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中堅スーパーのデータ活用物語
〜はじまりはExcelのデータだった〜
「BIなんて人ごと」と思っていたシステム管理者の挑戦

第6回 マイクロソフトのBIソリューションを総括する


<前回までのあらすじ>

 これまで5回にわたり、架空の中堅スーパー「フクフクドー」を舞台に、具体的な事例を想定しながらBI(Business Intelligence)の活用法を解説してきた。最終回となるこの第6回では、フクフクドーを離れて、マイクロソフトのBIソリューションを構成する製品やコンポーネント、テクノロジについて総括しよう。これらの全体像は次のようになっている。

主なマイクロソフトのBI関連製品、コンポーネントの関係

従来業務の中でのBI活用を可能にするExcel 2007

 マイクロソフトのBIソリューションの大きな特徴は、多くのユーザーが使い慣れたExcelを、BI用のデータ入力や、結果出力のフロントエンドとして活用できることだ。具体的には、Excel 2007に無償で提供されているData Mining Add-ins for Office system(以下、Data Mining Add-ins)を追加することで、ExcelからSQL Serverのデータマイニング機能にアクセスできるようになる。今回のケースでも、もともとExcelで集計していたアンケート・データをBIへの入力に利用したり(第2回)、BIでの分析結果をExcelに出力したり(第3回第4回第5回)した。このようにExcelをフロントエンドとして活用することで、従来の作業を大きく変えることなく、使い慣れたExcelを窓口として、BIの価値を業務のさまざまな場面に、さまざまなユーザーに対して提供できる。

 特に最新のExcel 2007では、条件付き書式機能やデータの視覚化機能が大幅に強化されており、データの傾向が一目で分かるようになった。Excelの標準機能だけでも、BIで得られた結果を、より直感的に表現できるわけだ。もちろん必要であれば、データをExcelに取り込んで独自のグラフを作成したり、分析を加えたりすることもできる。

Excel 2007によるデータの視覚化機能
Excel 2007では、データの視覚化機能が強化され、セルの中にデータ・バーやアイコンなどを表示させることが可能になった。これにより、データの傾向などが一目で分かる。また、データ・バーとアイコンを組み合わせることも可能なので、複数の条件に合致したデータなども瞬時に判断できる。

 Excel 2007にData Mining Add-insを追加し、SQL ServerのData Mining Engineをバックエンドで活用することで、Excel単独では難しい予測や、相関・傾向の分析、例外抽出などの高度なデータ分析が可能になる。

BIの必要な機能をパッケージ化した「SQL Server」

 改めて説明するまでもなく、BIソリューションの中心となるのは、データベース・システムのSQL Server 2005である。データベース・システムとして高い信頼性やパフォーマンス、運用性、操作性、拡張性を備えていることに加え、BIに必要な機能やコンポーネントが標準でパッケージに組み込まれていることが、BIソリューションという観点から見たSQL Server 2005の特長だ。ほかのデータベース製品を利用してBIソリューションを構築しようとすると、コアとなるデータベース・システムに加え、複数の追加コンポーネントを別途購入しなければならず、結果として多大な投資が必要となってしまう。これに対しSQL Serverでは、BIコンポーネントやレポーティング・エンジン、カスタム・アプリケーション開発のための開発環境(Business Intelligence Development Studio)など、必要な機能がパッケージに標準で組み込まれているため、追加投資なしでBIソリューションが構築できる。

 具体的には次の機能が標準搭載されている。

  • 多次元データ分析機能
      多次元データ分析とは「Cube(キューブ)」と呼ばれる独自のデータベースを構築することで集計データを多次元構造で表現し、これをさまざまな角度から見ることで、全体の傾向や問題点を把握する分析方法である。分析時に必要なデータを検索・集計するのではなく、事前にキューブと呼ばれる多次元のデータベースにデータを集計しておくことで、オンラインでスピーディにデータを分析できるようになる。SQL Server 2005 Analysis Servicesがこのようなキューブを生成する機能を装備している。

     ユーザーは、ExcelをフロントにしてSQL Server 2005 Analysis Servicesに接続し、ドリル・ダウン(例えば、関東地区から下位の都道府県のデータを見る)やドリル・スルー(例えば、商品カテゴリの製品別明細を見る)といった分析方法を利用することでスピーディに分析が可能だ。

  • データマイニング・エンジン
      SQL Server 2005内部でデータマイニングの処理を実行するのが、SQL Server 2005 Analysis Servicesが標準で装備するデータマイニング・エンジンである。このデータマイニング・エンジンは、SQL Server製品のすべてのコンポーネントと統合されており、データベース処理の任意のプロセスで、リアルタイムにマイニング機能を活用できる。

     SQL Server 2005データマイニング・エンジンの大きな特長は、使いやすさを向上させ、従来は専門家でなければ困難だったデータマイニングを、特殊な知識のない一般のユーザーでも簡単に使えるようにしたことだ。その一例が前述したExcel 2007 Data Mining Add-insである。

