Spencer F. Katt

Web 2.0に傾斜するグーグル

2007/10/15


 コラムのネタになりそうなニュースや噂話を探しながら、「Web 2.0には、なんだか胡散臭いものが多いね」と吾輩はつぶやいた。マーケットアナリストや大手企業の販売部門が派手に取り上げる技術トレンドってヤツには、ついつい懐疑的になってしまうのだ。

 いまやWeb 2.0と称するものほど、人々にFUD(恐怖、不安、疑念)を感じさせるものはない。なにしろこの言葉の定義は、ウェブスター大辞典の収録語より多いからね。Web 2.0が流行りだしてからというもの、ガジェットや無線デバイス、ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)、あるいはオンラインテレビ会議サービスなど、どれもいつかはエンタープライズ環境に浸透していくだろうと盛んに喧伝されてきた。

 それでも吾輩はなかなか疑念をぬぐいきれなかったが、iPodのスイッチを切り、BlackBerry 8820評価ユニットを起動しながら、ふと、最近の消費者の熱狂はもしかすると本物かもしれないと思った。

 先日取材でシカゴを足早に訪れたとき、グーグルがSNSのMySpaceに9億ドル投資する意向だという噂を耳にした。どうやらMySpaceのオーナーであるニューズ・コーポレーションと同社会長のルパード・マードックが、グーグルの提案を真剣に検討しているらしいのだ。もっとも、いまのところ結論はすぐに出そうにない。

 チャイナタウンに潜む情報屋によると、グーグルは現在所有するYouTubeとMySpaceを利用してクロスマーケティングな広告やプロモーションを展開するアイデアを持っているという。同社はMySpaceに投資し、Web上で最も成功している2つのネットワーキングサイトを連動させて莫大な利益を上げようと目論んでいるのだ。

 それはそうと、オンラインストレージバックアップベンダのMozyがEMCに買収された。Mozyは当初、消費者向けにオンラインでPCデータをバックアップするサービスを提供していたが、その後、ゼネラル・エレクトリック(GE)と1000万ドルの契約を結んでいる。

 なぜそんなことができたのか? 吾輩は友人のアナリストに電話をかけて聞いてみた。そいつの説明によると、なんでもGEのCIOゲーリー・レイナーが自宅のPCでMozyを利用していて、「こりゃ会社でも使える」とひらめいたのが契約に結びついたそうだ。

 そのあと、マサチューセッツ工科大学で開催された先端技術カンファレンスの情報を得ようと、吾輩は行きつけのパブに向かった。そこで聞いた話によると、イベントで注目を集めていたガジェットの1つは、カンファレンス参加者に付与された従来のIDタグに代わる新しい無線デバイスだったという。

 そのタグにはオプションなどのメニューが表示され、Palmでデータをやり取りするように、参加者同士がコンタクト情報を無線でやり取りできるものだったらしい。開発したのは、エヌタグ・インタラクティブというボストンの企業だそうだ。

 そのタグ、見た目はなかなかスマートなものだったらしいが、パフォーマンスはそうでもなかったようだ。情報の送受信が不安定だったという。正確に情報を転送するためには、少なからぬ忍耐と粘り強さが必要だったらしく、まったく機能しないときもあったとか。

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