[コラム:Spencer
F. Katt]
敵を作らないと生きていけないサン
2005/9/27
「部屋にこもってThe SiMsで遊んでいるよりは有意義だろうからね」。ボストンで開催された情報管理協会(SIM)の年次総会「SIMposium」の取材にやってきた吾輩は、同行した友人にそうささやいて空いている席に腰を下ろした。会場の入り口付近では、IT研究者で著述家のドン・タプスコットが取り巻き連中に、「彼との議論では、こっちに絶対的なアドバンテージがある。それはつまり、彼が間違っている、という事実だ」と大声でぶちかましていた。“彼”というのは、タプスコットのスパークリング・パートナーで、今回は欠席した「Does IT Matter? 」の著者、ニコラス・G・カーのことらしい。
吾輩が座席の下に落っことしたキャンディの袋を拾おうとしていると、頭上から2人の参加者のくぐもった会話が聞こえてきた。それによると、インドの大手金融サービス、カービーが近くアウトソーシング市場に満を持して新規参入するもようだ。同社は、債務勘定、技術サービス、トランザクション処理などの分野に特化する方針だという。吾輩が床に張り付いて聞き耳を立てていることに気がつくと、彼らは急に黙り込んだ。
キャンディを回収して再び席に着いた吾輩は、業界アナリストのブルース・ロゴウが「ITコミュニティのヨーダです」と自己紹介するのを聞いて爆笑した。実際、薄い頭髪がジェダイ・マスターのそれにそっくりだったからだ。それはともかく、ロゴウは全米のITリーダーたちから聞いた話をもとに、「縮小傾向にあるIT予算が、コミュニティの成長戦略に大きな影を落としている」と指摘した。そして講演の途中、彼は1回だけ、ジェダイ・マスターに似つかわしくないほど興奮してこう叫んだ。「われわれは、コミュニティとして、ステップアップする必要がある。いまこそ団結しなければならない。にもかかわらず、現状はどうだ?」
取材を終えた吾輩と友人は、会場から数ブロック先のバーに立ち寄り、コンピュータ業界のグッドガイ、元ヒューレット・パッカード会長兼CEO、ルイス・プラットの死を悼んで杯を傾けた。
テーブルのナプキンで涙をぬぐったあと、友人はgoogle.com/blogsearchにベータ版が公開されているグーグルの新しいブログ検索ツールを賞賛しはじめた。そして、「FirefoxのURLバーで“News”とタイプすると、グーグルの自動検索機能がCNETではなく、BBC Newsに接続するようになった背景を知るブロガーを検索することもできるだろう」と友人は笑った。そういえば、Firefoxバーで“ZDNetnews”と入力すると、ZDNet Japanに接続するのだが、この夏、グーグルに対して厳しい報道を繰り返したCNETへの報復か?
もう1杯注文しようとしたとき、情報屋から携帯に電話が入った。サンの新型サーバの広告は、スコット・マクニーリが当初期待したほど面白くはならなかったようだが、www.sun.com/emrkt/rejected/index.htmlに掲載された“Rhymes with Hell”(ヘルと韻を踏む)広告シリーズには、「デルより100%以上すごい」とか、「ベンチマークはデルが無価値であることを証明した」という刺激的な表現が並び、サンの照準がどこに向けられているか、一目でわかるという。
それにしてもサンという会社は、いつも敵がいないと生きていけないらしい。そういえば、昔、マクニーリはマイクロソフトというラベルの付いた消火栓に“ネットワーク”という名前の愛犬をつないだりしたこともあったな。いつまでたっても大人になれない奴だね。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
Sim Hilarity
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