  • レポーティング機能
      SQL Server 2005に標準搭載されているレポーティング・サービス・プラットフォームがSQL Server Reporting Servicesである。SQL Server 2005のデータはもちろん、必要であれば、OracleデータベースやODBC経由でほかのデータベースと接続することもできる。結果となるレポートは、HTMLやExcel、PDFなどの形式で出力でき、プリンタへの直接出力も可能である。レポーティング・サービスは、豊富なAPIを備えており、次に述べるSQL Server 2005標準の開発環境であるBusiness Intelligence Development StudioやVisual Studioで開発したアプリケーション、Officeのカスタム・アプリケーションなどと連携させることもできる。

  • データ統合管理ツール(ETLツール)
      BIのシステムを構築する大前提として、データを一元化するためのデータウェアハウスを構築するために、組織内に散在するさまざまなデータ(部署ごとに散在するデータベースやERPなどのデータ)をデータベースに統合する必要がある。そのようなデータを抽出(extract)し、データウェアハウスなどで利用しやすい形に加工(transform)し、対象となるデータベースに書き出す(load)ソフトウェアをETLツールという。SQL Server 2005では、SQL Server Integration Servicesがこれに当たる。

  • 開発ツール
      データベース・エンジンや分析サービス、レポート・サービスを含むBIソリューション構築のためのSQL Server 2005標準のアプリケーション開発環境「Business Intelligence Development Studio」。Visual Studioをベースに開発されており、本格的な統合開発環境であるVisual Studioと共通のGUIを使用して、カスタムBIアプリケーションが開発できる。SQL Server 2005では、追加投資なしでこのような本格的な開発環境を利用可能だ。

高度な情報共有を可能にするMicrosoft Office SharePoint Server

 Microsoft Office SharePoint Serve(MOSS)は、コンテンツやビジネス・プロセスを管理し、情報の検索・共有を可能とするチーム・コラボレーション・プラットフォームである。単純なWebサーバや、共有ファイル・サーバでは不可能な複雑なビジネス・プロセス管理や、ユーザーによるコンテンツへのアクセス管理などを可能にする。フクフクドーのケースでは、SQL Server 2005レポーティング・サービスで生成したレポートを、社内で共有する際のポータル・プラットフォームとして活用し、Webブラウザで簡単にアクセスできるという手軽さと、ユーザーごとのアクセス制限による情報セキュリティ管理を両立させた(第3回)。

 またMOSSには、Excel 2007相当の機能をサーバ側で実行し、この結果にWebブラウザからアクセス可能にするExcel Serviceがある。これを利用すれば、Excel 2007を持たないユーザーでも、ブラウザ経由でExcel 2007シートにアクセスし、内容を確認できるようになる(第5回)。

継続的な業務改善を支援するMicrosoft Office PerformancePoint Server

 企業の活動は継続的なものであり、通常、業務の改善は、分析→計画→モニタリングというサイクルを繰り返しながら、徐々に理想的な状態に近づけていく。BIによるデータ分析と改善策の検討も、こうしたサイクルの中で継続的に実施されることになる。

 こうしたサイクリックな業務改善を効率的に実施することを念頭に開発されたのが、ここでご紹介するMicrosoft Office PerformancePoint Server(PPS)である。PPSは、ユーザーのフロントエンドとなるOffice System、コレボレーション基盤であるSharePoint Server、SQL Server 2005と連携して、計画→モニタリング→分析・レポーティングを支援する。

 紙面の都合から、フクフクドーのケースではご紹介できなかったが、仮にフクフクドーでPPSを利用したなら、経営陣や本社スタッフ、店長など異なるメンバーの間で、BIから得られた情報を活かしながら、継続的な業務改善を効率的に実施することが可能になるだろう。PPSの詳細については、別枠のコラム「Microsoft Office PerformancePoint Server」を参照していただきたい。

Microsoft Office PerformancePoint Server

 企業における継続的な業績管理と改善では、現場の担当者やその管理者、経営スタッフに至るまで、業務にかかわるさまざまなメンバーから情報を収集し、それらを分析し、レポートとしてメンバーにフィードバックするという処理を継続的に実施しなければならない。こうした企業の業績管理に必要な機能を統合したものがMicrosoft Office PerformancePoint Server(PPS)である。具体的にPPSは、大きく「計画(プランニング)機能」「モニタリング機能」「分析・レポーティング機能」の3つの機能を持つ。以下で、これらの機能別に、実装例なども交えながら説明しよう。

