[コラム:Spencer F. Katt]
ハイテク・ギャングが夢のあと

2004/5/18


 あの愛すべきハイテク・ギャングたちは、いったいどこへ行ってしまったのだろう? 古きよき時代、プレーヤーたちは製品よりも面白かったものだけど……。

 ラリー・エリソンは昨年、ピープルソフト買収でひと騒動起こそうとしたが、ここにきて派手に打ち上げた花火はすっかり勢いをなくしてしまった。あの口うるさいスコット・マクニーリも、マイクロソフトからばく大な持参金を受け取って、早くもスティーブ・バルマーの尻に敷かれてしまったように見える。そして一時はコーレルの王様と女王様と呼ばれたマイケル&マーレン・コープランドも、どこに行っちゃったんだ? 吾輩のパーティでは、いつも愉快なネタを提供してくれたのに。

 コーレルの新しいオーナーがコープランド夫妻のように華やかであることを期待したり、同社がオープンソースあるいはLinuxベースの製品に集中することを望んでいる人々は、失望するかもしれないね。昨年、サンフランシスコのベクター・キャピタル・グループに買収されたコーレルは、2001年にLinuxデスクトップ部門をザンドロスに売却し、LinuxベースのMS Office対抗製品の開発を断念するとともに、オープンソース路線から離脱した。昨年、概念実証製品として「WordPerfect for Linux」の最新版をイーベイ・ストアで売り出したものの、6カ月間に60本ほど出荷したに過ぎない。同製品は現在、コーレルのWebサイトで25ドル支払えば購入できる。

 ハイテク業界人たちの往年の奇行を懐かしんでビールを飲んでいると、マイケル・コープランドのSMSメッセージング会社「ZIM」がなんとなく実を結びつつあるように思えてきた。もし吾輩の目に狂いがなければ、同社のWebページで、批評家たちが「プアマンズBlackBerry」と呼ぶ製品に物理的にくくりつけられている女性は、あの麗しきミセス・コープランドに違いないね。

 そんな吾輩の夢想を打ち破ったのは、セキュリティ業界の情報に強い友人からの電話だった。彼の話によると、以前からウワサのあったネットワーク・アソシエイツ(NAI)による脆弱性管理会社ファウンドストンの買収は、どうやら失敗に終わったもようだ。なんでもNAIでは、コスト削減が最優先課題になったらしい。

 電話を切ったあと、吾輩はカナダのもう1人の有力プレーヤー、コグノス会長ロン・ザンボニーニのことを思い出した。このハイテク業界の大立者は、物事を鮮やかに演出するテクニックに長けている。タータンチェックのパジャマ姿で収益報告を行ったこともあるスコットランド生まれのザンボニーニは、先日開催された「ガートナー・ビジネス・インテリジェンス・サミット」で、長年のライバルであるビジネス・オブジェクツと一時的な休戦協定を結んだ証に、同社のCEOベルナルド・リオトーからスコッチのボトルを受け取った。

 そのボトルには、14年の長きにわたってライバル関係にある両社のCEOをカリカチュアライズしたラベルが貼ってあった。ザンボニーニはお返しに、例のタータンチェックのパジャマをリオトーに贈ればよかったのに。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Should Auld Acquaintance Be Forgot

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