[コラム:Spencer F. Katt]
さよなら、COMDEX
2004/7/13
誰もいない砂漠の真ん中で基調講演することになっても、ビル・ゲイツは難解なテーマを選ぶのだろうか? 今年の秋、ラスベガスで恒例のCOMDEXは開催されない。ここ数年、Pentiumを信仰する人々は、ゲイツの唯我独尊的なスピーチを拝聴するために、ネバダへの巡礼を欠かさなかった。パーティや製品内覧会と同じように、ゲイツのプレゼンテーションは彼らにとって重要だったのだ。
ビルも、11月のアラジンのステージにラインストーンを散りばめたジャンプスーツを着て登場すればいいのに。いずれにしても、おたく系グルーピーの熱狂的な崇拝に対抗できるのは、思いっきり感傷的な歌とつまらないギャグで年配マダム市場を独占するウェイン・ニュートン(いま、ラスベガスでいちばん人気のあるポピュラーシンガー)くらいなものだろう。それにしても、南北戦争マニアたちを見ていて思いついたことだけど、マッカラン空港の2時間待ちのタクシー行列は、後世の歴史家たちのために記録に残しておくべきだな……。
なんて考えていると、電話が鳴った。受話器から聞こえてきたのは友人の声だった。なんでもセールスフォース・ドットコムのIPOでは、公開初日、株価が11ドルから17ドルに跳ね上がったという。人々はオラクルが同社を買収するとみていたけど、もともとラリー・エリソンはセールスフォース・ドットコムの初期投資家の1人であり、取締役会のメンバーでもある。オラクルがネットスイートとの提携が終了したあと、「オンデマンド」戦略を推進するために、マーク・ベニオフとの関係強化に乗り出すことは十分考えられる。セールスフォース・ドットコムが公開市場に1000万株しか出さなかった理由は、たぶんそれだ。
電話を切ったあと、いつものバーに顔を出すと、いつものおたく連中が集まっていて、次期Internet Explorerのリリースがいつになるか、勝手な見通しで盛り上がっていた。レドモンドの新しいIEエバンジェリストにデイブ・マッシーが就任したことから、PC業界では、“Longhorn”の登場前にマイクロソフトがIEの全面的な見直しを行う可能性が出てきたという見方が強まっている。
しかし、レドモンド関係のニュースでもっと興味深いのは、“タオル”だろう。マイクロソフト・ウォッチャーによると、同社は7月1日付で、スポーツを楽しむ従業員向けにタオルを供給しなくなったという。そのことが社内で大きな不満となって渦巻いているらしい。買いだめしたカクテルナプキンをタオル代わりに使っている吾輩は、能天気な友人たちに別れを告げ、オフィスへ戻った。
と、ほどなく、アンチスパム・テクニカル・アライアンス(ASTA)の提案に反対するスパム専門家の1人から電話があった。ISPがブロックを組み、ユーザーの送信メールに総量規制をかける方法は、「被害者に責任を負わせるやり方だ」と彼は非難する。システムのセキュリティを強化するより、各ISPが協調してシステム間をホッピングするスパマーを監視する方が、より迅速にメールの乱用を検出できるというのだ。面白いことに、数百万人のユーザーがスパムメールの氾濫に悩まされていることを、ASTAの有力メンバーの1社であるAOLが知ったのは、同社の従業員の1人がオンライン・ギャンブル業者に顧客リストを提供したと報じられたからだという。
脆弱なマシンを利用するユーザーに責任を押し付けるアライアンスの有力メンバーがマイクロソフトだったら、笑うに笑えないけど……。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
Arrivederci,
Comdex
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