[コラム:Spencer F. Katt]
トレードマーク、解けなかったら絞首刑?

2004/3/2


 もしかするとクレイグ・バレットは、「インテル・デベロッパ・フォーラム」で、IT産業に暗雲が垂れ込めていると嘆いていたかもしれないな。吾輩はベンダ4社を回って食事にありつけず、空腹を抱えてサンフランシスコの街を歩きながら、いまだにシリコンバレーの企業に豪華なオープン・ビュッフェと豊富なリフレッシュメントが戻ってこないことを嘆き悲しんだ。

 栄養不良に陥りかけた吾輩は業界のベテラン3人と偶然遭遇し、チャイナタウンのレストランでようやく食事にありつくことができた。さっそく吾輩が1本目のチンタオ・ビールを喉(のど)に流し込んでいると、彼らは近く予想されるセールスフォース・ドットコムのIPOについて話し始めた。ベニオフは2月25日にビッグアップル(ニューヨーク)で開催する「カスタマ・サクセス・デー」で、ビッグブルー(IBM)とともにビッグ・アナウンスメントを計画しているらしい。ベテランの1人によると、おそらく投資家の好奇心を強くかきたてるものになるだろうという。

 テーブルを囲むもう1人のベテランから、SCOがオブジェクト・リレーショナル・データベース管理システムのPostgreSQLを搭載した「OpenServer Update Pack 2」の出荷を開始したと聞いて、吾輩は思わずスパイシー・オレンジ・チキンを喉に詰まらせた。とっさの判断でハイムリッチ操作(気管に詰まった食物のかけらを取り除く緊急措置)を成功させた彼に、吾輩は「SCOが訴訟以外のことをやっているなんて知らなかったよ」と涙目で感謝した。

 その後、テーブルの話題は吾輩のホームランド、そう、いまや課税大国と呼ばれるマサチューセッツ州のことに及んだ。とてもフレンドリーなことで知られる州税務局の人々は、最近「ディスカバー」と呼ぶアプリケーションを実装したそうだ。そのアプリケーションは、所得に関して虚偽の申告をしたとおぼしき納税者の財務情報を公共の(いずれは非公開)データベースにリンクするものだという。吾輩は、それを聞いて青くなった。ボストンのチャリティー・オークションに提供したエルビスの肖像画の価格をいくらだと申告したか、酔っ払った頭の中で必死に思い出そうとした。とりあえず伝票がテーブルに届く前に、吾輩はそそくさと礼を述べ、逃げるようにサンフランシスコ空港から帰りの便に飛び乗った。

 自宅に戻り、いつもレシートを放り込んでいる靴箱の中をかき回しながら、BlackBerryのスイッチを入れると、ある情報屋からメールが届いていた。それによると、オラクルは10gデータベースのStandard Editionで、HTMLデータベース開発ツールがすぐ起動するように改良することを検討しているという。ハードコアなプログラマではないユーザーでも簡単に利用できるようにするためらしい。それがどうしたというのだ? 重税にあえぐ吾輩は、勝手にファイリング・システムと呼んでいる書類のコピーの束を眺めながら叫んだ。「こりゃ刑務所行きだな!」。しかし悲痛な面持ちでイーベイを検索してみると、“そうめったにない特別な肖像画”の価値に関する吾輩の鷹揚(おうよう)な見積もりが、それほど的外れでもないことが分かり、ちょっとホッとした。

 そのあと、ある友人と電話で、オーストラリアのキルト枕メーカー、ピューラックス・フェザー・ホールディングスが「クオリティ“マイクロソフト”ダクロン・ホローフィル」という商標を利用していることについて、レドモンドが苦々しく思っているという話をしていたら、彼は“lin---s.com”のことを教えてくれた。それは、マイクロソフトの訴えでLindowsという名称をビジネスに用いることを禁止したオランダの裁判所の仮処分命令を回避するために、Lindows陣営が考えた方策らしい。彼らは、「ハングマン」という子供用のゲーム(アルファベットを組み合わせて英単語を完成させるゲーム)からヒントを得て、Webアドレスの一部の文字を空欄にしたのだ。うーん。解けなかったら処刑されちゃうのかな。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Trademark Humor

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