[コラム:Spencer F. Katt]
ウォー・ラウンジング

2004/10/26


 アメリカン・リーグ優勝決定シリーズで、レッドソックスがヤンキースに2連敗したとき、「やはり髭(ひげ)をそるべきではなかった」と吾輩は激しく後悔した。レッドソックスが序盤苦しんだのは、もしかするとゲン担ぎを侮った吾輩が原因だったかもしれない……。

 劣勢の流れを変えられない自分の無力さを嘆いていると、コンピュータ・アソシエイツの知人から電話があった。彼の話によると、同社のリストラ計画に応じる形で、50人ないし70人の販売部員が隊列を組んで本社のドアから出て行ったという。CAはまた、ソフトウェア開発の多くをインドにアウトソースしており、そのあおりで開発部門でも大幅な人員削減が進行中らしい。

 電話を切る前、吾輩はCAの知人に、ETREカンファレンスに出席している前CEOのサンジェイ・クマーが、カンヌから帰って来るかどうかの賭けに参加するか聞いてみた。ニューヨーク州の判事がクマーのフランス行きを許可したことに対して、連邦検察当局は怒り心頭だという。そりゃそうだろう。懲役100年の判決を受けるかもしれない大金持ちなら、国外逃亡する可能性を完全に否定することはできないからね。

 それはそうと、こうなったらグリーンモンスター(左翼後方の大きなフェンス)の横で呪術でも……、と吾輩はボストンのフェンウェイ・パークに向かった。が、しかし、そこで吾輩は、ダフ屋に払うチケット代があれば、最新型のワイドスクリーン・テレビが買えることに気がついた。肩を落としながらヨーキーウェイを歩いていると、途中で知り合いの業界関係者と遭遇した。

 彼の話によると、サンはまもなく、どこかの国の政府とJava Desktop Systemの納入契約を結んだことを発表するもようだ。また、サンはいま、中東と北アフリカのデスクトップおよびエンタープライズ・ビジネスを虎視眈々(こしたんたん)と狙っているらしい。その販売戦略の一環として、1年間のJava Enterpriseライセンスを購入すれば、ユーザーにSun Fire V20zサーバを無償提供するそうだ。

 そのとき突然、吾輩の身体にバンビーノの亡霊が触れた……。と思ったら、BlackBerryのバイブレーションだった。友人からの情報提供で、「アップル」の商標使用をめぐり、ビートルズのレコード会社と争っていたアップルコンピュータは、訴訟を担当していた法律事務所、リンクレーターズとの契約を解除したらしい。同法律事務所が進めていた和解案が、「ジョブズの設立した会社」にとってあまりにもコストがかかりすぎるからだという。

 フェンウェイの近くにある居酒屋「キャスク&フラゴン」のスツールに腰を下ろしたとき、携帯電話が鳴った。かけてきたのはWiFiセキュリティ専門家の友人だ。彼の口から“ウォー・ラウンジング(war-lounging)”という聞きなれない言葉が飛び出した。グローバルでアドホックな無線ネットワークを構築するワームをばらまき、世界レベルのウォー・ドライビングを可能にする手法だという。

 ふむ。どうやら実家の地下室あたりでくつろぎながら、ハッキングに精を出そうというわけか。「彼らはもっと人生を楽しむべきだな」などと考えながら、吾輩はレッドソックスがリーグ優勝するまで絶対に下着を取り換えないぞ、と心に固く誓ったのであった。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Darned Sox

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