[コラム:Spencer F. Katt]
HPCをめぐるマイクロソフト社内の揺れ
2004/6/15
ほぼ1カ月の長期わたるラスベガス滞在を終え、マッカラン空港へ向うタクシーの中で、吾輩は激しい空腹感に襲われた。「ああ、ケン・クロンが座るCAワールドのラウンドテーブルには、さぞかしご馳走がいっぱい並んでいるんだろうなぁ」。よし、と吾輩は意を決して、タクシーの運転手にUターンを命じ、サンズホテルへと向かったのであった……。
記者会見が始まって30分が経過し、そろそろビュッフェの方にみんなの気が向き始めたころ、CA暫定CEOのクロンが広報担当者に合図した。すると、今回新たにCAのチーフ・ソフトウェア・アーキテクト(当時)に任命されたサンジェイ・クマーが会見場に姿を現した。記者たちの注目は一斉にクロンからクマーへシフトしたが、根っからのエピキュリアンである吾輩はそのとき、会長のルー・ラニエリが空腹を訴えながらビュッフェに向かい、チャウダースープをボール一杯飲み干して、ターキーバーガーにかぶりつく姿を見逃さなかった。「いずれにせよ、私が前職にとどまっていれば、皆さんはとっくのとうに空腹を満たすことができたに違いありません」とクマーが冗談を飛ばすと、会見場は爆笑に包まれた。
吾輩は胃袋を満杯にしたあと、ふたたび空港へ向かい、ニューヨーク行きの便に飛び乗り、「CeBITアメリカ」の取材へ向かった。このイベントは本来PC関係のエキスポではないが、人影まばらな展示会場を徘徊(はいかい)していると、いくつか興味深い展示品が目にとまった。なかでもスウェーデンの周辺機器メーカー、スウェデクスが出展していた天然ウッド仕立てのモニターやキーボード、マウスが、吾輩の購買意欲を激しく刺激した。
また、サイバーツリー・テクノロジーズも吾輩の目を釘付けにした1社だ。トレンディな無線電話ヘッドセットやページャーに加え、同社は電子バスト・マッサージ器「Breast Linder」を出展していた。ちょうど野球のボールを2個溶接したような形をしたバスト強化デバイスで、人目を気にせずをチェックしていると、なぜか知らない展示会に迷い込んだのではないかと不安になり、思わずCeBIT会場の表示を確認したほどだ。トレードショーもまだまだ捨てたものではない。
その日の夕方、吾輩はレストラン「ブラックダック」で小さなパーティを開いた。そこにやって来た友人の情報によると、シーベル・システムズの新しいCEOマイク・ローリーは、現行の経営チームをそのまま引き継ぐとしているが、販売部門に関して大幅な組織再編が行われるとのウワサがCRM業界では流れているという。
一方、サンディエゴで開催されたマイクロソフトの「TechEd」カンファレンスから戻ってきたばかりという情報屋の話では、新しいWindows Server System SKU(Windows Server HPC Editionとしても知られる)の開発計画があるとの報道について、同社のエグゼクティブや広報は肯定も否定しなかったそうだ。Windows Server Systemの製品管理ディレクター、イリヤ・バクシュテインは、スーパーコンピュータ用のWindowsバージョンを開発中としているが、レドモンドのすべての人々が合意しているわけではない。Windows Serverと同ツール群のマーケティング担当副社長のアンディ・リーズは、「マイクロソフトにとってHPCは重要だが、独立したWindows Server SKUを開発する明確な計画はない」としている。
まあ、とりあずその夜は、HPCを“ハイ・パフォーマンス・カクテル”ということにして、われわれのパーティはさらに盛り上がったのであった。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
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