Spencer F. Katt
Linuxをめぐる戦争と平和
2007/09/10
“There'll be peace in the valley for me, someday……”と、吾輩はエルビスを気取って甘ったるく歌った。いやいや、メンフィスで開催されたエルビス・ウイークで酒を飲みすぎたわけではない。Linux IPをめぐる裁判でSCOが敗訴したことが、今後市場にどのような影響を及ぼすか考えていたのだ。
おそらくLinux愛好者たちにとっては、第2次世界大戦が終結したときのような喜びに違いない。大通りを凱旋するオープンソースの帰還兵が、ナースの腰に手を回し、熱いキスを交わしている光景が目に浮かぶようだ。これからは最新式の冷蔵庫に肉がいっぱい詰め込まれ、大型乗用車が飛ぶように売れ、人々は多様なレジャーを楽しむようになるだろう……。
はたしてLinuxのヤルタ会談が開かれるかどうかも、吾輩には興味深いところだ。この先、オープンソース・ソフトウェア界の秩序は、ノベルやIBM、リチャード・スターリン、じゃなくてストールマンといった有力プレーヤーによって決定されるかもしれない。などと、吾輩がLinuxの戦後ファンタジーに浸っていると、突然電話が鳴った。受話器の向こうの友人は、モトローラのCEO、エド・ザンダーの運命について話し出した。過去3四半期の業績不振にあえぐザンダーは、フロリダを本拠とするコンサルタント、エリック・ジャクソンによって追い落としキャンペーンを仕掛けられているというのだ。
ヤフーの前CEO、テリー・セメルにも同様のキャンペーンを仕掛けたことがあるジャクソンは、伝えられるところによると、モトローラの株主130人以上を集結して訴訟に臨むという。モトローラの役員会はザンダーを退任させる考えはないとしているが、友人によると、巷では同社がマイケル・カペラスなど、次の打席に入るスター選手を物色中だと噂されているという。
ちょっと待てよ。カペラスのこれまでの戦略は、他社との合併(コンパックとHPなど)か、傷ついたブランドの立て直し(MCIからワールドコムへ)のどちらかだったはずだ。すると、もしカペラスがモトローラのCEOに就任したら、1928年までさかのぼって、社名をガルビン・マニュファクチャリング・コーポレーションに戻すかもしれないな。
電話を切る前、友人はBluetoothとGSM機能を搭載したCDMA方式の「Motorola Z6c」が11月に発売されることを教えてくれた。
CAの元CEO、サンジェイ・クマーはニュージャージー州フェアトンの連邦矯正施設で懲役12年の刑に服すことになり、もはや完全にホールドアップ状態にあるようだ。金融業界の知人の話によると、CAの副会長で共同創設者のラッセル・アーツは、クマーが収監される前日の8月13日、1500万ドル以上のCA株を売却したらしい。
今回の株式売却にからんで、CAインサイダーの間では、アーツが早晩、CAを退社するのではないかとの憶測が飛び交っているという。
また知人の話では、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団がマクドナルドの株式を74万株も所有しているらしい。「飢餓にあえぐ人々を救おうとする財団が、いまや肥満の元凶として糾弾されている会社の株を持っているなんて、なんかおかしくないか?」と知人は吐き捨てた。
「さあ、どうだかね。なにしろビルって奴は、1977年にマクドナルドという名前の男と一緒に“FAT”なんてのを作ったくらいだからな」と吾輩は笑った。
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