[コラム:Spencer
F. Katt]
ロンドンの法廷でツイスト・アンド・シャウト
2006/4/11
今年65歳になるウェールズ出身の人気歌手、トム・ジョーンズが3月29日、バッキンガム宮殿でエリザベス女王からナイトの爵位を授与されたというニュースを聞いて、「まぁ、珍しくもないね」と吾輩はつぶやいた。むしろ注目すべきは、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたグーグルの記事だな。それによると、連邦議会の圧力に対抗するためには、ロビイスト(できれば善良な部類の)を雇う必要があるという現実に、同社はようやく気づいたらしい。
「思い出のグリーングラス」を大声で歌っていると、携帯電話が鳴った。ダラスで開かれたマイクロソフトのConvergenceカンファレンスに潜入していた友人からだ。マイクロソフト・ウォッチャーの友人によると、ビル・ゲイツは、集まった聴衆に彼のテクノロジー・ビジョンを披露する一方、珍しくも彼自身のパーソナルライフの一端を垣間見せたという。質疑応答セッションで、ゲイツの子供たちは技術に関心を持っているかと聞かれたとき、彼は6歳になる息子のローリーがいま自動車に夢中で、しばしばカーディーラーのWebサイトにアクセスし、さまざまなモデルのオプション価格をチェックしていると話したそうだ。
そしてある日、息子のことを有望な見込み客だと勘違いしたカーディーラーが、実際にオンラインでコンタクトしてきたという。ヤング・ゲイツのクルマに対する情熱が、有名な父親の若きころと同様、いつか山のようなスピード違反の切符のコレクションにつながるかどうかは分からない。が、お金の話になると、カエルの子はカエルと言えそうだ。ゲイツ家のジュニアは、ビルと彼の妻マリンダに、なぜゲイツ基金には大金をつぎ込むのに自分にはそうでないのかと、しばしば問い詰めてくるのだそうだ。
ジュニアといえば、同社のCEOにも最近、子供がらみの話題があった。スティーブ・バルマーがフォーチュン誌の3月号のインタビューで、自分の子供のことについて言及しているのだ。彼はインタビュアーに「iPodを持っているか?」と聞かれ、自分も自分の子供も持っていないと答えた。そしてファナティックな父親は、「私は子供たちを洗脳しているんだ。グーグルとiPodだけは絶対に使うなってね」と語った。
その日、仕事でボストンに出張してきた弁護士の友人とリーガル・シー・フーズへランチに出かけた際に聞いた話だが、元CAエグゼクティブのサンジェイ・クマーとスティーブン・リチャーズの証券詐欺と司法妨害に関する裁判の延期が認められたそうだ。両被告の弁護団は、最近入手した15万ページ以上の新しい書類の精査に時間がかかると主張し、総額22億ドルの不正会計事件の裁判は5月8日に延期されることになったらしい。
お気に入りのタラ料理に舌鼓を打っていると、携帯電話から着信音に設定していた「What's New Pussycat?」のメロディが流れてきた。クパチーノにいる同業者からの緊急連絡だ。なんでもアップルのチーフ・ソフトウェア・テクノロジー・オフィサー、アバディス・テバニアンが、“新たな興味”を追いかけるために辞職したという。
電話を切ったあと、一緒に食事をしていた弁護士の友人がもう1つ、アップルがらみのニュースを教えてくれた。ロンドンの高等法院がアップルコンピュータとビートルズのアップル社の間で争われている問題についてヒアリングを開始したそうだ。両社の論争は、ジョブズとアップルコンピュータが音楽産業には参入しないとした1991年の合意をめぐる解釈の違いから生じたものだ。が、なんと、裁判を担当するエドワード・マン判事自身、iPodユーザーであることを認めている。こりゃ、ビートルズ側の弁護士は、法廷でツイスト・アンド・シャウトを余儀なくされそうだな……。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です。
[英文記事]
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