[コラム:Spencer F. Katt]
裏切りの荒野で賞金稼ぎ

2003/11/18


 たび重なる取材旅行ですっかり疲弊(ひへい)してしまった吾輩は、とにもかくにもバッテリを再チャージするため、有効性が実証済みのレクリエーションに没頭することにした。もちろん、チャンネル・サーフィンだけど……。

 お気に入りのマカロニ・ウエスタンにチャンネルを合わせ、ホームメイド・ワインのグラスを片手に、愛用のビーンバックチェアをリクライニングした。しばらくすると吾輩は、オタク系の友人の誰かをSoBigかBlasterウイルスの犯人に仕立て上げ、マイクロソフトから25万ドルの懸賞金をせしめることはできないかと夢想し始めた。酔いが回った頭の中では、灰色の冷酷な目をしたビル・ゲイツが、葉巻をくわえ、束になったドル紙幣をポンチョの下に隠し、暴れ馬に乗ってレドモンドのキャンパスを駆け抜けて行った。

 それはさておき、いつものようにメールをチェックすると、アカマイがあまり知られていない、しかし重要な「IPルート分析」というニッチ市場に参入しそうだ、という情報が友人から寄せられていた。すでに小さな企業が何社か製品を提供しているが、ほとんどのサービスプロバイダにとって、その領域はいまだにブラックホールだ。というのも、ルータは切断したリンクを避けてトラフィックを転送するため、伝統的なモニタリング・ツールでは、トラフィックがIPネットワークのどのルートを経由したか、必ずしも常に確認できるわけではない。しかし、一般的にIPネットワーク問題の90パーセント以上は、IP層に関するものだといわれている。

 そのとき電話のベルが鳴った。ニューハンプシャー州で新規開店したナイトクラブ「プラム・クレージー」を偵察に行こうという友人からの誘いだった。この店は悪名高い元スパマー、サンフォード・ワラスの新しいベンチャーだ。彼、ナイトクラブの前は、サイバー・プロモーションズとか、スマートボットといったベンチャービジネスを経営していたんだけどね。少し前、ダンスのブラッシュアップでもしとこうかな、と思って買ったDVDの「Darren's Dance Grooves」がさっそく役に立った。

 ミニクーパーでニューハンプシャー州へ向かう途中、同乗者の1人から興味深い情報を得た。IBMがLotus Workplaceプラットフォームに膨大な数のe-ミーティング製品を追加することを検討中だというのだ。ひょっとすると、IBMはWebEXのようなe-ミーティング・サービスプロバイダの買収でも考えているのだろうか?

 一方、カリフォルニアから帰ってきたばかりの別の同乗者の話によると、シリコンバレーでは、シーベルとIBMの提携強化が進み、いずれシーベルがIBM用のUAN(ユニバーサル・アプリケーション・ネットワーク)を開発するかもしれない、というウワサでもちきりだとか。実際、ビッグブルーは昨年、ビジネス・プロセス統合ソフトの開発会社、クロスワールズを買収した。そこで手に入れた新技術とUANの連携を熱望しているはずだ。

 シーベルの関係者はウワサを否定しているらしいが、もしそうした動きが現実のものとなれば、おそらくシーベルのUANパートナーやIBMミドルウェアのライバル企業、すなわちBEA、TIBCO、ウェブメソッド、そしてマイクロソフトなどは、蜂の巣をつついたような騒ぎになるだろう、と友人は話す。

 そのとき吾輩の心に邪悪な考えが浮かんだ。もしかして、このうちの1人をウイルスの作成者だといって突き出せば、レドモンドを納得させることができるかも……。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Scrutiny on the Bounty

Copyright(c) eWEEK USA 2002, All rights reserved.

Spencer F. Katt バックナンバー

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)