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中堅スーパーのデータ活用物語
〜はじまりはExcelのデータだった〜
「BIなんて人ごと」と思っていたシステム管理者の挑戦
第3回 商品売上の「見える化」に挑戦! |
県内で全10店舗を運営する地方の中堅スーパー「フクフクドー」。ここでは、さらなる事業成長のための次の一手をどう創り出していくかが目下の課題である。これまでは自社の規模では対象外との思い込みから検討すらしていなかったBIへの試験的な取り組みが予想外の成果を上げたため、ついにBIの本格的な導入が決まった。とはいえ、低予算で高いコストパフォーマンスが求められることに変わりはない。クライアントのExcelと、SQL Serverの組み合わせで何ができるのか、IT部門の挑戦は続いている。
* この物語はフィクションです。登場人物や団体、文中で使用するデータなどは、すべて架空のものです。 |
登場人物 |
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番次郎(ばんじろう)。31才。「フクフクドー」情報システムの実質的な管理責任者 |
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いぶき。25才。修行中ではあるものの、チャレンジ精神旺盛な新米システム管理者 |
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椎来 太郎(しいくる・たろう)。31才。番次郎と同期入社の営業企画部課長 |
<登場人物紹介と前回までのあらすじ>
■SQL Serverの導入
椎来が持っていたアンケートの結果を分析して新たな「献立提案棚」のアイデアを思い付き、上々の成果を上げたいぶき。すっかりBI/データマイニングの世界に魅せられてしまった。一方、予想外の成果に驚いた番次郎も、いぶきに遅れをとってはいけないと、導入に向けて調査を進めていた。
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「献立提案棚」のテスト結果はなかなか上々だったようだね。これまでずいぶんと否定的なことをいってきたけど、結果が出せるとなれば話は別だ。試用サービスじゃなくて、うちでもSQL Server 2005環境を構築して、BIを幅広く活用できるようにしたいと思っているんだ。 |
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えっ、本当ですか!? 実はわたしから正式に提案しようと思って、いろいろと調べていたところでした。 |
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評価目的ということを考えると、独立したサーバ環境にしたいと思う。問題は、計画外の出費が可能かどうかだね。いったいどれくらいかかるのかな? |
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SQL Server 2005については、これからいろいろなことに活用することを考えたらEnterprise Editionの方がいいかもしれません。小規模なところならばStandard
Editionでも大丈夫なんですけど。 |
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そうだなぁ。でも、Enterprise Editionとなると予算が通るか。 |
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Open Business*1だとEnterprise Editionのサーバ・ライセンスは、144万円のようです。これに5CALは最低限必要なので、合計で158万3000円*2ですね。 |
*1 5ライセンスから購入可能なボリューム・ライセンス・プログラム
*2 小規模向けのStandard
Edition(サーバ・ライセンス、5CAL付き)はOpen Licenseで31万3000円から |
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なるほど。うちのような規模では、BIなんて手が出ないと思っていたけど、データベース・エンジンもデータマイニング・エンジンも全部入ってその程度で済むのか。想像していたよりは安いな。ハードウェアの必要要件はどうなっている? |
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え〜と、推奨システム要件で見ると、プロセッサはPentium III-1GHz以上で、メモリも1Gbytes以上ですね。OSは、Windows
2000 Professional SP4から対応していますが、これから購入するならWindows Server 2003になりますね。 |
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それならエントリ・クラスのサーバでも十分だな。ある程度余裕を見込んでも、200万円も見ておけば大丈夫そうだ。予算的にも問題なさそうだね。 |
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そうですか! では、さっそく購入申請を書きます。 |
アンケート分析の一件はすでに上層部の耳にも入っており、予算もわずかだったことから、社内稟議(りんぎ)はスムースに進み、番次郎はWindows
Server 2003 Standard Editionを搭載したサーバと、SQL Server 2005 Enterprise Editionを購入した。購入したシステム一式が到着し、さっそくSQL
Server 2005のインストールを開始した。
■さらなる「眠れるデータ」を探して
「フクフクドー」のBI専用サーバは無事に稼働を開始した。システムの有効活用に向けて、いぶきは再び椎来を訪ねた。
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先日のアンケート解析がうまくいったので、番次郎さんもすっかり乗り気になって、社内にデータマイニング用のサーバを用意しました。椎来さんのアカウントも作りましたから、Excelからいつでもデータ解析ができますよ。 |
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それはありがたいな。試用サイトのアカウントは有効期限が切れてしまったから。いつでも自由に使えるサーバがあればいろいろと試せるよ。 |
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ところで、せっかくサーバを用意したことですし、アンケートの結果解析以外にも何か役立てられないかと思って……。何か困っていることはありませんか? |
