[コラム:Spencer
F. Katt]
レイ・ノーダのVC巡って訴訟合戦勃発
2005/3/1
例によってバレンタインデーを1人寂しく過ごしていたら、吾輩のケータイからサム・クックの名曲が流れてきた。“Cupid, draw back your bow”とメロディにあわせて口ずさみ、ロマンスを期待して電話に出たのだが……。
聞こえてきたのは、色気のない情報屋の低い声だった。彼が仕入れた情報によると、どうやらインテルとマイクロソフトの甘い恋愛関係がぐらつき始めたらしい。北米、欧州、アジアのマイクロソフト技術センターがOpteronベースのHP製サーバを導入することになった、とAMDが発表したからだ。
当然、このニュースを耳にしたインテルは、烈火の如く怒った。なぜなら同社も、Opteronと同等の64ビット機能を持つ新開発のXeonチップで、マイクロソフトが必要としている性能を提供できたからだ。情報屋によると、インテルのエグゼクティブがマイクロソフトのCEO、スティーブ・バルマーにかなり激しく不満を述べたらしい。こうなると、チョコレート・ボンボン1箱くらいで関係修復を図るのは、難しいかもね。
マイクロソフトがらみでもう1つ。情報屋の話では、同社の古参デビッド・ワイゼがレドモンドを去ったらしい。彼はWindows 3.0を成功に導いたキーパーソンとして有名だ。ネイサン・ミルボルドと共同で設立したダイナミカル・システムズ・リサーチは、1986年にマイクロソフトに買収されたが、その後、ワイゼはOS/2の呪縛からマイクロソフトを解き放ち、Windowsアプリケーションをプロテクトモードで実行し、DOSの640KBメモリ制限を打ち破り、仮想x86マシン上で複数のDOSアプリケーションを走らせ、レドモンドによる世界制覇への道を切り開いた。今後は彼自身のルーツである分子生物学の研究に戻るという。
それはさておき、レイ・ノーダのベンチャーキャピタル、キャノピー・グループをめぐって、ユタ州で大乱闘騒ぎが起きているようだ。情報屋の話によると、レイの娘のバル・ノーダ・クレイデルは、キャノピーのCEOであるラルフ・ヤロー、CFOのダーシー・モット、法律顧問のブレント・クリステンセンらが結託して、彼女の父親および会社の資産2000万ドルを騙し取ったとして、3人を相手取って訴訟を起こしたという。一方、訴えられた3人は名誉毀損だとして、彼女に1億ドルの損害賠償を求めて逆提訴したらしい。因果は巡るというか、キャノピーはダール・マクブライドと彼の訴訟軍団、すなわちSCOの32パーセントを所有しているわけだが……。
情報屋と電話でおしゃべりを続けながら、吾輩はオンライン・デート・サービスの申込書に必要事項を記入していた。「好きなことは……、そうだな、ビーチを歩くこと、かな」などと自己紹介欄をでっち上げていると、彼は「www.43things.comという自立支援サイトを知っているか」と話し始めた。そのサイトは、「自分の願望をリストアップすると、タグがアサインされ、同じような目標を持つ別の人たちにリンクする仕組みだ」と彼は説明してくれた。おもしろそうだな。
「業界関係者の話によると、そのサイト、どうやらアマゾン・ドットコムが密かにバックアップしているようだね」と情報屋。じゃ、もし吾輩の夢が“海軍少将(rear admiral)”になることだったら、アマゾンは「肛門治療のすべて」(注)みたいな本のリストを送ってくれるのか?
(注)rear admiralのrearには背後、尻の意味がある。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
Paranoia Kills a Lovelorn Katt
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