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中堅スーパーのデータ活用物語
〜はじまりはExcelのデータだった〜
「BIなんて人ごと」と思っていたシステム管理者の挑戦
第1回 いままでどおりのExcel分析じゃ足りないの? |
県内で全10店舗を運営する地方の中堅スーパー「フクフクドー」。ここでも、ITを積極活用する重要性は認識されているものの、どうすればいいのか、という具体策となるといい手が浮かばず、「いずれは、やらないと」という段階で足踏みしている。IT部門でシステム管理を担当する番次郎と、その下で目下修行中のいぶきも、「攻めのIT投資」や「差別化と競争優位のためのIT」などのうたい文句は気になるものの、目の前にあるシステムの運用管理作業に追われて、なかなか新しいことに着手できずにいる。そんなとき、営業現場からIT部門に「支援要請」が寄せられた。現場の切なる要望には応えたいが、いったいどうしたらよいのか……。いぶきの奮闘が始まった。
* この物語はフィクションです。登場人物や団体、文中で使用するデータなどは、すべて架空のものです。 |
登場人物 |
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番次郎(ばんじろう)。31才。「フクフクドー」情報システムの実質的な管理責任者。新しいことのリスクを常に考える慎重派。立場上、情報システムの最新トレンドには敏感だが、多くはIT企業の都合のよい売り口上であり、中規模システム管理の現場を担う自分には無関係だと思っている。 |
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いぶき。25才。修行中ではあるものの、チャレンジ精神旺盛な新米システム管理者。新しいことに興味津々。椎来(しいくる)の依頼を何とか解決しようと孤軍奮闘する。上司でもある番次郎を何とか説得して、最新のデータ分析手法にチャレンジする。 |
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椎来 太郎(しいくる・たろう)。31才。番次郎と同期入社の営業企画部課長。手元にあるさまざまな情報をうまく活かして売り上げ増大につなげたいが、従来のありきたりなExcelの集計だけでは、具体的にどうしたらよいか、なかなか糸口が見つからない。 |
■データの海に溺れる
フクフクドー営業企画部課長の椎来(しいくる)は、この数日というものExcelの画面と向き合っていた。営業企画として、店舗の売り上げ拡大策を何とか考え出して提案しなければならないものの、これまでもあの手この手と考えつく施策は実施してきており、さらに斬新で効果的なアイデアなど、そう簡単に思いつくわけもない。「困ったときは顧客に聞く」という基本に立ち返って各店舗でアンケート調査を実施してみたが、その回答をExcelで整理したところで手が止まってしまった。
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回答の多い順に並べ替えてグラフにしてみても、そう驚くような結果にはならないよなぁ。上位はだいたい予想どおりの回答だし。何かこう、思っても見なかった意外な気付き、ってものがほしいところだけど……。
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椎来は仕事がらExcelの操作には相当習熟している。さまざまなグラフを出してみたり、クロス集計を試してみたりと、多彩なテクニックを駆使してみたが、今回はそれだけでは解決できない様子である。さすがに煮詰まってきた椎来は、気分転換を兼ねて、以前別のデータ集計を手早く片付けてくれた情報システム部門のいぶきに相談してみることにした。コンピュータの専門家なら、自分とは違った手だてを持っているかもしれないと考えたからだ。
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……というわけで、このアンケート結果から、何か新しいアイデアを引き出したいけど、思いつかなくて。いい手はないかなぁ。
なるほど。私たちがまだ気付いていない顧客ニーズを明らかにしたいんですね。回答者の性別や年齢別に個別集計してみるというのはどうですか?
