「HP BladeSystem c3000」を社内導入し、そのメリットを日々実感しながら、サーバ管理の勉強を続けるあきこちゃん。でも、電気代を管理する総務部には「サーバルームの電気代が高過ぎ!」と怒られています。運用管理のしやすいc3000を増設したいと考えているのですが、サーバルームの電力容量がいっぱいでこれ以上の増設は難しい様子。あきこちゃんは、x86サーバのエキスパートである、ペディアくんに相談しました。
古いサーバが消費電力を増やしている |
あきこちゃん、困っているみたいだね。問題を整理すると「電気代がかかりすぎる」ことと、「サーバルームにこれ以上サーバを増設できない」ことだね。いずれも原因は10年前から使い続けている古いサーバだ。どうもあきこちゃんの会社には昔のオフコンが残っているようだね。最初に言ってしまうけど、根本的に問題を解決する方法は、この古いサーバをリプレースすることだ。
といってもリプレースを提案するには具体的な理由が必要だね。その理由を一緒に考えてみよう。まずは「電力コスト」について。実はサーバ単体の価格低下もあり、システムに必要なハードウェアの導入コストは、ここ数年低下傾向にある。しかし、電力コストは何倍にもなっているんだ。これはサーバ台数が増えたこと、そしてサーバを冷却するためのコストが増大していることが背景にある。いまやサーバを1台購入するコストよりも、サーバを使い続けるコストの方が高額ということになっているんだ。あきこちゃんのようなサーバの運用管理者だけでなく、総務担当者もサーバを使い続けるコストに注目している。
サーバの購入価格よりも、2年分の電力コストの方が高額になっている |
サーバルームの消費電力が増えることで困ることは何だろうか。もちろん、あきこちゃんの会社の電気代が増えてしまうことはとても困るね。しかし、もっと重大なのはあきこちゃんの会社のビジネスが急拡大したり、社員が急増してもサーバルームにサーバを増設できないことだ。これではサーバのためにあきこちゃんの会社のビジネスが止まってしまう。
サーバルームは一般的に電力容量があらかじめ決まっているから、無制限にサーバを設置できるわけではない。高消費電力なサーバではそれだけ増設できるサーバ台数が限られることになる。サーバを設置するスペースは余っていても電力が足りずにサーバを設置できない、ということが発生している。実は、サーバルームにもっとサーバを設置したいから低消費電力なサーバにリプレースするというケースはとても多いんだよ。
急激に進むプロセッサの低消費電力化 |
サーバの電力で困っているなら最新型プロセッサを搭載したサーバへのリプレースを検討すべきだ。マルチコア化によってプロセッサは最近、急速に低消費電力になっている。例えば、「インテル® Xeon® プロセッサー」で、45nm High-Kを採用した最新の5400番台と従来の5300番台を比較すると、同じ消費電力当たり38%の性能向上がある。
またデュアルコア時代のXeonと比べると性能は2倍、シングルコアのXeonと比べると6倍の性能になっている。逆にいうと最新型のクアッドコア・プロセッサは性能当たりの消費電力がデュアルコアの2分の1、シングルコアの6分の1になっているということだ。シングルコアのXeonを搭載したサーバを使っているなら、そのサーバ6台分の仕事を、クアッドコアのXeonサーバ1台が同じ消費電力でこなすことができる、ともいえる。古いサーバが過剰に消費する電力のコストで、最新型サーバが買えてしまうのが現状だ。
古いサーバの消費電力が多い原因は、常にプロセッサを最大能力で動かしていることも理由だ。自動車でいうなら常にフルスピードで走っているということ。しかし、サーバも自動車と同じでスピードを落とすことがある。アプリケーションの稼働状況や時間帯によって、サーバにかかる負荷の状況は変化するのが一般的だからだ。プロセッサの稼働率は平均すると20%程度との調査結果もある。
サーバをあまり使っていないのにプロセッサは常にフル稼働で、目一杯電力を消費――この問題を解決するのが、HP ProLiantのほとんどのモデルで搭載されている「パワーレギュレータ」機能だ。
パワーレギュレータ機能は、サーバへの処理負荷に応じてプロセッサのクロックを制御できる機能。例えば、アプリケーションを動かしていない夜間などのアイドル時には3.0GHzのクロック周波数を2.0GHzに動的に変更して、消費電力を抑えることなどができる。
このクロック周波数の変更は、機能を有効にしておけば処理負荷を検知して自動で行われる。そして負荷がかかってくると再びクロック周波数を上げて、フルパワーでサーバを動かすことができる。そのためアプリケーションの動作が遅くなるということはないわけだ。HPによると本機能を利用することで、パフォーマンスに影響を与えずに、トータルで10%程度の消費電力の削減が期待できるという。このような機能を持つのも最新型サーバの特長だ。
複数台サーバの消費電力を管理するIPM |
サーバルーム全体の消費電力削減で難しいのは複数台のサーバを管理しないといけないことだ。サーバは使っているプロセッサやストレージ、負荷状況が当然バラバラ。消費電力を削減する方法も異なる。多くの企業ではサーバ消費電力の削減にどこから手を付ければいいのかすら分からないことが多い。
