Spencer F. Katt
エンタープライズ2.0にも熱波到来?
2008/07/09
数週間の出張を終え、無事ボストンに戻ってきたものの、この時期としては記録的な熱波に見舞われ、市内はまるでスチームバスのような状態になっていた。
吾輩はその足で「Enterprise 2.0」コンファレンスが開かれているウエスティン・ウォーターフロント・ホテルへ急いだ。そこではさまざまなベンダが、いつものように先を争って、マイクロソフトやその他の大手企業に売り込みをかけているはずだった。が、その会場には、元マイクロソフトのソフトウェアマネージャで、エンタープライズソーシャルソフトウェアを提供するテリジェント・システムズのCEO、ロブ・ホワードが清々しい新風を吹き込んでいた。
ホワードが吾輩に語ったところによると、彼はいま自分の会社を軌道に乗せ、主力の「Community Server」をスタンドアロン製品として確立することに全力を挙げているという。もちろん、テリジェントは他の提携ベンダーの場合と同様、マイクロソフトのSharePointとも統合化を進めている。しかしホワードは、この市場をソーシャルソフトウェア分野に弱い大手ベンダーに直接アプローチできる場としてだけではなく、事業拡大の絶好のチャンスと見ていた。
「うちを買収したいなんて言い出さなきゃいいけど」とホワードは、あり得なくはないとしながら、マイクロソフトの買収攻勢を揶揄した。「この市場は20億ドルないし30億ドルの規模がある。私としては、もうしばらくとどまりたいところだ」
テリジェントは、ホスト型およびオンプレミス型として提供する自社プラットフォームの新しいエディションから、マイクロソフト風のイヤーモデル名を採用した。いまのものはCommunity Server 2008だが、ホワードによると、同社は8月にもアップグレードを計画しているという。そのエディションでは、Microsoft Exchangeとの統合化が行われる見込みだ。
会場で行われていたプレゼンテーション・セッションで、グーグルのエンタープライズ製品マネージャ、リシ・チャンドラが、「GmailとCalendarへのオフラインアクセスを近く可能にする」と話していた。Docsのワードプロセッサやスプレッドシート、プレゼンテーション機能がオフラインで利用できるようになってから、わずか2カ月での決定ということになる。
チャンドラの発言は、重要な新事実への言及というわけではないが、グーグルが以前約束したことを再確認した以上の意味がある。セッション終了後、吾輩は彼を追いかけ、それらのアプリケーションがいつからオフラインで利用できるようになるのか聞いた。もちろんスクープを期待してのことだったが、チャンドラから得られた答えはお決まりのものだった。「準備ができしだいだ」
チャンドラの答えは、それはそれで納得のいくものだ。なにしろ、それらのアプリケーションは毎日数百万ものユーザーが利用している。当然、慎重の上にも慎重に事を進めなければならない。もし失敗したら、世界中のブログで非難の嵐が吹き荒れるだろうからね。
いずれネット上のサービスすべてがオフラインでも利用できるようになることを、吾輩も心から待ち望んでいる。そうなれば信頼性の高いWeb接続環境から一時的に離れるにしても、なんら心配する必要はなくなるからだ。それに、ニューヨークからサンフランシスコへ移動する間にプレゼン資料を仕上げる、なんてカッコいいじゃないかって? その点に関しては、ちょっと複雑なところがあるな。吾輩の場合、できることならビジネスクラスのシートでiPodを聴きながら、エアライン・グレードのシャルドネが注がれたグラスを傾けたいところだ。
[英文タイトル] Kitty dodges heat at Enterprise 2.0
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