[コラム:Spencer F. Katt]
アトランタで風とともに聞いた話

2004/4/6


 暑いはずのアトランタは、突然の寒波襲来で凍てつくような寒さだった。でも、まぁ、仕方ない。吾輩は仕事でニューサウスの中核都市にやってきた。そう、無線通信イベント「CTIA Wireless」 を取材するためだ。

 開催初日、来場者に1つのクイズが投げかけられた。「その男はアレックス・トレベック(人気クイズ番組「ジェパディ」の司会者)の仕事を奪うことはないだろう」。さて、その男とは? 答えは「スコット・マクニーリ」。サンのボスのプレゼンテーションは、人気クイズ番組「ジェパディ」のパロディで始まった。が、期待したのもつかの間、そのうち退屈なデモへと流れていった。

 いつものことではあるけど、展示会場のフロアより、関連行事の方がなにかと収穫が多かった。セブン主催のパーティでは、デンジャーの開発者たちが「HipTop」(携帯電話/PDA)の次期バージョンを持ち込んでいた。今年末に出荷予定の新しいTipTopは、より軽量化され、スマートになっている。実際、並べてみると、現行機種が野暮ったいほど分厚くみえたね。

 一方、アトランタのコカコーラ・ロキシー・シアターでは、マルチベンダ・スポンサードでアラニス・モリセットのコンサートが開催された。数百人の観客とともにコンサート会場に押し込められた吾輩は、彼女の怒りと愛に満ちた陰鬱なメロディが流れる中、ノキアが貸してくれた新開発のNokia 6820をいじりまくっていた。そのメッセージング・デバイスでカリフォルニアの友人に電話すると、彼は、ラリー・エリソンがこのところローソン・ソフトウェアに入り浸りだという話を教えてくれた。どうやら経営幹部と話し込んだり、社内見学などをしているらしい。同社は人事、財務、厚生部門に強いエンタープライズ・アプリケーション・ベンダだ。ピープルソフト買収に失敗したときの対策の1つとして、ローソンを狙っているのかな?

 翌日の夜、吾輩はまたしてもコンサート会場にいた。今度はソニー・エリクソンがスポンサーとなったトレインのコンサートだ。アンコールの声に応えてバンドが再登場したとき、ステージライトはマイクの上にかかった黒い紐(ひも)なしブラを照らし出した。それをみたリードボーカルは、「僕もソニー・エリクソンに機種変更するぞ!」と叫んだ。

 ソルトレークシティで開催中のノベルの「BrainShare」をチェックするため、吾輩はワサッチ山脈エリアの友人とインスタント・メッセージで情報交換した。友人の話によると、いつも物静かなノベルのCEO、ジャック・メスマンが、ジェームス・ディーンばりに髪の毛をワックスで固めてキーノートに登場し、こぶしを振り上げて「ノベル・イズ・バック!」と叫んだそうだ。そして「今年のBrainShareにWindowsはいらない」と語り、同社の全従業員がWindowsからLinuxとOpenOfficeへ移行する方針を明らかにしたという。

 また、いつもは穏やかなリーナス・トーバルズも、「No bull!」と書かれたアンチ「Longhorn」Tシャツを着て聴衆の中に飛び込み、人々を扇動していたらしい。ノベルは現在、KDEとGNOMEの優れた点をLinuxデスクトップに統合することを目指しているが、友人によると、同社はGroupWise for LinuxとSuSE Linux Openexchangeコラボレーション・スイートを強化するために、同様のコンボ戦略を打ち出す可能性が高いという。

 それはさておき、メスマンはQ&Aまでに医者の診断を受けた方がいいかもしれない、と友人は心配する。というのも、このCEOはメディアの記者たちに、「ノベルのLinux戦略、特にデスクトップに関しては、決してアンチ・マイクロソフトではない」と真顔で話したのだそうだ。そして、「Linuxのソースコードを所有するのはオープンソース・コミュニティだ。従って、マイクロソフトと対決するのは、ノベルではなく、オープンソース・コミュニティなのだ」と力説したという。メスマンはアラニスと曲作りでコラボレートできそうだな……。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Sage of Atlanta

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