[コラム:Spencer F. Katt]
CAエグゼクティブのエクソダス

2006/5/30


 「雨が降ったと思えば、どしゃ降りだ」。吾輩は大げさに嘆きながら地下室の入り口にガラクタを積み上げ、一向に降り止まないニューイングランドの雨がもたらした奔流を必死になってせき止めた。しかし悪態をつきたくなるような悪天候は、道路が冠水したわが家の前だけではなかった。どうやらCAでも、集中豪雨のようなエグゼクティブの流出が止まらないらしい。

 先月、最高執行責任者(COO)のジェフ・クラークがニューヨーク州アイランディアを離れ、センダントの旅行代理店事業部のトップへ転出した。先週は、最高技術責任者(CTO)のマーク・バレンシエと最高財務責任者(CFO)のロバート・デイビスが、傾きかけた船から相次いで逃げ出した。なんでもバレンシエはベンチャー企業専門の投資会社、ガーネット&ヘルフリック・キャピタルに移るらしい。あるCAウォッチャーの情報によると、バレンシエの退職はCEOのジョン・スウィンソンが画策したものだという。スウィンソンは新CTOに自ら選んだ後任を指名するものと見られている。一方、CFOについては、デイビスの後任が見つかれるまで、経理担当上級副社長のロバート・シラビシが暫定的にCFO職を引き継ぐという。

 吾輩はずぶ濡れになったシャツのすそを絞りながらメールをチェックしていると、もう1つCA関連のニュースが目に入った。前CEOのサンジェイ・クマーがCA創立者のチャールズ・ウォンにホッケーチーム、ニューヨーク・アイランダーズの所有権をすべて譲ることで合意したらしい。ウォンは合意に基き今後9年間、クマーに毎年100万ドル支払うという。クマーはそれを弁護士費用に当て、その間、不正会計疑惑に全力を傾けるわけだ。

 そのとき吾輩の携帯電話から着信を知らせる“A Hard Rain's A-Gonna Fall”のメロディが流れてきた。電話をかけてきた友人の話によると、マイクロソフトのボス、スティーブ・バルマーがシリコンバレーのフォーラムで行ったスピーチから、広告を収益源にしようとする同社の戦略が垣間見えたという。バルマーは、テレビCMが古くから視聴者に受け入れている事実を指摘し、アプリケーション内でポップアップする広告の可能性について述べたらしい。

 さきごろeWEEK Podcastでも話題になったが、マイクロソフトはケーブルテレビの視聴者がチャンネルを変えるたびに広告がポップアップする技術の特許を申請(USPTO #20060064700)した。そして同社は最近、ビデオゲームやWindows Liveなどの製品に広告をデジタル的に挿入する技術を開発したマッシブを買収している。こうした動きを総合すると、レドモンドがグーグルのオンライン広告モデルを後追いするだけにとどまらない大きな野望を秘めていることは、容易に想像がつく。でも、まったく日が当たらない場所に木を植えて、はたして育つのだろうか……。

 吾輩は豪雨の中、ハイウェイをすっ飛ばしてオフィスに向かった。すると部屋の中で何人かの同僚が、5月にリリースされたマイクロソフトのパッチアップデートに問題があると騒いでいた。なんでもBlackBerryやそのほかのモバイルデバイスから電子メールが送れなくなるらしいのだ。読者諸兄も、support.microsoft.com/kb/912918をチェックされたし。

 それはさておき、ウォールストリート・ジャーナル紙に掲載されて話題となったビル・ゲイツとインテルのCEO、ポール・オッテリーニの共同寄稿に吾輩も目を通した。昨年、ノートブックPCはiPodよりも売れたから、「パソコンの時代はまだ終わらない」と、2人は主張している。どうやらゲイツは、iPodに対する嫉妬心を克服できたようだね。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Down-Purr Floods Rumor Pipeline

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