[コラム:Spencer F. Katt]
ハイテク業界の緊張緩和?

2005/4/5


 「よし、DETENTE、でどうだ」。サンフランシスコのパンパシフィック・ホテルのバーで友人とスクラブル・ゲームに興じていた吾輩は、自分で並べた文字列のインパクトに思わず大声を上げた。

 「デタント! おいおい、さっきは全部、IBMとSCOがらみの単語にするって言ったじゃないか」と友人は悔しがった。

 「わはは。ハイテク業界じゃ、デタント(緊張緩和)といえば、そのうち両社の関係を指すようになるんだよ」と吾輩が応じると、友人は「なんで?」というような顔で見返した。

 「SCOがUNIXがらみでビッグブルーを相手に50億ドルの損害賠償請求訴訟を起こしたから、もう両社の間にビジネス関係はなくなったと思っているだろう?」と吾輩は得意げに話し始めた。「ところが、だ。先日、SCOのCEO、ダール・マクブライドが吾輩の目の前で、自社OSのハードウェア動作保証リストを振り回していたんだ。驚いたことに、リストのほとんどはIBMの製品だったよ。数えたら全部で28製品もあった」

 マクブライドが言うには、「次期OpenServer製品でも、われわれはIBMと緊密に協力してきた。IBMは今後も、SCO UNIX製品の販売とサポートで莫大な利益を上げ続けるだろう」だとさ。

 「マクブライドと言えば」と、友人が話を引き取った。「毎年、ノベルのBrainShareイベントの基調講演を聴くために、ユタ州リンドン(SCOの本社所在地)からソルトレイクシティまでクルマを飛ばして、会場にこっそり忍び込んでいるらしいね」

 「ああ、おそらくカンファレンス入場券は、偽名で購入しているに違いない。なにしろノベルも、UNIXでSCOとえらく揉めているからね」と吾輩は笑った。

 友人はもう1杯注文したあと、スクラブルのボードの上に“DIVA”と文字タイルを並べた。それで思い出した。サンの“オープンソース・ディーバ(歌姫)”と呼ばれたダネス・クーパーが、さきごろインテルに移籍したらしい。クーパーはサンのオープンソース・プログラム・オフィスに責任者として6年在籍し、同社のオープンソース戦略に深く関わってきた人物なんだけど……。

 「もっとゲームに集中しろよ」と友人は、スクラブルのボードをコツコツと叩きながら不満を述べた。吾輩が、わざと「ええっと、CONDEVELOPERAMBULISTってスペルでよかったかなぁ」などと口ごもると、彼は急に静かになり、「ところでハスブロが先日、スクラブルの非公認オンライン・バージョンを運営していたe-scrabble.comの管理者に、サービスの停止を求める警告書を送ったらしいね」と話しかけてきた。「サイトを開設したのは、もう2年以上も前なんだけど、いままで気がつかなかったのかな?」

 吾輩は、あれこれと文字タイルを並べ替えながら、ぼそぼそと応じた。「どうだろうねぇ。ハスブロにしてみりゃ、まぁ、“トリビアル”な問題だ。その気になれば、サイトを買い取って“オペレーション”すれば、“リスク”なしで自社のパズルやゲームのプロモーションができるのに。それほど“ボグル”なことでもないと思わないかい?」

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
A Katt of Letters

Copyright(c) eWEEK USA 2002, All rights reserved.

Spencer F. Katt バックナンバー

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)