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世界的評価も高いデータマイニングツールであるClementineは、この6月に画期的な新機能を搭載し、メジャーバージョンアップを果たした。 新機能については前回解説したが、今回はClementine6.0の新機能をさらに掘り下げていきながら導入メリットを分かりやすく解説する。
Clementineシリーズは、GUIによって視覚的に操作できるという点が特長の1つ。Clementineでは、データマイニングを行うプロセスの各ステップ(ノード)をアイコンで表示する。ユーザーは、このアイコンを画面上で並べて結び付きを設定、「ストリーム」というデータの流れを表す単位を構築して、ログの加工から仮説発見という一連のデータマイニングの作業が行えるのだ。一連の操作をマウス操作とビジュアル表現にしたことにより、データの関係性が分かりやすくなり、理解度や操作性の向上において画期的なデータマイニングツールとなったのだ。
例えば、売上を増大させる戦略を策定するとしよう。プランの基礎となる売上データでは、商品ごとの売り上げ金額を見ることはできる。どの商品が売れていて、どの商品が利益を出しているのかも、その表から知ることはできる。従来のマーケティングであれば、「売れている商品をもっと売れ」ということになるが、その顧客アプローチだけで正しいのだろうか? もしかすると、一番の売れ筋商品は「どこで買っても同じだから、ついでに買っている」ということなのかもしれない。もし、そうなら販売量が多い商品をキーにして抽出した売れ筋商品を購入している顧客に販売促進活動を行うことは大変なムダだということになってしまう。とはいっても、それがムダであるかどうかを検証するには、どのデータを、どのように分析すべきかを知っていなければならない。
さらにデータマイニングで得られた“仮説”は、実際のビジネスの現場での検証が必要だ。仮説に基づいたビジネス上の施策とその結果に得られたデータを再び、慎重かつ継続的に検証していかなければならない。そのためにデータマイニングツールで1つのビジネスプロセスに対して、何度も何度もデータ処理を繰り返し行うことになる。 しかし、複雑なデータ処理を繰り返し行うとなると、アド・ホックな操作性のよさだけでは不十分だ。また、担当者が異動で急に変わってしまった場合など、それまで蓄積してきたマイニングのノウハウが失われてしまう危険性もある。その点、Clementineはどこでどのような処理をしているのか、ストリームを見れば理解できるので、データマイニングのノウハウをきちんと継承できる。 さらに、新バージョンのClementine6.0は、ソリューションテンプレートを搭載し、難しい専門知識なしにデータマイニングを可能とした。データの読み込みからモデル作成の一連のデータマイニングプロセスを構成するストリーム群をテンプレートとして標準装備している。使い方は簡単で、既存のテンプレートから選ぶだけ。まったく専門知識のないユーザーでも、複雑な処理・分析を行うことができる。
Clementine6.0のソリューションテンプレートは、標準装備されたテンプレートを使ってすぐにでもデータマイニングができるというメリットも持っている。Webのアクセスログからユーザー動向に関する仮説発見ができるウェブマイニングテンプレートなど、2種類のテンプレートは、データマイニング未経験の企業に大きな威力を発揮するはずだ。その機能を見ていこう。
ソリューションテンプレートの1つであるウェブマイニングは、Webサイトを運営するすべての企業にとって強力なツールとなるはずだ。簡単な操作でユーザーの動きや商品の購買状況をありありと浮かび上がらせ、その動きを予測する仮説を立てる。まさに、Webをデータマイニングしてくれる機能なのだ。
ウェブマイニングがサポートする注目すべき機能に、“クリックストリーム”がある。これは、あるページにユーザーがたどり着くまでに、どんな行動をしてきたかを分析するものだ。リアルな小売店舗でいえば、顧客の導線分析といったところ。 例えば、あなたがECサイトの運営者だとして、次のような顧客が多いことが分かったら、どうだろう。
