PCアプリケーションとデジタル・エンターテイメントへのリモートコントロール・アクセスを盛んに喧伝(けんでん)していた。デル、HP、ゲートウェイ、そのほかのメーカーも、こぞって“ハーモニー”を奏で、新バージョンの成功は早くも約束されたようなものだ。

 が、手元のリモコンをお払い箱にするのは、もう少し待った方がいいみたいだな。発表会場にいた情報屋によると、多様なデバイスをコントロールするため、Media Centerのリモコンは赤外線リモート・コードを登録できるユニバーサル・デバイスのはずだという。しかし先週、いくつかのメーカーがMedia Center互換のリモコンを発表したけど、テレビのスイッチのオン/オフには、やはりテレビのリモコンが必要なようだ。もちろんビデオデッキの場合も同様である。

 ペイ・パー・ビューでどんな映画をやっているかチェックしていると、情報屋から聞いたもう1つの話を思い出した。

 XP Media Centerは先進的な機能をいくつかバイパスしているため、ケーブルテレビや衛星放送のユーザーは取り残されてしまうというのだ。例えば、プロバイダとZIPコードを入力すると、XP Media Centerはオンスクリーンでテレビガイドを表示するが、衛星放送とケーブルテレビのペイ・パー・ビューは含まれない。従って有料映画を見る場合、ケーブルテレビまたは衛星放送のリモコンが不可欠となる。

 マイクロソフトは、現行の番組ガイド会社もそれらのサービスをカバーしていないと主張している。まぁ、都合のいい言い訳だな。なにしろ競合するビデオ・オン・デマンド・サービスのMovielinkやCinemaNowは、XP Medea Centerに統合化されているんだから……。

 突然、電話のベルが鳴った。両手がふさがった吾輩は、ちょっと無理な体勢をとりながら、足で受話器を蹴り上げた。電話をかけてきたのは、いまだに超大型ハリケーン「イザベル」の取材を続けている旧友の1人だった。

 彼の話によると、メーソン・ディクソン線(奴隷制度の可否で対立した南部と北部の境界線)の南側では、暴風雨と停電のおかげでバックアップの重要性を人々が真剣に考えるようになったらしい。ノースカロライナ州ローリーに本拠を置く無停電電源装置のパワーウェアが、英国系の親会社インベシスからのスピンオフを考えている模様だという。ウワサでは、ゼネラル・エレクトリックがこの南部のメーカーに興味を示しているとか。

 おっと! リモコンのミュート・ボタンを探していたら、間違って「リアル・ワイルド・ガールズの春休み」なんてのを押しちゃったよ。なんてこった。しばらくテレビの前で見たくもない映画を鑑賞しなければ……。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Remotely Possible

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