[コラム:Spencer
F. Katt]
Mozillaに予期せぬ収穫
2006/2/7
「どこもみんなFlashに嫉妬しているみたいだな」と吾輩は笑った。フリー・ソフトウェア・ファンデーションが無料GPLライセンスのFlashプレーヤー「Gnash」を開発リストの上位に置いたらしいと、ペンギン系の友人が電話で教えてくれたからだ。マイクロソフトもFlashキラーと呼ばれる「Sparkle」を現在開発中だ。ユーザーとしては、どんな製品であれ、マクロメディアの次期Flashとの間で図形やロゴやテクノビートが自由にやり取りできるようになることを望むばかりだね。
ところで電話の友人によると、最近やけに仲の良いところを見せつけたマクニーリとエリソンだが、オラクルとサンのパートナーシップは、少なくともNetBeansに関していえば、豆の山ほどの価値さえないかもしれない、と業界でささやかれているとか。エリソン軍団は、サンのNetBeansよりも、むしろEclipseやOracle JDeveloperへの興味の方が強いそうだ。
「もしもし聞こえるか?」と、吾輩は何度も叫んだ。どうやら携帯電話が壊れたらしい。まだ電話したいところがいくつかあったので、久しぶりに公衆電話を探さなければならないという事態に吾輩はうろたえた。しかし、ようやく発見した公衆電話は、かろうじて利用が可能だった。ただ、受話器は消毒用のウエットティッシュでゴシゴシこすらなければならないほど汚れていた。ともかく吾輩はポケットにあったコインを投入口に放り込み、ワシントンD.C.の「Black Hat」カンファレンスに出席していた友人を呼び出した。
その友人によると、セキュリティ研究者のマイケル・リンの新しい就職先、ジュピター・ネットワークスは、イベント直前になってリンの講演をドタキャンしたそうだ。リンといえば、昨年、シスコのルーターにインターネット全体をクラッシュさせる致命的な欠陥があると指摘して、業界にちょっとしたセンセーションを巻き起こしたことがあった。
「35セント投入してください」と単調で機械的な音声が聞こえたが、あいにく小銭のストックはもう底をついた。通話が途絶したあと、ポケットの中でBlackBerryが振動した。ストレージ専門家からのメッセージだった。彼の情報によると、IBMによる仮想化環境ソフトベンダ、CIMSラボの買収を受けて、EMCのボス、ジョー・トゥッチが自社製品にVMwareを統合しないとした約束を破棄するかもしれないという。アーモンクのCIMS買収は、EMCに警戒心を呼び起こし、トゥッチと彼の会社はおそらくサーバ・ストレージ仮想化ビジネスを加速させることになるだろう。
ストレージ専門家はもう1つ、興味深いニュースを教えてくれた。NBCのロックフェラーセンター・オフィスに、アップルのXsanネットワーク・ストレージ機器が大規模導入されたという。いよいよアップルも、エンタープライズ・ストレージ分野の本格的なプレーヤーとして台頭してきたというわけか。
吾輩は銀行の両替で25セント硬貨を大量に仕入れ、ふたたび公衆電話を探し、受話器の汚れをきれいに落としたあと、さきほど途中で通話が切れたペンギン系の友人をコールした。すると友人は、Mozillaがグーグルおよびヤフーと結んだアジア地区のFirefoxディストリビューション契約によって、少なからぬ利益を上げていると教えてくれた。資金繰りが苦しいことで有名なMozillaだが、もしかするとこの予期せぬ収穫を元手に米国で大々的な広告キャンペーンを展開し、IEに代わるブラウザとして認知度向上を目指すかもしれない、と友人は言う。「そうだな、通信の世界は浮き沈みが激しいからね」と応えながら、吾輩は受話器の浮き上がった塗装を指先でペリペリとはがした。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
Gnash-Ville Katt
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