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中堅スーパーのデータ活用物語
〜はじまりはExcelのデータだった〜
「BIなんて人ごと」と思っていたシステム管理者の挑戦

第4回 レポートの共有に挑戦!


 県内で全10店舗を運営する地方の中堅スーパー「フクフクドー」。半信半疑で取り組み始めたBIの導入が予想以上の成果を上げたことで、さらに「データベースのレポートを関係者で共有したい」という要望が出てきた。IT部門の努力で新たなサービスを提供すると、それが刺激となってさらに新しいIT活用要求が生まれるというサイクルが回り出した。こうしてフクフクドーでは、以前では想像もできなかったような、情報活用が可能になりつつある。新たに生じた情報共有というリクエストにIT部門はどう応えるのか。その手腕が問われている。

この物語はフィクションです。登場人物や団体、文中で使用するデータなどは、すべて架空のものです。

 登場人物

番次郎(ばんじろう)。31才。「フクフクドー」情報システムの実質的な管理責任者

いぶき。25才。修行中ではあるものの、チャレンジ精神旺盛な新米システム管理者

椎来 太郎(しいくる・たろう)。31才。番次郎と同期入社の営業企画部課長

<登場人物紹介と前回までのあらすじ>

SQL Serverのレポートを共有する

 椎来から相談された「POSデータの活用」という課題に、ビジュアルなレポートの作成という手法で応えたいぶきと番次郎。椎来からさらに「データ共有」というリクエストが寄せられた。椎来だけがレポートを見られるのではなく、営業企画部のほかのメンバとも共有することで、部員が販促企画や店舗開発などを考える際の材料にしたいというのだ。さっそくいぶきと番次郎は要件の検討を始めた。

 

つまり、この前作成したSQL Serverのレポートを、営業企画部のみんなが見られるようにしたいということだね。

はい。ただし、レポートには生の売上情報が含まれているので、公開範囲は厳密にコントロールしたいそうです。情報ファイルをサーバに置いて、ファイルに対するアクセス権をコントロールすればいいでしょうか?

え〜と。そういえば、この前のSQL Serverのレポートって、ファイルに書き出すようにしてあったんだっけ?

えっ?

いやいや。よく考えてみるとそんなに単純じゃないぞ。今回のケースでは、作成したレポート自体が動的なWebアプリケーションになっていて、参照するたびに最新のデータをデータベースから引き出すようになっているから、ある時点のレポートをファイルで保存しておくというのではあまり現実的ではないね。常に最新情報が見られるようにしたいだろう。

 

なるほど、簡単にはいかないですね。

     
 

確かWindows Server 2003には、Windows SharePoint Services(以下WSS)っていう情報共有のインフラが標準で入っていたはずだけど、あれは使えないかなぁ……。いぶきくん、調査してみてくれない?

 「情報共有」に関しては、BIほどの抵抗感がなかった番次郎だが、少々気楽に考えすぎていたのかもしれない。椎来のリクエストは、単にファイルのアクセス権を設定するだけで解決するような問題ではなさそうだ。いぶきは、WSSで椎来の要望に応えられるのか調査を開始した。

 

番次郎さん、WSSが使えそうです。WSSには、SQL Serverのレポーティング・サービスとの連携機能がありました。SQL Serverが出力する動的なレポートを、WSSを使って共有できるそうです。WSSなら、ユーザーごとにWebアプリケーションへのアクセスを細かく管理ができますから、椎来さんの要望にも応えられると思うんです。

     
 

それはよかった。WSSならWindows Server 2003に標準で入っているから、追加コストなしでいけるね。

     
 

そうですね。基本的なWebアプリケーション共有だけなら、WSSでも対応可能だと思います。ただ、将来的な拡張も考えると、WSSをベースにして、情報検索機能やセキュリティの強化、ユーザーによる情報発信/情報共有用テンプレートの拡充など、企業でのポータル活用を前提に大幅に機能が強化されたMicrosoft Office SharePoint Server 2007(以下MOSS 2007)の購入を考えた方がいいかもしれません。

     
 

そうか。今回のWebアプリケーション共有だけにとどまらず、社員の能力をさらに引き出すために、必要に応じて柔軟に拡張できる情報システム・インフラを構築するってことだな。

     
 

とりあえず今回のケースでは、社内ポータル・サイト内の営業企画部のサイトから、この前作ったSQL Serverのレポートを参照できるようにします。SQL Serverのレポーティング・サービスとMOSS 2007を連携させて、権限が与えられたユーザーのみが、そのページを表示できる、というイメージになりますね。SharePointのアクセス権は、サイト(Webページのグループ)ごとに表示だけとか、編集も可能とか、細かい制御が可能で、複数メンバからなるグループ単位はもちろん、必要なら個人単位でアクセス権を設定することもできます。

     
MOSS 2007のアクセス権の設定画面
サーバのアクセス権とは別にMOSS 2007内のサイトごとにアクセス権が設定できる。アクセス権は、「フルコントロール(ページの編集が可)」「デザイン(ページのカスタマイズなどが可)」「投稿(ページへの書き込み可)」「閲覧(表示のみ)」「表示のみ(ページの表示のみ。ファイルの閲覧は基本的に不可)」など設定可能なので、同じ営業企画部でもある人は閲覧のみ、ある人は編集も可といった設定もできる。
デフォルト設定では、営業企画部員を「閲覧」にしておき、あとは個別にアクセス権を付与することができる。
必要性に応じて、個人単位で「投稿」や「フルコントロール」のアクセス権を追加できる。