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そうだねぇ…。アンケートのように簡単にはいかないだろうけど、POSのデータをもっと活用できないかという議論は、ずいぶん前から営業部の中にあるんだ。 |
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POSデータ…、いきなり本丸ですか。アンケートとは規模が桁違いに大きいですね。 |
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そうだね。以前から店長会議でも、商品棚の最適配置に関する議論があるんだ。各店舗の配置とPOSの売上を照らし合わせれば、最適化のヒントが得られるはずだっていうんだよ。そうかもしれないけど、具体的に何をどうすればいいのか、さっぱり分からなくてね。 |
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なるほど。アンケートと同じように、POSのデータをマイニングすれば、何か分かるかもしれません。あっ、でもPOSのデータには売り場配置の情報は含まれていないですよねぇ……。 |
POSデータを活用した売り場配置の最適化という、あまりにスケールの大きなテーマを受け取ってしまったいぶきは、自分でも答えが思い付かないまま、取りあえず番次郎に相談してみることにした。
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POSデータを活用して、最適な売り場配置を見つけるか……。気持ちは分かるけど、POSデータには売り場情報は入ってないしなぁ。 |
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そうですねぇ。でも、POSデータに含まれる商品名や品目分類から、おおよその売り場の目安はつけられますよね。 |
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肉なら精肉コーナーとか、牛乳なら冷蔵ケースとか、そのレベルなら分かるだろうね。この前の献立提案棚みたいに、同じ商品を複数の場所に配置する例もあるから、厳密な判断は無理だろうけど。 |
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多少の曖昧さは残るにしても、そうして品目から割り出したおおよその売り場配置と、売上情報の関連を見やすく整理してみるというのはどうでしょうか。最終的に、情報をどう解釈するかは売り場担当者のノウハウに頼るとしても、材料を揃えるところまではITで何とかできると思うんです。
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ふーむ、データのビジュアライズってことかな。例えば、売り場配置をグラフィック表示して、そのうえに売り上げの値を重ね合わせる、なんてことができたら、何か傾向が分かるのかもしれないなぁ。
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番次郎さん、それは面白そうですね! |
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しかしそこまでとなると、本格的なアプリケーション開発が必要になりそうだなぁ。さすがに今年の予算では、新規アプリケーション開発を発注するのは不可能だし、そもそも、そんな思い付きで独自アプリケーション開発に手を出すのはリスクが高すぎるよ。 |
あらかじめ用意された分析メニューを使って簡単にデータ解析ができた前回のアンケート分析とは異なり、独自のアプリケーション開発となると、専門知識を備えた開発者に依頼しなければならない。せっかく安価にシステムが導入できても、アプリケーション開発に多大な費用がかかってしまうようでは意味がない。番次郎が再び慎重になっているのを感じたいぶきは、独力でもう少し調べてみることにした。
■アプリケーション開発も手軽に?
何とか糸口はないかと、いぶきはSQL Serverの機能をもう一度詳しく調べてみることにした。
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POSのデータは別の業務用データベースに入っているから、それを取り出してくる必要があるわね。となると、SQL文を発行するクライアント・アプリケーションを作らないとダメか……。SQLはよく分からないんだけどなぁ。 |
特にあてもないまま、SQL Serverの機能を再確認していたいぶきは、ふと機能一覧の中に「プログラミング機能」が含まれていることに気が付いた。
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あれ? SQL Serverには“Business Intelligence Development Studio”という開発機能が統合されているのね。レポート・デザイナとかもあるし、SQL Serverの機能だけで、ちょっとしたアプリケーションが作れそうだわ。 |
よく調べると、SQL Serverにはアプリケーション開発を効率化するための機能も豊富に用意されていることが分かってきた。しかも、開発環境に用意されている“Business Intelligence Development Studio”を利用すれば、簡単なアプリケーションなら、ほとんどコードを書かなくても作れそうだということも分かった。いぶきはさっそく、番次郎にこのことを報告した。
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というわけで、SQL Serverに付属の開発支援機能を活用すると、ちょっとしたアプリケーションなら、システム管理者であるわたしたちでも作れそうなんです。今回の場合、POSのデータを売り場の配置図に重ねる、というところがポイントですが、これはあらかじめ用意されたビジュアル・コンポーネントを配置図の画像のうえに置くだけでできてしまいそうです。とはいえ、まだデータベースは勉強中の身ですから、わたしのレベルでは無理ですが……。 |
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へぇ、そんなこともできるんだ。そういうことなら、僕が挑戦してみよう。プログラミングはあんまり自信ないけど、データベースとの付き合いは長いから、コーディングがほとんどないなら僕でも対応できるかもしれない。 |
番次郎は、さっそくアプリケーション開発に取りかかった。
