[コラム:Spencer F. Katt]
コミカル・アリをイラクに戻せ
2004/5/25
テレビのスポットCMを見ながら、「この曲ならサッチモ・バージョンの方が好きだな」などとつぶやいていると、最後にいきなりMCIのロゴが現れてびっくり。いままでなんとなくIBMか女性用生理用品のコマーシャルだろうと思って、まったく気にもとめていなかった。それにしても、MCIのことを視聴者は知っているのかな? 少なくともその日、パーティで一緒だった吾輩の友人で、MCIに関心を持つ人間は1人もいなかった。
「電話会社だろ、キャンディス・バーゲンが広告に出てたやつ。いや、あれはスプリントだっけ?」というのが、友人たちの一般的な反応だ。そういえば、マイク・カペラスが出した最初の業務命令は、社名をワールドコムからMCIに戻せ、というものだったらしい。それを聞いたとき吾輩は大笑いしたものだけど、いま考えると大正解だったかもね。おそらくエンロンも社名をオプラとかなんとかに変更して、CMで「ワーキング・オン・サンシャイン」を流すべきだな。
つまらないジョークで場をしらけさせたあと、吾輩は友人たちに別れを告げ、タクシーをつかまえて自宅へ向かった。後部座席にふんぞり返っていると、携帯電話が鳴った。ワシントンD.C.にいる口の軽い友人からだった。彼がバクダッドの関係筋から得た情報によると、新たに任命されたイラクの電気通信委員会が来月末までに通信規制法案を完成させるのは難しそうだという。
事実、最近ヨルダンで行われた短い話し合い以外、米国の電気通信関係者がイラク通信省の役人と顔を合わせる機会は、これまでほとんどなかった。しかし、連合軍暫定当局は徐々に電気通信政策のロードマップを明らかにしつつあり、そこには公共投資と民間投資を促す優遇措置も含まれている。旧政権下では、電話ネットワークは完全な国営だった。いまグリーンゾーン(米軍管理区域)で飛び交うゴシップによれば、イラク北部の電気通信業界は政府とファミリー・ビジネスの泥仕合で身動きが取れなくなっており、ユーザーフレンドリーで公平な競争市場を育成する道は遠いという。こりゃ、マイク・カペラスをイラクに送り込むか、バクダット・ボブ(サハフ元情報相)を広報担当として帰国させるべきだな。
自宅に戻ると、情報屋から連絡があった。CAがどうやらID管理ベンダのネッテグリティ買収に動き出したもよう。いい機会だから、社名、変えたらいいのに……。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です
[英文記事]
He
Left His Heart With WorldCom
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