[コラム:Spencer F. Katt]
アンチDRM派がボノに呼びかけ

2006/7/19


 「それならジャージー・ターンパイクに“404 error”って表示しろよ!」と吾輩は悪態をついた。ニュージャージー州議会で予算が成立せず、アトランティックシティのカジノが一斉に営業停止に追い込まれたため、吾輩の一攫千金カジノ巡回計画は頓挫を余儀なくされたのだ。意気消沈した吾輩は、ジャージーショアから引き返す途中、何度も曲がる方向を間違え、気がついたらコネチカット州のギリシャ料理店でラップトップを起動し、オンライン・ポーカーゲームに没頭していた。

 なんとなく腹が減ったので、その日2回目の朝食をオーダーしていると、携帯にケンブリッジの友人から電話が入った。彼は気落ちした声で、オラクルのCEO、ラリー・エリソンがハーバード大学に1億1500万ドルを寄付するとしていた約束を反故にした、と話し始めた。が、吾輩はすでにeWEEK Podcastで、ハーバードがいまだエリソンから1セントも受け取っていないことを知っていた。彼が小切手をポケットに仕舞い込んだのは、ラリー・サマーズ学長の辞任が理由らしい。

 うぉおぉぉ! そのときまったく予期せぬ軌跡を描いて、オムレツのかたまりがキーボードの上に落下した。その拍子に画面はポーカーサイトからサンのCEO、ジョナサン・シュワルツのブログへと切り替わった。そこでシュワルツは、Business 2.0誌が自分を「重要でない10人」の1人に選んだことを自嘲気味に取り上げ、こう反論していた。「今回の受賞をスティーブ・バルマーやリーナス・トーバルズと一緒に喜びたい。私がこの2人を仲間はずれにすることはあり得ないので、Business 2.0誌の意向はどうあれ、みんなでこの栄誉を分かち合うことにした」

 ギリシャ風サンドイッチを追加注文していると、また携帯が鳴った。今度はLinuxオタクの業界関係者からだった。そいつの情報によると、フリーソフトウェアファンデーションのアンチDRM(デジタル著作権管理)派、DefectiveByDesign.orgが、DRMとの戦いにU2のリーダー、ボノを呼び込もうとしているそうだ。彼に宛てたオンラインアピールには、こう書かれてあるという。「正義のために戦うことをライフワークとするあなたは、権力や政治的エリートに働きかけ、社会が正しい方向へ進むように努力されている。あなたが世界のリーダーたちに行動せよと訴えるように、いま私たちもあなたに対して、DRMをめぐる事実に目を向け、テクノロジーとカルチャーの自由を奪う足かせを追放する戦いへ参加を呼びかけたい」

 「もしその気になってコンサートでもやるっていうなら、ブーツカットのジーンズでも買うかな」と笑いながら食事を終え、吾輩はふたたびボストンを目指した。ようやく自宅に戻ると、マイクロソフトウォッチャーの1人が電話をかけてきた。彼の話によると、マイクロソフトが主催するソフトウェアコンテスト「イマジンカップ」に参加した韓国の学生チームが、エクササイズを正しくできたかかどうか評価するプログラムを披露したあと、ビル・ゲイツに「日ごろエクササイズしていますか?」と聞いたそうだ。その質問にゲイツが「イエス」と答えると、学生たちは「では、エクササイズを正しくやっていますか?」とたたみかけた。ゲイツは「たぶん間違っているだろうね」と苦笑いするしかなかったようだ。

 で、今回は前評判どおり、バージニア州立大学が出品した医者と患者を結ぶハンドヘルドデバイス「PocketDoc」が優勝し、この夏、インドで開催される「イマジンカップ世界大会」に進出することになったとか。「そいつは人間が健康管理を正しく行っているかどうかを評価するわけだな」とつぶやいて、吾輩は机の中から胃薬を取り出した。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Tale Winds Propel Road Scholar

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