  • 計画機能
      業務の現場では、予算や売り上げ、在庫などといった定量化できるデータをExcelで管理していることが多い。PPSの計画機能では、Excel用のアドインを提供することで、Excelを入出力インターフェイスとして利用しながら、コーディング不要で、企業の各所にあるデータを中央で自動集計できるようする。具体的には、Excel用のデータ収集用フォームを中央で管理し、これを各クライアントに配布して、クライアントからデータベースへの情報収集を可能にする。フォームとビジネス・ロジックを中央で集中管理できるので、フォームのバージョン管理を複雑化させたり、バージョンの不整合による障害を発生させたりすることなく、確実かつ効率的にデータ収集ができる。

     例えば以下の画面は、PPSで配布した予算入力フォームをExcel 2007で表示したところである。作業ウィンドウの左端にあるのがPPSによってExcelに追加されたアドインで、ユーザーはここにあるメニューなどを操作することで、データの送信などができるようになっている。

Excelによる計画機能
その都度ダウンロードするExcelの入力フォームにより、サーバ上のデータベースに対してリアルタイムでデータ入力や加工が行える。ビジネス・ロジックをサーバ上で統制できるため、プランニング業務を安全に集中管理できる。
  • モニタリング機能
      計画機能により集約された業務データや実績データを、スコア・カードや分析チャートなどの形式で可視化し、データに何が起こっているのかを分かりやすくモニタ可能にする機能。ウィザードによる対話型の「ダッシュボード・デザイナー」により、素早く簡単にモニタリング用のダッシュボードを作成できる。作成した独自のダッシュボードをSharePoint Serverに発行することで、メンバーで情報を共有することも可能だ。

     またOffice連携では、ダッシュボード・パーツをExcelやPowerPointに静的出力することも可能だ。

     以下は、PPSのモニタリング機能によって作成したダッシュボードをSharePoint Serverに発行した例である。

モニタリング機能により作成したダッシュボード
ダッシュボードは、対話型のダッシュボード・デザイナーにより作成できる。作成したダッシュボードでは、さまざまなデータをまとめて参照できる
  • 分析・レポーティング機能
      多次元スライス・ダイスや分解ツリー、原因分析など、高度な各種の分析機能を提供する。操作しやすいウィザード・ベースのデザインを採用しており、作成したチャートでは、ドリル・ダウンやドリル・アクロスといったインタラクティブな操作も行える。

 このようにPPSを利用することで、企業におけるデータ、フォーム、ロジックの標準化を実現し、経営層から現場の担当者まで、自律的な実践を促しながら、企業全体として戦略的に情報を共有できるようになる。特に、一定以上の規模を持つ企業で、各クライアント・コンピュータの自律性と柔軟性をある程度維持しながら、クライアントの情報を効率的かつ確実に中央に収集し、分析結果を継続的にフィードバックしたいと考えている企業にとって強力なツールとなるだろう。

身近なところからBI活用を可能にするSQL Server 2005

 フクフクドーのケースがそうであったように、マイクロソフトのBIソリューションの特徴は、Excelなど多くのユーザーにとってなじみの深いアプリケーションを窓口として使い、現場にあるデータやニーズを吸い上げながら、最終的には全社で活用可能なBIソリューションを構築できることだ。一般のBIソリューションの中には、ともすれば現場不在でトップダウンにシステムが構築されてしまい、結果的に業務改善に生かされないケースもある。

 「トヨタ式改善」が示しているとおり、企業の競争力を高める改善の情報と知恵は、現場にあることが多い。トップダウン式だけでなく、同時にボトムアップ式にもシステムの構築と拡張、改善ができるマイクロソフトのBIソリューションは、他社製品では実現できないユニークかつ効果的なシステムを構築できる可能性を秘めている。またすでに説明したとおり、SQL Server 2005には、BIソリューションに必要なほとんどの機能が標準で提供されており、追加投資なしでさまざまな拡張やカスタマイズができる点も大きな魅力である。

 Windows+Officeのクライアント・ベースがあり、現場の知恵を生かしたBIソリューション構築を検討しているなら、SQL Server 2005のBIサポートは強力な味方になってくれるだろう。

バックナンバー 「中堅スーパーのデータ活用物語」
第1回
いままでどおりのExcel分析じゃ足りないの?
第2回
Excelでお手軽データマイニングに挑戦!
第3回
商品売上の「見える化」に挑戦!
第4回
レポートの共有に挑戦!
第5回
BIによる在庫の適正化に挑戦
第6回
マイクロソフトのBIソリューションを総括する

提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:デジタル・アドバンテージ
掲載内容有効期限:2008年3月31日
 
関連リンク
マイクロソフト株式会社
Microsoft BI

体験サイト・参考Webサイト
BI体験サイト
Data Mining Add-ins紹介サイト(ビデオ・PDFがあります)
Data Mining Add-ins体験サイト
Data Mining Add-insダウンロード
マイクロソフトのBI宣言
マイクロソフト BIブログ
BIの3つのテーマに迫る!
BI Enterprise Special Seminar(3/14、18、19)
データ集計作業からの解放計画
〜SQL Server Reporting Services で会社をラクに可視化する!〜


 
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