う〜ん。それはもうやってみたけど……。
コンピュータはアイデアを思いついたりしないからね。椎来が困っているのは分かるけど、コンピュータに過大な期待を抱くのは間違っていると思うよ。
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椎来の悩みは分かるが、番次郎の意見も分かる。椎来が引き上げた後、いぶきは前々から感じていた疑問を番次郎に投げかけた。 |
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番次郎さん、私たちは単なるコンピュータのお守り役じゃないはずですよね。こういうときに現場の役に立つ解決策をサッと提案できないと、コンピュータを動かすための雑用係だと思われちゃうんじゃないでしょうか……。 |
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そう、うまくはいかないよ。でもまぁ、いい機会だからちょっと勉強してみたらどう? ITで何ができるか、何ができないか、ちゃんと知っておくのも大事だからね。 |
どうやら番次郎は、ダメと知りつつも、いぶきに自力で解決策を見付けさせるつもりのようだ。いぶきもその空気は察したが、逆にあっと驚くような成果を上げて番次郎の予想を裏切ってみたいとも思い、いろいろと調べてみることにした。
■BIって使えるの?
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まず始めは、「データを分析する」って辺りかな?Webで検索してみて手がかりを探してみようっと。 |
インターネットでの調査を開始したいぶき。便利な検索エンジンのおかげで、役に立ちそうな資料がたくさん見つかった。翌日には、さっそく番次郎にアピールを始めた。
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今回の椎来さんのような場合には、データを分析して、そこから有用な情報を抽出する、データマイニングという手法が使えるようですよ。さまざまなデータ分析手法でビジネスの意思決定に役立てる「BI(Business Intelligence)」という手法です。フクフクドーでもこのBIの活用を検討してはどうでしょう。
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あらら、そう来たか。何を見たか知らないけど、インターネットにはんらんしている流行語に惑わされたらダメだよ。
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どうやら番次郎は、すべてお見通しのようだ。 |
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大まかな概念はともかく、IT部門の視点としては、BIを実現するにはどんなシステムが必要か、ってところに踏み込まないとね。ちゃんと調べてもらえれば分かるハズだけど、BIソリューションっていうのは相当に高額なもので、大企業の大規模な情報システムが対象だったと思うよ。いまのフクフクドーの規模じゃあ関係ないだろうね。 |
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番次郎さん、「ビールと紙おむつ」ってエピソード知っています? 何でも、アメリカのスーパーで販売動向を調べたら、「土曜日に紙おむつを買いにくる男性は、同時に缶ビールも買っている」ということが分かって、紙おむつ売り場の近くにビールを置いたら、ビールの売り上げが大幅に伸びたとか。これにデータマイニングっていうBIの手法が使われたそうです。こういうレベルなら、ウチでも分析できるんじゃないでしょうか。 |
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ああ、「ウォールストリートジャーナル」に掲載されたとかってやつね。でもその話、諸説があって、本当の事例かどうか疑問視されているらしいよ。 |
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えっ? そうなんですか……。 |
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詳しくはWebの記事「ビールと紙おむつ」を読むといい。まぁ、だからといってBIやデータマイニングが役に立たないって話にはならないけどね。でも、フクフクドーでBIをやるっていうのは、すぐそこまで買い物に行くのにハイヤーを呼ぶような話だなぁ。 |
どうやら番次郎は、BIやデータマイニングについて、ひととおりのことは知っているようだ。Webでちょっと検索して分かったつもりになっていたいぶきでは、まるで歯が立たない。とっておきのエピソードだと思っていた話も、あっさり否定されてしまった。半分あきらめつつ、いぶきはインターネットで見付けたサービスについて番次郎に話してみた。
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本格的なBIソリューションを導入するのは無理にしても、すでにみんなが使っているExcel 2007を活用するというのはどうでしょう。何でも、マイクロソフトのSQL Server 2005をバックエンドの分析エンジンとして使い、フロントエンドはExcelを利用してデータマイニングを実行する方法(SQL Server 2005 Data Mining Add-ins for Office System)もあるそうです。これにはExcelに追加ソフトをインストールする必要がありますが、追加ソフトウェアはマイクロソフトが無料で提供しています。 |
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へぇ、Excelねぇ。まぁExcelなら全社のクライアントPCにインストールしてあるからね。でもそもそも椎来だって、Excelでの分析に行き詰まってここに来たんだろ? |
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ですから、Excelだけじゃなくて、SQL Serverの「Data Mining Engine (データ マイニング エンジン) 」と組み合わせることで、Excelだけでは実行できないような高度なデータ分析ができるんです。 |
