[コラム:Spencer F. Katt]
EMCの広告代理店と契約したデルの狙いは?

2004/8/24


 パウダーブルーのシャツと短パン姿で、その日1日過ごすための場所を求めて、吾輩はケープ・コッドの砂浜を歩いていた。そのとき突然、ポケットから「Do Ya Think I'm Sexy?」のメロディが鳴り響いた。新しい携帯電話の着メロに、その曲を設定していたのだ。不意をつかれた吾輩は、両手に持っていたクーラーボックスとラウンジチェアとビーチバッグを取り落とし、丹念に作り上げられた砂の城を完膚なきまでに破壊してしまった。

 それはさておき、電話をかけてきた相手によると、最近ストレージ分野でEMCとデルが急速に接近しつつあるという。EMCはデルと共同ブランドで高価格ストレージシステム戦略を推し進めているが、その契約を2008年12月まで延長したそうだ。またEMCは、デルの広告宣伝を担当するアウトキャスト・コミュニケーションズと広告代理店契約を結んだらしい。EMCが数あるエージェンシーの中から同社を選んだのは、単なる偶然だろうか? それとも近い将来大きな連合が形成される予兆だろうか?

 バケツとスコップを持って遊んでいた子ども2人をけ散らして、ようやく吾輩はその日のキャンプ地を確保した。子どもたちは理由もなく泣きながら、吾輩の足元に大量の砂をぶちまけ、どこかへ走り去った。くそガキどもめ。

 なにはともあれ、吾輩は海辺のカフェのWiFiホットスポット内に願ってもない一角を占有し、インターネットも自由に利用できる環境を実現した。さっそくメールボックスをチェックしてみると、ある友人からメールが届いていた。それによると、シマンテックが自社製品とWindows XP SP2を統合するためにリリースしたパッチに、マイクロソフトがひどく腹を立てているらしい。

 SP2の主要なパーツは、いうまでもなくWindows Security Centerだ。このツールは、ファイアウォールやアンチウイルスソフト、そのほかのセキュリティ機能が有効になっているか、無効になっているかを示す緑と赤の信号がダッシュボードに表示される。ところがシマンテックは、SP2コードの一部を書き換え、自社のアンチウイルス製品が無効、あるいは有効期限切れになっていると、Security Centerの信号が赤になるのではなく、緑の点滅になるようにしてしまったらしい。マイクロソフトのエグゼクティブたちは、生意気なアンチウイルスベンダに天罰を与える作戦計画が完成するまで、レドモンドの従業員にシマンテック関係者とのコンタクトを厳禁したそうだ。

 豪華なランチセットを広げ、チェアに寝そべっていると、いつしかヒッチコックの映画のように無数の海鳥が吾輩を遠巻きに囲んでいた。目を閉じると、いつの間にか眠ってしまったようで、BlackBerryのバイブレーションで目が覚めたとき、ランチはあらかた海鳥に食い散らかされていた。

 情報屋から送られてきたメッセージによると、コンピュータ・アソシエイツは近く旧式化した製品群をカタログから落とすらしい。「BrightStor CA-ASM2 Backup and Restore」や「AllFusion CA-Panvalet」などがカタログ落ちになるもようだ。 また、IBMの古いメインフレームOS、VSE対応の製品群も寿命を迎え、開発が中止されるという。

 クーラーボックスから冷えたビールを取り出そうとしていると、向こうからがっしりとした体つきの男が涙目の2人の子どもを連れて、すごい剣幕でこちらに近づいてくるのがみえた。あわてて立ち上がり、撤収の準備に入ると、ある友人から携帯に電話がかかってきた。彼がつかんだ情報によると、ファウンドストンは近くコンサルティング部門を売却するかもしれないという。吾輩は背後に3人組の殺気を感じながら、電話の相手に叫んだ。「どうやらあとできみにコンサルティングしてもらうことになりそうだよ!」

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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