Spencer F. Katt

ヴイエムウェアをめぐるさまざまな憶測

2008/08/04


 根っからの商売人である吾輩は、新しい「iPhone G3」をタダで手に入れる画期的な方法を編み出した。といっても、きわめて簡単な方法だ。アップルストアのエントランスから延々と続く行列に加わり、ある程度時間が経ったら自分の場所を60ドルで売るだけ、である。

 先頭から30番目くらいになったとき、吾輩はそのポジションを60ドルで売った。同じことを2回繰り返し、3回目は先頭から16番目になるまで待って100ドルで売った。その儲けで、吾輩は新品のiPhone 3Gをゲットしたのである。

 一方、その間も吾輩のビンテージモデル(まあ、使い古しの電話ってことだけど)には、ヴイエムウェアのCEO、ダイアン・グリーンが追放されることになった理由について、さまざまな憶測を伝える着信が相次いだ。ある情報屋は、「ヴイエムウェアからグリーンが追い出されたのは他社へ身売りするため」という裏情報があることを教えてくれた。

 また最近業界でささやかれているもう1つの憶測は、「インテルがヴイエムウェアに関心を示している」というものだ。ヴイエムウェアの仮想化技術を自社のチップとBIOSに埋め込み、すべてのPCあるいはサーバマシンで自動的に仮想パーティショニングを実現しようと考えているとか。もちろんインテルは、そんなことなにも明言していない。

 でも、EMCがヴイエムウェアから手を引こうとしているのではないかという観測は、あまり信用できない。EMCは、さきごろ正式版がリリースされたマイクロソフトのHyper-Vに、それほど大きな脅威を感じているだろうか?

 それはそうと、マイクロソフト・アプリケーションの再販業者から、同社のSaaS(サービスとしてのソフトウェア)戦略に関する不満を書き連ねたメールが届いた。もしマイクロソフトが既存チャネルの収益性を考慮せずにSaaSにまい進するなら、「パートナー企業の不満は爆発するだろう」とメールの送り主は警告している。

 「ビジネスアプリケーション(Officeなどではなく本格的ビジネスアプリケーション)市場におけるマイクロソフトの最大のアドバンテージは、販売チャネルにあった」と再販業者は指摘し、「もしそれらの製品のホスティング版に利益の相当部分を移すというのであれば、従来の強固な販売チャネルは一瞬にして消滅するだろう」と息巻く。

 さらに、「彼らは、ライセンス製品を販売するパートナーの収益の一部を奪おうとしているのだ」と、その再販業者は強調する。

 メールの送り主はまた、ほかのSaaSベンダはもっと寛容だとして、こう続ける。「例えばネットスイートなどは、最低でも初年度サブスクリプション料の30パーセント、更新料の30パーセントを再販業者に支払っている。ライセンスモデルからサブスクリプションモデルに移行する場合、少なくともパートナーにはそのレベルの補償が不可欠だ」

 ところで話は変わるが、先週はじめ、吾輩はブリンクスのCEOサランガ・チャンドラティレクと話す機会があった。いい機会なので、動画検索プラットフォームを他社に提供するBlinkx Red Labelプロジェクトについて聞いてみた。

 チャンドラティレクは、同プロジェクトの狙いが、ライバルのグーグルに対抗し、オンライン上でブリンクスの動画検索のシェアを拡大するためであることを認めた。

 しかし彼は、あまり人々に知られていないもう1つの狙いについて、吾輩にヒントをくれた。それはこうだ。Web 1.0の時代、ハイテクの理想主義者たちはユーザーの最終目的地となるサービスの構築に躍起になっていた。もし最終目的地として人気のあるサービスを開発できなかったら、彼らの事業は失敗した。

 だが、いまやロングテールのWeb 2.0のおかげで、起業家を取り巻く環境は激変した。彼らは今日、巨大なソーシャルネットワークやポータルサイトに乗っかってビジネスを展開することが可能になったのだ。そして、「それこそがRed Labelのエッセンスである」とチャンドラティレクは語った。

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