Spencer F. Katt

ブログで伝えたい情報がある場所

2007/11/26


 最近、頭髪に白いものが目立ち始めた吾輩だが、「Lotus 1-2-3」がまだミッチ・ケイパーの瞳のきらめきに過ぎなかったころから、ソフトウェア産業をあちこちかぎまわっていた。ソフトウェア会社がいつしか巨大なキャッシュ製造マシンに変貌していく姿をいくつも見てきた。将来を約束された会社が、膨大な16進数コードの瓦礫の中で無様に崩壊していく瞬間を目撃したことも1度や2度ではない。

 しかし、この業界はソフトウェア会社のトップが「もはやソフトウェアで儲けるつもりはない」と言い切るほど大きく変化した。彼らにとって最も価値のある資産は、いまやユーザー人口そのものだ。それはまさにグーグルの収益モデルに他ならない。

 「Interopニューヨーク」でグーグル・エンタープライズの製品開発ディレクター、マット・グロッツバックが、なぜグーグルは3年から5年先の収益を予測しないのかという話を始めたとき、トレンドに敏感な吾輩はすぐさま耳をそばだてた。

 「グーグルには信念というか、マントラのようなものがいくつかある。その1つが、『ユーザーにフォーカスすれば、収益モデルは後からついてくる』というものだ」とグロッツバックは語った。

 「私が気にして毎日チェックしている判断基準、それはエリック(シュミット)もラリー(ページ)もサージェイ(ブリン)もチェックしているものだが、われわれのアプリケーションの利用状況だ。その値が有意なレベルで変化しているかどうか、毎日必ずチェックしている」と彼は言う。

 インターネットはグーグルを技術系企業からメディア企業へと変貌させた。もはやソフトウェアのパッケージやサービスを売ることより、1人でも多くのオーディエンスを得ることのほうが重要なのだ。どうやらおじさんたちの時代は終わったようだな。

 それはそうと、地図を利用してWeb上で面白いことをやっているポップコーンスタンドは、なにもグーグルだけではないことをシカゴの情報屋が教えてくれた。学生向けSNSのフェイスブックが、トラベルアプリケーションの「WIB(Where I've Been)」とCBSのリアリティ番組「アメイジング・レース」を連動させたという。アメイジング・レースの競技者が過去11シーズン中に訪れた目的地をWIBでマップに表示できるようになったそうだ。また競技者がいる最新の地点も示してくれるらしい。フェイスブックのユーザーは、「アメイジング・レース」のマップをプロファイルにリンクすれば、競技の進展をリアルタイムで追うことができるとか。

 フェイスブックが企業や団体もプロファイルを作成してソーシャルネットワークに参加できるようにしたあと、すぐにマップを利用したタイアップの動きが出てきたのは偶然ではないだろう。SNSと企業の連動には無限の可能性がある。もっとも全部が全部ポジティブなものとは限らないけどね。もしかすると、フェイスブックのユーザーは洪水のようなマーケティング攻勢にさらされるかもしれない。しかし、映画の予告編から政治的キャンペーンまで、あらゆることを結びつけるタイアップの効果的な手法が新たに登場したことだけは確かだ。

 寒風吹き荒れるニューヨークの街角をうろついているとき、吾輩は米国中のローカル情報を共有するWebサイト「Outside.in」が、「米国で最もブログに書かれる場所」のリストを発表したことを耳にした。そこでなにが起きているか、そこで人々はなにをしているか、いま最も伝えたい情報が存在する場所のリストだ。予想通りというか、トップ10にはミネアポリスの高速道路橋「I-35」の崩落事故現場とマンハッタンの「グランドゼロ」が含まれていた。

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