[コラム:Spencer
F. Katt]
OSRMがバルマーの主張に反論
2004/12/7
「みんな頑張ってるじゃないか!」と吾輩は苦笑した。観客を巻き込み乱闘騒ぎを起こしたピストンズとペーサーズしかり、シークレットサービスを奪還するためにチリ人ガードマンのスクラムに飛び込んだブッシュ大統領しかり。まるで世界中でドタバタ騒ぎをやっているみたいだ。そういうのから比べれば、ハイテク業界のいざこざなんて、まだまだ紳士的といえるかもしれない……。
それにしても、アジア・ガバメント・リーダーズ・フォーラムでオープンソース・リスク・マネジメント(OSRM)のレポートを取り上げ、Linuxには228件もの特許侵害があると真顔で主張したマイクロソフトのCEO、スティーブ・バルマーに本物のパンチを食らわせば、権威あるWTO(世界貿易機関)もWWE(プロレス団体)顔負けのエンターテイメントになるだろうな。
問題のレポートによると、Linuxが侵害している可能性のある特許は、法的な有効性は別にして、283件あるという。しかし、「将来、WTOに加盟するすべての国で、それらの知的財産権に対価を支払うことになるだろう」というバルマーのFUD(不安・不確実・不信)に満ちたコメントに対して、OSRMはWebサイトに反論を掲載した。それによると、有効性が確認されていない特許に対する侵害の可能性は、同規模の市販ソフトウェア・パッケージの場合とほぼ同等であり、市販パッケージとは異なり、これまでフリーのオープンソース・パッケージが特許侵害で訴えられた事例はないという。
一方、アンチSCOサイト、Groklaw.netを運営するジャーナリストで、パラリーガルのパメラ・ジョーンズが、OSRMの訴訟リスク調査部門ディレクターを辞任した。ジョーンズは、SCOの最近の攻勢が「私とOSRMの関係をねじ曲げ、LinuxにIP(知的財産権)リスクをもたらした」としている。OSRMとの関係をSCOにこれ以上攻撃されないように、ジョーンズは職を辞したわけだ。「お金は魅力だけど、整合性はもっと大切」と彼女は語っている。
そのとき携帯電話の着メロに設定していた「Gonna Fly Now」(注)が吾輩の夢想をかき消した。電話をかけてきた友人によると、まもなくヒューレット・パッカードが全製品ラインに関連する重要なセキュリティ技術をWebキャストで発表するらしい。
電話を切ったあと、吾輩は生卵を飲み下し、「そろそろ本気で減量するかな」と重い腰を上げた。が、勇んでジョギングに飛び出したものの、情けないことに、オフィスから30フィートも走らないうちに息が続かなくなった。力なく歩道に座り込んでいると、いまは閉鎖されたオラクル認証トレーニングサイト、OraKnowledge.comについて話す声が、どこからともなく聞こえてきた。どうやら米ビジネス改善協会には、発送や返金に関する問題で、同サイトのオーナー、エド・ハスキンスに対する苦情が山ほど届いていたもようだ。ハスキンスはまた、OraSecure.comというサイトも運営していたらしい。ロバート・アレンというセキュリティ・コンサルタントのサービスを提供していたのだが、彼の正体はただの経歴詐称のストックフォト・モデルだったとか。
その手のトレーニング・セッションって、吾輩のエクササイズと同じで、どこも長続きしないねぇ……。
[注] 「Gonna Fly Now」→映画『ロッキー』のテーマ曲。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
Open Warfare
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