[コラム:Spencer F. Katt]
広告自動挿入メールは信用できるか?

2004/5/11


 なんだよ、またエラーメッセージか……。 いつも世話になっている貧乏出版社がオンライン旅行システムを立ち上げたというから、ちょっと試しにアクセスしてみたけど、吾輩の忍耐はどんどん限界に近づいていった。設立の趣旨は、つまり、トラベル部門を切り離し、彼らに安いフライトとホテルを探す仕事に専念させ、少しでも経費を削減しようってわけだ。ドットコム・バブル崩壊後、米国経済が順調に回復する中、その出版社ではいまだに経理担当者がビジネスプロセスの締め付けに躍起になっている。

 吾輩が今回必死に手配しようとしていたのは、ラスベガスで5月18、19日に開かれるピープルソフトの「Leadership Summit」を取材するための出張旅行だ。このイベントには、ビルが参加する。といっても、あのビルではない。第42代米大統領ウイリアム・ジェファーソン・クリントンがスピーチするのだ。もちろん開催要録に前大統領の名前があったとしても、必ず会場に現れるとは限らない。

 奔放なライフスタイルにもかかわらず、吾輩の記憶をつかさどる脳細胞はまだ若干残っている。その記憶が正しければ、ババ(ビル・クリントンのニックネーム)は最近、オラクルとSAPのイベントをキャンセルした。そのうちの1つは、確かヒラリーのサイン本販売会に顔を出すためだった。とにかくこいつはそういう男なのだ。

 そういえば、ラリー・エリソンはFOB(フレンド・オブ・ビル)だった。いや、ビルがFOL(フレンド・オブ・ラリー)だったのかもしれない。いずれにしても、アーカンソー州ホープ出身の大統領は、2001年のオラクル・ユーザーカンファレンスでスピーチした。ホワイトハウスを去ってから、初めてギャラをもらった講演だった。ラリーはビルが大統領執務室を出たあと、彼のスポークスマンだったジョー・ロックハートを雇って生活の面倒を見ている。にもかかわらず、ビルは2002年にピープルソフトのイベントに出席し、以来、同社のレギュラーの座に収まっている。2人の愛はどうなっちゃったのだろう?

 それはさておき、どうにか旅行の手配ができた吾輩は、両手を伸ばして思いっきり背伸びをしたあと、いつもの酒場へ向かった。そこで友人と飲みながら、グーグルの「Gmail」について議論した。「だいたい電子メールの内容を判断して広告を自動挿入する文字認識機能ってのは信用できるのかね。もしベルサ叔母さんが甥のティミー坊やに、今度の誕生日は“大きなモノ”を持って行くからね、とメールを送ったら、ペニス増大マシンの広告が入ったりしないか?」と友人は心配する。

 と、突然、吾輩のBlackBerryがうなりはじめた。知り合いのシステムインテグレータからのメッセージだった。Windows Server 2003のTerminal Servicesのライセンスに関する苦情だ。マイクロソフトは今回から、Windows Server 2003のTerminal Servicesを利用するすべてのデバイスにライセンスを要求することにした。従来、Windows 2000 Proなどのデスクトップは、アプリケーション・モードのTerminal ServicesでWindows 2000サーバへアクセスする場合、ライセンスは不要だった。なぜならそれはデスクトップOSの一部であったからだ。Terminal Serverユーザーの多くは、Citrixも利用している。ライセンス方針の変更により、ユーザーは双方に料金を支払わなければならなくなった。

 かなり酔っ払ってはいたが、ライセンス・ポリシーの変更が今回のもまた、マイクロソフトに少なからぬ利益をもたらし、ライバル製品のユーザーを激昂させるであろうことは十分予想できた。まぁ、そんなことより、オンライン旅行システムとの苦闘で疲れ切った身体を癒すために、吾輩はとりあえずもう1杯オーダーすることにした。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Summit Up

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