消費電力削減の最初のポイントは個別サーバ、サーバルーム全体の消費電力を把握することだ。これはツールを使わないと難しい作業だ。そこで複数台のサーバを使っているあきこちゃんのようなユーザーにお勧めしたいのが、HP ProLiantの管理ツールを提供するソフトウェアスイート「HP Insight Control Environment(ICE)」に含まれている、「HP Insight Power Manager(IPM)」だ。IPMは単一、または複数サーバ、ブレード・エンクロージャの消費電力と、サーバの吸気温度をデータとして収集できるツールだ。これまで何度か説明した「HP System Insight Manager(SIM)」を使って一元的にサーバ電力を管理できるようになる。
「HP Insight Power Manager(IPM)」の利用画面。単一、または複数サーバから消費電力や吸気温度についてのデータを収集し、グラフにして表示する(クリックで拡大します) |
IPMの機能は主に3つある。1つは「取得したデータを時系列でグラフ化し、管理者に見せる機能」だ。グラフ化できる機能は電力消費、CPUパフォーマンス、吸気温度。時間、日、週、月、年単位でデータをグラフ化することができ、電力コストや冷却コストにかかる傾向や問題点を見つけて、対処することができる。
また、複数サーバのデータをグラフ化することもできる。複数サーバでは電力消費と吸気温度の2種類のグラフを表示する。サーバをグループに分けて表示することも可能だ。
2つ目の機能は「サーバの消費電力をコントロールする機能」だ。IPMを使えば上記のパワーレギュレータ機能の設定を複数のサーバに対して同時に変更することができる。一台ずつ本機能の設定、変更する手間を省き、現状の設定状態も一元的に管理できる。
さらに、単一、複数サーバを対象にサーバの消費電力の上限を設定することも可能。一般的に用意する電源設備は、サーバの最大の電力量を考慮したものになるが、実際には、最大負荷で稼動するケースはまれであるため、サーバの消費電力はその最大電力量を下回るのが普通。消費電力の上限を設定することは、それ以上の電力が必要な際にパフォーマンスの劣化につながる恐れがあるが、実際の消費電力の傾向をIPMで知ることが可能であるため、それに合わせて電力消費の上限を決めておけば、安全に消費電力を節約でき、サーバルームに多くのサーバを設置できるようになる。
3つ目の機能がリプレースを提案しようとする運用管理担当者にとっては最適な、「予想年間コスト算出機能」だ。これはIPMで管理するサーバの消費電力と冷却コストなどから年間にかかる電力コストを計算する機能だ。あらかじめ電力単価を入力しておくことで、リアルなコストをシミュレーションして算出してくれる。最新の省電力サーバの効果をコスト的にも明確にし、古いサーバをリプレースする際の目安にも使うことができる。コスト削減効果を示すことで、リプレースも提案しやすくなるだろう。
IPMで算出したサーバルームの予想年間コスト。電気価格を入力することで、消費電力、冷却コストから年間の負担額を算出することができる(クリックで拡大します) |
HPはこの統合電力管理を実施するのに必要なIPMと「HP Integrated Lights-Out 2(iLO2)Advanced」を含んだスイート製品「HP Insight Control Environment(ICE)」も提供している。iLO2 Advancedはもともと、サーバ単体の電力データ、温度データを収集する機能があるけど、標準では24時間しか蓄積することができない。IPMと組み合わせることで、この電力データと温度データを一元収集し、長期間保存することが可能となる。iLO2 Advancedは遠隔操作もできるので、離れた場所のサーバ画面を手元に呼び出して、設定変更や再起動、BIOS変更などの運用管理をすることができる。通常の運用管理に加えて、電力コストも監視したい人には最適だ。
サーバルームの予想年間コストまで見られるなんて!運用管理ツールも上手に使えば 、私の仕事もさらに楽になりそう!オフコンは処理スピードに不満があったし、次に壊れたら修理も大変。4年たったらCPUもチップセットも刷新されると聞いたことがあるし、この際、買い換えてしまうのが賢い選択ね。
今回は運用管理面からサーバの消費電力について紹介したけれど、あきこちゃんが使い始めた「HP BladeSystem」にも、実は低消費電力に関連する機能がたくさんあるよ。次回はその機能について詳しく紹介しよう!【後編(11月公開予定)へ続く】
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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT編集部
掲載内容有効期限:2008年10月31日
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