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なるほど。Business Intelligence Development Studioというのは、マイクロソフトの開発環境であるVisual Studioのユーザー・インターフェイスを使って、データベース・アプリケーション開発を可能にする支援環境なんだな。データベース・アクセス用のコンポーネントがたくさん用意されていて、これらを使えば、自分で書くコードはほとんどなさそうだ。データベースに接続してクエリを発行する部分もほとんど自動でやってくれるし……。取りあえず、売り場の画像を置いて、そこに……。 |
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SQL Serverに付属するBusiness Intelligence Development Studioの画面
画像を置き、そこに表示したい参照データを配置するだけで、簡単なアプリケーションが作成できる。 |
番次郎は、まずはコンセプトの実証ということで大ざっぱに仕上げておいて、椎来に見せて反応を確認してから細部を詰めることにした。とはいえ、簡単にデータベースと連動したアプリケーションが開発できるため、かなり熱中してしまったようだ。
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へぇ。番次郎って、アプリケーション開発もできるんだ。 |
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おいおい、見くびってもらったら困るね(笑)。 |
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はいはい。よし、それじゃぁ、早速見せてもらおうかな。どれどれ……。 |
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番次郎が作成した売り場と売り上げの関係が参照できるアプリケーション
店舗ごとの売り場と売り上げの関係をWebブラウザで参照できるレポート・アプリケーションを作成した。売り上げを画像に合わせて表示することで、いままで見えなかったものも見えてくる。 |
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おいおい、ずいぶん本格的じゃないか。これはすごいよ。売り場ごとの売り上げを一目で比較できるじゃないか。 |
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いやいや、過大評価されても困るから白状しておくけど、そんなに難しいことをやったわけじゃないんだ。SQL Serverのレポート作成機能(Reporting Services)を使って、データベースにあるPOSデータの見え方をちょっと変えてやった程度なんだよ。 |
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そう謙遜するなよ。POSデータは細かい数字が大量にあるせいで、いままでは単純に集計するくらいしか使っていなかったんだ。単なる数字の集計だけじゃ分からないことも、これなら発見できそうだぞ。 |
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あと、これはまだ途中なんだけど、各店舗のロケーションと、売り上げの集計をひとまとめに見えるレポートを作ってみたんだ。 |
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各店舗のロケーションと売り上げの関係を一望にしたレポート
フクフクドーの10店舗とそれぞれの売り上げの関係をWebブラウザで参照できるレポート・アプリケーションを作成した。
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[形式の選択]のプルダウン・メニューで[Excel]を選択し、[エクスポート]のリンクをクリックすることで、データをローカルのExcelに読み込ませることができる。 |
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レポートからエクスポートしたデータは、ローカルのExcel上でさらに集計したり、分析したりできる。 |
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おお。こんな立派なレポートが簡単に作れちゃうのかい?
それだけじゃないよ。実は、こうやって表示しているデータをローカルのExcelに取り込んで、独自に加工することもできるんだ。この機能を使えば、ちょっとした部内の検討資料にデータを活かすことができるね。
こりゃ驚いた! ブラウザで見るだけじゃなくて、Excelで独自の分析もできるわけか。これまでPOSのデータは、売り上げの集計や受発注、在庫管理などにしか使っていなかったけど、これなら、販売促進や集客プランのデータとしても多角的に使えそうだよ。 |
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こんなことまでできるなんて、わたしも予想外でした。可能性がどんどん広がって、何だかワクワクしてきますね。 |
本当は、一番ワクワクしていたのは番次郎だった。これまでは何かと受け身の対応をすることが多かったのだが、SQL Serverの活用によって、自社にある情報を積極的に活用できる確信が持てたからだ。
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BIとか、独自のデータベース・アプリケーション開発なんて、中堅スーパーに勤める自分にはあまり縁がないと思っていたけど、間違った先入観だったようだ。いやぁ、うれしい誤算だよ。 |
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ところで、前のアンケートの解析もそうだけど、こうしていろいろ役に立つ情報が揃ってくると、僕だけしか見られないのはもったいないと思うんだよ。まずは営業企画部のメンバー全員が見られるように、情報共有の仕掛けも作れないかな。 |
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情報共有か……。 |
フクフクドーでは、ホンのちょっと前には考えられなかったほど、ITの活用が加速してきているようだ。新たに導入したSQL Server 2005によって、これまでは見過ごしていた、さまざまなデータの活用が可能になってきた。ユーザーとIT部門が協力しながら次々とアイデアを実現する、好循環が回り始めたようである。
提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:デジタル・アドバンテージ
掲載内容有効期限:2008年1月31日 |