[コラム:Spencer F. Katt]
アイ・オブ・ザ・キャット
2004/7/21
“It's the eye of the tiger…….it's the thrill of the fight”などと口ずさみながら、吾輩はサンの「JavaOne」カンファレンスを取材するためにサンフランシスコのモスコーニセンターを徘徊(はいかい)していた。サンのエグゼクティブによると、今回のカンファレンスは“Tiger”とその“強靭(きょうじん)さ、パワー、どう猛さ”がすべてだとか。おいおい、と吾輩は心の中でつぶやいた。Tigerなんてすごんでも、新しくリリースしたJ2SE (Java 2 Platform, Standard Edition) 5.0の単なるコード名にすぎないことが明らかになるにつれて、人々の期待はしぼんでいった……。
デモンストレーションにトラの着ぐるみで登場したサンのエンジニアは、おそらく強靭な神経の持ち主だったに違いない。もっとも、「お待たせしました。次は手に汗握るジークフリード&ロイ(ラスベガスで人気の、ホワイトタイガーをあやつるイリュージョニスト)のショーです」という司会者のアナウンスで、すべては許された。Javaと名づけられた生後8週間目の愛くるしい小トラがステージに現れたのだ。実にラスベガスっぽい演出だな。Javaのゴッドファーザー、ジェームス・ゴスリングとサンの社長兼COOジョナサン・シュワルツは、ステージ上でその小さなトラとしばらく戯れていた。ゴスリングは後日、今回のカンファレンスで「最もクールな出来事」はトラの子供と遊んだことだった、と吾輩に話してくれた。その昔、スコット・マクニーリが愛犬ネットワークをマイクロソフトというラベルのついた消火栓の上にぶら下げたことがあったけど、まぁ、それよりもベターな動物の使い方ではある。
そのマクニーリも話題を提供してくれた。IBMのCEOサム・パルミサーノが「ベルリンの壁」をコツコツ突き崩そうとしている絵を見せて、サンのオープンソースJavaを欲しがるのではなく、IBMは自力で知的財産を生み出すべきだ、と揶揄(やゆ)したのだ。Javaへ手を出すことは許さない、とするサンの決意を示したのだろう。でも、あの壁、最後には崩れちゃったんだけどね。
一方、いつも弁舌滑らかなサンの副社長ジョン・ロイアコノは、プログラマでなくてもJavaを記述できる「Java Studio Creator」を発表したとき、吾輩を大いに笑わせてくれた。彼は新製品を指して「Creator」というべきところ、「Workshop」と言い間違えたのだ。それって、BEAシステムズの競合製品ですよ、副社長。
それはさておき、J2SEの将来リリースのコード名が「Mustang」と「Dolphin」だと聞いた吾輩は、取りあえずその動物学的テーマに従って「サースティ・ベア」へと向かった。そこで落ち合った仲間の1人が、マイクロソフト・プレスの最新号に「Windows Server 2003ユーザーの28パーセントがWindows SharePoint Serviceを現在利用し、45パーセントのユーザーが11カ月以内に利用する計画がある」という記述を発見し、かなり当惑したという。彼がそれらの数字についてレドモンドに問い合わせたところ、マイクロソフトが米国内のユーザー300人を無作為に抽出し、調査した結果に基くものだ、と広報担当者は説明したそうだ。はたして世界中に何百万といるユーザーも、そんな感じなんだろうか……?
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
Eye
of the Katt
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