[コラム:Spencer F. Katt]
昔の名前で……

2004/3/16


 ナプキン立てとオリーブの空き缶で急場しのぎのアンテナを作り、ようやく吾輩は「サースティ・ベア」のバーから通りをはさんだモスコーニセンターのWiFiリンクに接続することができた。なかなかの機転を自賛しながら、吾輩はただちに記事を書き始めた。その内容はというと、サンフランシスコで開催された今年のRSAのイベントでは、だれもがネットワーク・アソシエイツ(NAI)による脆弱性管理会社ファウンドストンの買収を確信していた、というものだ。もちろん、誰もがというのは、両社のCEOを除いて、である。

 すると突然、面白い情報が聞こえてきた。隣に座っていた2人組の男たちが、マイクロソフトの開発者の1人について笑い話をしていたのだ。耳をそばだてて聞いていると、なんでもその開発者の電話番号は、アーノルド・シュワルツェネッガー カリフォルニア州知事の電話番号と市外局番の数字が1つ違うだけなのだそうだ。シュワちゃんを真似て、「ハロー、サラ・コナーかい?」なんて電話に出たりして……。

 ところで今回ちょっと気になったのは、NAIが社名を元のマカフィーに戻そうとしているかのようにみえたことだ。というのも、NAIはイベント会場のブースにマカフィーの旗を立てていたり、CEOのジョージ・サムヌークが胸に付けていたショー・バッジに“McAfee Security”という装飾文字が光っていたりしたからだ。

 そのほか、カクテルナプキンに走り書きしたメモを解読しながら、吾輩はいくつかの事実をランダムに思い出した。RSAイベントの最大の呼び物は、XYZバーで開かれたシュワルツ・コミュニケーションのパーティだった。ビロードのジャンプスーツを着た2人組の妙に現実離れしたドイツ人ツーリストたちは、その夜、ブレークダンスを踊った。前菜にアヒルのソーセージは絶対に注文してはいけない……。記事を送信したあと、吾輩はラップトップを抱えたまま空港に急ぎ、ラスベガス行きの便に飛び乗った。つぎはIBMのPartnerWorldの取材だ。

 それにしても、PartnerWorldという名称は技術系のイベントというより、どちらかというと独身者のお見合いパーティのようだな、と吾輩はいつも思う。もっとも、多くの女性来場者が吾輩をゲストスピーカーのロバート・レッドフォードと間違えたことを考えると、それほど悪いというわけでもない。「追憶」のあなたの演技はすばらしかった、と吾輩に話しかけてきた来場者の1人によると、ビッグブルーとオープンソース・データベース・ベンダのMySQLが提携したというウワサ話が会場でささやかれていたそうだ。IBMは統合化をサポートするツールを持っているので、SMB市場の新しい顧客層を取り込もうと目論むことは十分考えられるね。

 それはそうと、IBMはPartnerWorldの来場者にBlackBerryを無料で配ったことを後悔したんじゃないだろうか。なにしろ初日の基調講演といくつかのセッションでは、スピーカーが聴衆に話を聞いてくれるよう懇願せざるを得ないほど、人々は新しいオモチャに夢中になっていた。

 このイベントでいちばん面白かったのは、会場でHPの話題が出たとき、IBMのエグゼクティブが「ああ、プリンタメーカーのことですか?」と応答したことだった。そこまでコケにしなくても……。

 ビッグブルーはまた、リセラー限定の非公開展示会場で、自社のテレビコマーシャルのパロディー版を流していた。例のアクティブ・プロテクション・システム(ハードディスク用のエアバッグみたいなもの)を試すために、同僚のThinkPadと勘違いして自分のマシンを床に落とす男の話だ。パロディー版でゴミ箱行きになるラップトップの持ち主を演じたのはデルの元社長、スティーブンだった。もし彼が社会復帰しつつあるとすれば、景気回復も近い?

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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