[コラム:Spencer
F. Katt]
幻のMicrosoft CRM 2.0?
2005/3/23
サンディエゴ・コンベンションセンターで開催されたマイクロソフト「Convergence 2005」の会場を徘徊しながら、吾輩はカエルのカーミットの真似をして、「いつまでもグリーン(みずみずしさ)を保つのは難しいよ」とつぶやいた。Microsoft Business Frameworkの遅れが影響して、“Project Green”MBS(マイクロソフト・ビジネス・ソリューションズ)戦略とERP製品群のリリースが数年先にもつれ込みそうだという。なんだったら、ジョージ・ルーカスに頼んでみるのも手だぞ、と吾輩は思った。なにしろ3部作で彼の右に出るものはいないからね。
コンベンションセンターで迷子になったとき、やはり“フォース”は吾輩とともにないことを確信した。まぁ、それはさておき、マイクロソフトはシアトルから「イベント・フォース」と呼ぶ運営チームを派遣していたが、どうやらホールのレイアウトはあまり得意じゃないみたいだね。プレスセンターへ向かう途中、案内係も見当たらず、吾輩は通路を右往左往しながら苦々しく思った。レッドモンドは雇用対策として、サンディエゴの街角にいる大勢のホームレス・ピープルをイベント・スタッフに雇うべきだな。
今回のイベントで最も驚愕した瞬間は、司会進行役の“伝説のマットG”こと、Great Plains開発者のマット・ガスタフソンが、ピチピチのウエットスーツ姿でステージに現れたときだった。鶏ガラのような貧弱な体型がモロに出ていて、吾輩は思わず息を呑んだ。ラバーに身を包んだ伝説の男が、基調講演に立つビル・ゲイツを紹介したとき、おそらく会場の人々はみんな心の中で祈ったに違いない。「どうかビル・ゲイツがウエットスーツを着ていませんように……」
その基調講演のあと、ビル・ゲイツとMBSチーフのドーグ・バーガムのインフォーマルな掛け合いオンステージがあった。ゲイツは、ハーバード時代のことを聞かれると、いつでも大学に戻る用意があると答え、「死なないかぎり、僕はドロップアウトじゃないよ」と強弁した。さらにバーガムが「病気で休むときは誰に電話するの?」と聞くと、ゲイツは「29年間、そんな電話したことないよ」と平然と答えたのであった。
その夜、1980年代のロックミュージックが大音量で鳴り響く「ガスランプ・アンダーグラウンド」というナイトクラブで、ある業界関係者が面白い話を教えてくれた。出荷が遅れに遅れている「Microsoft CRM 2.0は、もうリリースされないだろう」というのだ。この製品、今年第4四半期に製造工程向けにリリースが見込まれているが、マイクロソフトは「バージョン2.0」という呼び方を止めたようだ。出荷されるとしても、どのように呼ばれるか誰にも分からないという。じゃ、“Microsoft CRM Whenever”なんて、どう?
業界関係者に別れを告げ、タクシーに乗り込むと、携帯電話の呼び出し音が鳴った。かけてきた友人は、SAPがピープルソフトやJDエドワーズのユーザーをNetWeaverプラットフォームに移行させるプログラムを“セーフ・パッケージ(無害通行)”と呼んでいる、と大笑いした。なんだか、女性向けケーブルテレビ局の高視聴率ドラマで、そんなタイトルの作品があったような気がする。
ドライバーに空港へ向かうよう指示すると、友人は「ドイツのCeBITへ行くのかい?」と聞いてきた。「そうだよ。吾輩のドイツ・アドベンチャーは、ブログ(blog.ziffdavis.com/katt)に書くからぜひ読んでくれたまえ」と答えると、友人はXMLの教祖クリス・メーデンの言葉を餞別代りにくれた。「XMLは暴力と同じだ。それで問題が解決できなければ、決して使ってはいけない」
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
Green and Bear It
Copyright(c) eWEEK USA 2002, All rights reserved.
![]() |
Spencer F. Katt バックナンバー |
情報をお寄せください:
最新記事
![]() |
|
|
|
![]() |