[コラム:Spencer F. Katt]
バルマーのユーモアで気温低下
2004/6/22
長期滞在となったラスベガスからニューヨーク経由でようやく自宅に戻ったものの、砂漠から豪雨地帯への急激な移動に、吾輩はあやうく体調を崩しかけた。もしかするとボストンも、マイクロソフトの“ドレアリー・スカイ(陰気な空)イニシアティブ”ってやつを採用したのかな……。
さきごろサンディエゴで開催された同社の「TechEd」カンファレンスで、バルマーから天候に関する彼一流の機知に富んだ発言があったらしい。友人の話によると、マイクロソフトのCEOは「今日の天気こそ、DSIの最初の成果です」と、同社のダイナミック・システム・イニシアティブ(DSI)に引っ掛けてジョークを飛ばしたという。「マイクロソフトはドレアリー・スカイ(陰気な空)をシアトルからあらゆる場所に拡張できるようになったのです。しかも集中制御によって……」。おそらくその日の気温以上に寒いユーモアだったに違いない。
もっともマイクロソフトの顧客には、地平線の向こうに明るい光が見えつつある。レドモンドが自社のビジネスおよび開発関連の全製品について、最低10年間のサポートを保証すると発表したからだ。太っ腹というほかない。そんなマイクロソフトだから、Lindowsが商標権を侵害しているとしてオランダで起こした裁判がLinuxベンダに944ユーロという“ケタ違い”の支払いを命じられる結果に終わったことなど、大した問題ではないだろう。計算してみると、米国通貨でたったの1500ドルだ。マイクロソフトはカンファレンスで提供するジャンクフードにもっとお金をかけている。
もちろん、EUの独占禁止法違反で課された罰金4億9700万ユーロとなると話は別だ。もしそれだけのキャッシュが必要になったら、マイクロソフトはSasserウイルス対策費25万ドルの拠出さえ逃れようとするかもね。
しばらく電卓と格闘していた吾輩だが、実感のわかない数字に飽きてきて睡魔と格闘しはじめたころ、レッドウッド・シティの情報屋から電話が入った。そいつの話によると、アンチウイルスソフト・ベンダの多くがここにきてアンチスパムソフト会社の買収に向かっているとか。現在、スパム会社の一群がネットワーク・アソシエイツ(NAI)と交渉待ちの状態だという。
NAIは脆弱性ベンダのファウンドストーン買収から手を引いたため、おそらくいまならスパム会社を1社か2社買収するくらいの余裕はあるだろう。一方のファウンドストーンはNAI買収にすべてを賭けていたが、いまは別の保護者を望んでいるという。ウワサによると、最有力候補はインターネット・セキュリティ・システムズらしい。
すっかり目が覚めた吾輩は、しばらくテレビをザッピングしていたが、ふとマイクロソフトが新しい「Visual Studio Team System」の販促用として作成したビデオのことを思い出した。TechEdで公開されたものだが、5人のゲイがダサい男を変身させる人気テレビ番組「Queer Eye for the Straight Guy」のパクリで、A5(5人のアーキテクト)と呼ばれるチームがITサイトをチェックし、そこで利用されているアプリケーションやアーキテクチャの欠点を指摘する内容だ。そのビデオには、Javaソフトのパッケージが山済みになり、書棚にJava関連の参考書がぎっちり並んだ部屋が登場するという。たぶん、マクニーリのオフィスだろうね。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
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