 

将来のことを考えたら、柔軟かつ安全に社内で情報共有できるインフラは整備しておくべきだろうね。よし、献立提案棚の一件で、うちの役員たちも情報システムの効果を再評価しているそうだし、多少の出費なら許可してもらえるだろうから、MOSS 2007を購入する方向で行こう。

     
 

はい! では準備を進めておきます。

 番次郎たちによるITシステム活用は、すでに具体的な成果が上がっていると社内で認知されており、MOSS 2007の導入提案はすんなり通ってしまった。会社の変わりようにいぶきは驚くばかりだ。しかし本当のところは、いぶきの知らないところで番次郎が行った根回しの効果も大きかったのだが。

共有データを活用しよう

 MOSS 2007の環境整備を終え、SQL ServerのレポートをSharePoint上で参照できるように設定する作業を終えた番次郎といぶきは、さっそく椎来のところへ出かけた。

 

なるほど。じゃぁ、以前とはアクセス方法がちょっと変わったわけだね。

     
 

はい。SQL Serverのレポーティング・サービスに直接アクセスするのではなく、SharePoint Serverにアクセスすると、以前のレポートが見られるようになっています。


SharePoint ServerとSQL Serverのレポーティング・サービスの連携
番次郎が作成したレポートがSharePointで見られるようになった。これにより、営業企画部内での情報共有が実現した。SharePointでアクセス権の管理もできるため、セキュリティ的にも安全になっている。

 

どれどれ。あぁ、確かにこの前と同じような画面が出てくるね。

     
 

レポート自体には手は加えていないから、画面自体は前とほとんど変わっていないよ。ただ部内のほかの人も、このレポートが見られるようになったところが一番の変更点だね。

     
 

そういうことか。ちょっと誰か試してみてくれる?

 椎来の声に応じて、営業企画部の部員数名が名乗りでた。さっそく、椎来は覚えたてのSharePointの使い方を説明し始めた。すると、以前に椎来が上げたのと同様の感嘆の声があちらこちらで上がったのだった。

すごいだろう。これを元に売場の配置を再検討したり、売上の傾向分析を考えたり、いろいろ活用できると思うんだ。

 椎来が誇らしげに語る様子を見ていたいぶきと番次郎も、大きな達成感を感じていた。

 

さて、これでまずは一段落かな。

     
 

そうですね。でもMOSS 2007にはまだまだおもしろい機能があるみたいなんですよ。

     
 

なんだい?

     
 

実は、MOSS 2007にはExcel Serviceという機能があって、ExcelベースのBI機能をサーバ側で支援できるんです。最初に、椎来さんのPCにインストールしたExcelからBI機能を利用しましたよね。あれをSharePoint Server上で実現することで、データマイニングなどの機能を、自身のコンピュータにExcel 2007をインストールしていない人も、ブラウザベースで利用できるようになるんです。もちろん、分析結果はほかのメンバと共有できますし、SQL Serverのデータを参照して分析する場合などにも、ユーザーが個々にSQL Serverに接続するんじゃなく、サーバ側でデータソースの設定などを済ませておけますから、使いやすさとセキュリティを同時に高めることもできそうです。

     
 

それは便利だね。情報交換のための作業が容易になると、全員のBI活用ノウハウが向上していきそうだね。

     
 

そうなんですよ。さらに、SharePoint Serverに組み込まれたWebパーツを利用して、対話型のBIダッシュボード(BIシステムがバックエンドで動き、集計したり、分析したりした数値をレポートやグラフにして表示するフロントエンド・システム)も作れるそうです。データソースとしてExcelのスプレッドシートやSQL Serverのレポーティング・サービスなども利用できますから、本格的なKPI(Key Performance Indicator:重要業績達成指標)分析だって実現できますよ。

     
 

KPIか……。本格的なBIシステムの世界に踏み込むことになるね。

 そういいながらも番次郎には、もうBI活用に対する慎重な姿勢は見られなかった。どうやら、実践を通じてユーザーに喜ばれる機能を少しずつ実装してきたことで、番次郎のBIアレルギーはいつの間にか解消したようだ。いぶきも、BI実現のために調査と実装を繰り返した経験から、すっかり自信をつけた様子。そんな2人の頭の中では、すでに次なる活用のアイデアが生まれつつあった。

第5回に続く>
 
バックナンバー 「中堅スーパーのデータ活用物語」
第1回
いままでどおりのExcel分析じゃ足りないの?
第2回
Excelでお手軽データマイニングに挑戦!
第3回
商品売上の「見える化」に挑戦!
第4回
レポートの共有に挑戦!
第5回
BIによる在庫の適正化に挑戦
第6回
マイクロソフトのBIソリューションを総括する

提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:デジタル・アドバンテージ
掲載内容有効期限:2008年1月31日
 
関連リンク
マイクロソフト株式会社
Microsoft BI

体験サイト・参考Webサイト
BI体験サイト
Data Mining Add-ins紹介サイト(ビデオ・PDFがあります)
Data Mining Add-ins体験サイト
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マイクロソフトのBI宣言
マイクロソフト BIブログ
BIの3つのテーマに迫る!
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