[コラム:Spencer F. Katt]
レッドハットはそろそろ収穫期?

2006/9/5


 「ネプチューンの仕業か!」。吾輩は受話器を握り締め、第一報を送ってきた友人に叫んだ。「プルートはもう惑星じゃないだと?」

 世界の天文学者たちが2006年8月23日、チェコのプラハに集まり、惑星の数を3つ増やすべきかどうかを投票で決めることになっていたが、どういうわけか結局、惑星の数は1つ減ることになってしまった。いまごろウォルト・ディズニーは墓の中で、文字通り仰天しているに違いない。

 太陽系惑星群のダウンサイジングという事態に憤激し、冥王星に関する情報を求めて知人や友人に片っ端からメールを送っていると、CAが2億ドルのコスト削減に乗り出したというメモがメールボックスに届いた。ちょっと前までコンピュータ・アソシエイツと呼ばれていた会社の従業員たちは、創業者のチャールズ・ウォンが20年以上前に始めた無料ブレックファストの伝統が葬られることに抗議の声を上げているという。

 いまや1000人以上の同僚が路頭に迷おうとしているが、そんなことよりCAに残る従業員にとって重要な問題は、朝のドーナッツだ。今後も残業時にはコーヒーが用意されるというが、ディナーの廃止も確実だ。次は、机や椅子のコスト・カットだろうか? そんなことより、CEOスウィンソンのヘリコプターをどうにかしたほうがいいと思うけどね。

 メールボックスにもう1つ、デルに関するネタが届いていた。この悩めるベンダは、MP3プレーヤー市場にようやくあきらめがついたらしい。同社はさきごろDell DJ Ditty部門を閉鎖したそうだ。アップルがiPodに用いた技術の特許権をめぐる紛争決着のために、クリエイティブ・テクノロジーに1億ドル支払うことで合意した、まさにその日の決断だったという。だから、「DJ Kitty」って名前にしておけばよかったのに……。

 天文学的なわだかまりが頭から離れない吾輩は、とりあえず懐かしの「スタートレック」で気を紛らそうと考えた。もちろんオリジナルのシリーズだ。が、第7話「魔の宇宙病(The Naked Time)」をセットしていると、キャットフォンが鳴った。「サンのことだけど」と電話をかけてきた情報屋は言った。「いやいや太陽系の話じゃなくて、サン・マイクロシステムズのことだけどね」

 なんでもサンの代理店関係者の1人が発信した電子メールが問題になっているらしい。そのメールはオラクルによるレッドハット買収を自信たっぷりに推測する一方、このLinuxディストリビュータのサービスやサポートの悪さを激しく非難し、「Red Hat sucks(レッドハットは最低」でググるように推奨しているという。またメールの発信者によると、サン・サポーターの一部では、レッドハットがLinuxWorldに出展しなかったのは、同社がそろそろ摘み取られる時期に来たサインだと囁かれているそうだ。

 しかし、内容があまりにも悪意に満ちていたため、サンの担当者は、このメールが同社の許可を得ていないことを強調し、発信者の行き過ぎた発言を謝罪したとか。サンがレッドハットにおべっかを使い、スコット・マクニーリがペンギン・スーツを着ていたのは、それほど昔の話ではないけどね。

 テレビの中で、機関主任のミスター・スコット(日本語吹き替え版ではチャーリー)が相槌を打った。「ああ、ハギス(スコットランド料理)はそろそろ食べごろだよ」

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Mad as a Red Hatter

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