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なるほど、そういうことか。でも、SQL Serverのほうは無料ってわけにはいかないだろう? いくら掛かるのか知らないけど、予算も限られているし、効果がはっきりしないことに出費はできないね。無理せず、クライアントのExcelだけでできるようなデータ解析の手法がないか、それを調べて椎来に教えてあげれば。 |
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うーん。BIとかデータマイニングって、ウチにも役立つ技術だと思ったのに……。番次郎さんにはずいぶん嫌われているみたい……。 |
■百聞は一見にしかず
BIの活用をあっさり否定されてしまったいぶきだが、まだあきらめてはいなかった。いぶきは、SQL Server 2005 Data Mining Add-ins for Office Systemについてさらに詳しく調べてみた。
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BIは試してみたいけど、効果も分からず出費できないという番次郎さんの意見ももっともだわ。SQL Serverかぁ……、何とかいい方法はないかしら……。あっ! |
数日後、いぶきは再び番次郎に提案を試みた。
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クライアントPCのExcelと、SQL Serverに内蔵されたData Mining Engineを組み合わせて高度な分析ができること、前回お話ししましたよね。 |
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ああ、BIの話ね。まだ考えていたの? でも、いまのウチの環境じゃちょっと難しいっていう結論だったよね。 |
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ええ。試すにはSQL Server 2005の環境が必要で、効果も分からないことに出費はできないってことでした。でもよく調べたら、マイクロソフトが評価用として、SQL Server 2005のData Mining Engineをサービスとして利用できる体験サイトを用意していました。 |
マイクロソフトの特設サイト「Business Connection」にアクセスするには、以下のWebページの[BI体験はこちらから]ボタンをクリックし、Windows
Live IDでサインインを行う。「Business Connection」で「より高度なデータ分析を Excel で手軽に実現!『簡単データ分析キャンペーン』実施中!」のリンクをクリックすれば、SQL
Server 2005のData Mining Engineをサービスとして利用できる体験サイトへアクセスできる。
・Business Intelligence(マイクロソフト)
http://www.microsoft.com/japan/solutions/bi/default.mspx |
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マイクロソフトの特設サイト「Business Connection」にあるキャンペーン紹介ページ
無償のWindows Live IDを取得すればアクセスでき、SQL ServerのBI機能をいろいろ試してみることができる。 |
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Data Mining Engineをサービスとして? |
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マイクロソフトが用意したSQL Serverを、インターネット経由で使えるようにしているんです。インターネット経由でマイクロソフトが用意したSQL Server 2005にアクセスして、そこのData Mining Engineを利用します。あくまでも試用版なので、使えるのは1週間ですが、無料で試せます。 |
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へぇ、無料ねぇ。 |
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ただしデータマイニングを試すには、クライアントPCに「Data Mining Add-ins for Office System」をインストールする必要があります。前回お話ししたとおり、こちらも無償ですが、新規ソフトウェアのインストールになるので、許可をいただきたいのです。 |
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いきなり全員にインストールするつもりなの? |
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いいえ。まずは私と椎来さんのPCに入れて確認してみます。 |
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う〜ん。まぁ、セキュリティ面での問題はないだろうけど、データマイニングなんてホントに役に立つのかなぁ? |
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効果のほどは分かりませんが、試す価値はあるじゃないでしょうか。Web上の試用サービスですけど、解析する対象には手持ちのデータを使えますから、椎来さんが持っているアンケートの結果も解析できます。データもコンパクトですし、試してみるにはちょうどいいと思います。 |
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アンケートをデータマイングで分析かぁ……。BIっていうのは、もっとスケールの大きな話だと思っていたけど。まぁ、無料ってことなら、試してみればいいんじゃない? |
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ありがとうございます! |
椎来の相談をきっかけに始まったいぶきの挑戦は、ようやくスタートラインに付いたようだ。はてさて、データマイニングはいぶきの期待どおり、新しい発見をもたらしてくれるのだろうか。いぶきはさっそく椎来のところに行き、SQL Server 2005 Data Mining Add-ins for Office Systemによるデータマイニングを提案した。
提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:デジタル・アドバンテージ
掲載内容有効期限:2008年1月31日 |