[コラム:Spencer F. Katt]
ボーナスカットは買収資金確保のため?

2006/3/28


 PGPの生みの親、フィル・ジマーマンがVoIPのセキュリティを高める「Zfone」というソフトの公開ベータ版をリリースした。Z-マンによると、新開発のソフトウェアは、PKIやキー認証、認証オーソリティ、SIP信号などに依存せず、VOIP接続の安全性を高めることができるという。なんでも、Zfoneユーザー間でピアツーピア方式の暗号化を実行する仕組みらしい。公開ベータ版は彼のWebサイト、philzimmermann.comで入手可能だ。

 突然、ホールの空気を揺るがす大音響が吾輩の思考を中断した。サンディエゴで開催されたシスコシステムズのパートナー・サミットでは、けたたましいドラムの乱打とともに、同社の重鎮ジョン・チェンバースが基調講演に登場した。これでもかとスティックを振り続けるドラマーたちに、観客の中にいた吾輩は、「おいおい、そうやって新しい販売戦略をわれわれの頭に叩き込もうって魂胆かい?」と毒づいた。隣に座っていた参加者は、吾輩の憤慨する姿を見てクスクス笑いながら、「シスコがパートナー・インセンティブを変更したために、一部から不満の声が上がっているらしいね」と教えてくれた。そのビジネスマンの説明によると、シルバー級のステータスとマスター専門認証を持つパートナーは、ゴールドパートナーと同等のインセンティブを与えられるそうだ。シスコ関係者は一部のゴールドパートナーが不満を示していることについて理解しており、そうした問題点は今後すみやかに解決していく方針だという。

 そのときジャケットのポケットで携帯電話が鳴った。ネットワーク関連株で大金を稼いだ友人からだった。そいつの情報によると、エリクソンがジュニパー・ネットワークスのルータ事業部を買収するかもしれないそうだ。

 ドラムの音と販売戦略の説明に飽きた吾輩は、その場を適当に切り上げ、「ホーリーズ」というアイリッシュパブに忍び込んだ。先日、インテル開発者フォーラムで仲良くなったインテルのエグゼクティブと落ち合うことになっていたのだ。インテルの知性派は、カウンターでギネスを傾けながら、その昔---アップルのMac OS 9時代、つまりクパチーノのコンピュータメーカーがインテルチップへの切り替えを匂わせながら、結局は裏切り続けたころ、インテルの開発チームはアップルが契約書にサインするそぶりを見せるたびに、何度も自分たちの作業をお蔵入りにしてきたものだ、と苦い思い出を語った。Mac OS XにもMarklarと呼ばれる秘密のx86兄弟がいるけど、アップルのチーフ・タートルネック・オフィサー、スティーブ・ジョブズが2005年6月、インテルチップへの移行を宣言しなかったら、それも世に出ることはなかっただろうね。

 その後、ホテルの部屋に戻ると、テキサス在住の友人から携帯に電話が入った。彼の話によると、デルのエグゼクティブは今年、ベースサラリーは上がったものの、ボーナスは大幅に減ったもようだ。テキサスの地元紙、オースチン・アメリカン・ステースマンの記事によると、CEOケビン・ローリンズのボーナスは昨年の210万ドルから今年は180万ドルに落ちたという。「おそらくデルは高性能PCメーカー、エイリアンウェアの買収資金を確保するためにボーナスをセーブしたんだろう」と電話の友人はいう。エリア51あたりじゃ、スカリーやモルダーたちが、すでに両社の交渉は成立したとウワサしているらしい。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Channel Surfing in San Diego; Litterboxlynx

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