[コラム:Spencer F. Katt]
ウィキペディアにビッグブラザーの影

2006/2/14


 「現在を支配する者は過去を支配する」と、吾輩はオーウェルのような不気味なトーンで呟いた。ビッグブラザーも、きっとWikiを書き換えようとしただろう。電話をかけてきた友人によると、米議会スタッフがウィキペディアの記事を懸命に改ざんしているらしい。そうした書き換えは、ウィキペディアによると1000本以上あるもようで、なかには非常に子供じみたものもあるとか。そのためウィキペディアは現在、上院および下院IPアドレスからの書き込みをブロックしているそうだ。

 特にいま注目を集めてるのは、マサチューセッツ州選出の民主党下院議員マーティ・ミーハンの項目で、守られなかった公約や豊富な選挙資金に関する記事が変更された問題だ。同議員のスタッフが書き換えた直後、猛烈な非難の編集が殺到したという。ジョージ・オーウェル原作の映画「1984年」がリメイクされたら、ウィンストン・スミスはウィキペディア省記録局で働くことになるのだろうか?

 電話の友人が吾輩の地元でなにか新しいニュースはないかと聞いてきたので、マサチューセッツ州の新しいCIOにルイス・グティエレスが就任したことを伝えた。前任のピーター・クインは、州公文書をMicrosoft OfficeフォーマットからOpenDocumentフォーマットへ移行する計画が紛糾する中、辞任を余儀なくされたのだ。

 この冬2度目の体調不良を訴えながら友人に別れを告げたあと、吾輩はIBMビジネスバリュー・レポート「われわれの知っているテレビの終わり(The end of TV as we know it)」を読んで少し気分がよくなった。ビッグブルーは“世代間の深い溝”を指摘しながら、テレビ視聴者を2つのグループに分け、一方を「マッシブ・パッシブ(大多数の受身的視聴者)」群、他方を「ガジェッティア(メカ好き)とクールキッズ」群と名づけた。そして同レポートは、2012年までにオンデマンドやデジタル・ダウンロード、Tivoのようなデジタル録画技術の台頭で、従来型テレビに終焉が訪れるだろうと予測している。吾輩は70年代ごろの低俗番組がテレビを終わらせたと思っていたのだが……。

 そのとき携帯電話が鳴り、ニュースが飛び込んできた。ベライゾンに買収されてMCIのCEOを辞任したマイク・カペラスが、シスコの役員会に迎えられたというのだ。カーリー・フィオリーナがもうそこにいなかったことは残念だったに違いない。新しい会社で手を組む相手を探すのは、きっと大変だろうね。

 いよいよ感冒でダウン寸前になった吾輩は、ノースダコタ州などが無線通信のカバー率を上げるために気球の利用を考えているというニュースを発見した。空軍関係者にとっては、UFO目撃談に対する新しい言い訳がまた1つ増えたわけだ。いまさら古い気象観測気球を持ち出すのも気が引けるだろうからね。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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