こうした“買わない顧客”の導線データが手に入れば、自社のサイトの弱点を克服する大きなヒントになるはず。さらにこうした単純な分析だけでなく、ウェブマイニングテンプレートを利用することにより、顧客の属性とサイト上での行動に一定の法則を見出したり、購買のパターンを予測したりできるのだ。 膨大な量になるアクセスログデータから、顧客や商品の動きの法則や傾向の仮説を自動的に生成してくれるソリューションテンプレートは、ECサイト運営者にとり、強い味方になるだろう。Clementine6.0が生成した仮説に基づき、Webサイトを作成し、さらに結果のデータに基づいて仮説を修正、さらなる戦略立案に役立てるというビジネスプロセスの中にデータマイニングを組み込んだECサイト運営が可能になるのだ。 ほかにも、既存顧客の解約防止のためのソリューションテンプレート(チャーン分析)も搭載されている。これには、解約する可能性の高い顧客を発見するもので、こうした顧客に何らかの働きかけを行って解約を阻止したり、逆にCRMの優良顧客リストから外して、マーケティングコストを削減するといった施策が行えるようになるわけだ。
現状では2つのテンプレートが用意されているが、今後は各業界ごとに特化したテンプレートの登場も期待できる。また、テンプレートを操作する際に表示される注釈はすべて日本語化されており、この注釈を読んでいくだけでも、データマイニングを学習する格好の教材となるだろう。
ECなどのサイト運営者にとっては、導入してすぐにWebマイニングが実行できるというソリューションテンプレートは強力なツールとなるはずだ。これほど利用しやすくなれば日本のビジネスシーンにもデータマイニングが浸透していくに違いない。
すでにソリューションテンプレートを使ってデータマイニングを実行している企業もある。中堅のECサイトを運営しているある会社では、ウェブマイニングテンプレートを使ってユーザーの動きや隠れた売れ筋商品、ユーザーのセグメント別の売れ筋商品を見つけ出しているという。 その会社で実際にClementine6.0を使用しているマーケティング担当者は、「いままでだったら、毎日出てくる売上データを見ながら、この年齢層はこの商品をよく買うんじゃないか?という仮設を立てるのが仕事でした。しかし、Clementine6.0なら簡単な操作で、それらの仮説を自動的に発見してくれます。操作方法も簡単なので、さまざまな視点からの仮説を立てられます。いまでは、それを元に販売戦略を議論しています」と語る。 Clementine6.0の導入にあたり、“使いこなせるのか?”という議論が社内で起こったという。確かに、データマイニングや統計の専門知識がないならば、当然の疑問かもしれない。しかし、担当者はウェブマイニングテンプレートに注目し、「これなら、自分でもできる」と確信し、導入を決定させたという。 そして、導入してわずかな期間で稼動し、毎日の顧客動向分析や売上の分析、仮説発見ツールとして威力を発揮しているという。また、Clementine6.0で分析にかけたデータを詳細なグラフに出力し、マーケティングデータとして回覧することで、社内にデータマイニングそのものの重要性が浸透しつつあるという。
マーケティングリサーチでは、現在の顧客状況を分析するといったことは行われるが、「したがって、どのようになるか」「だからどうするべきか」という仮説立案は人間が行うことになる。しかし、Clementine6.0に搭載されている分析アルゴリズムには、“予測”に利用できるものが多数そろっている。例えば“ロジスティック回帰”も予測ツールとして使えるだろう。 これは、量的変数から質的変数を予測するといったもので、ある特定のページへのアクセス頻度から、別の商品に関する購買する/しないの確率を予測するといった利用法が考えられる。こうした予測をもとに、サイト上である行動を取った訪問者にはそれに合わせた商品をリコメンドするといったサイト構築をすることで、販売機会を逃さない“売れる”サイト構築が可能になるはずだ。ロジスティック回帰は、製造業においては部品が壊れる確率の予測、医学・薬学の世界では病気や症例の発生確率の分析などで幅広く使われている。
確率予測のほかに、顧客をセグメントするアルゴリズムも装備された。AnswerTreeの C&RTと呼ばれるもので意思決定までの仮定を分析する。 これは数式モデルからデータを解析するのではなく、ユーザーが予測する構造に基づき、統計的モデルを構築して、ツリー・ダイアグラム(2進木)で分析するもの。従って、経験的な分類と予測を統計モデルにした分類や予測を簡単に行うことができ、ほかのマイニング方法では分析・予測できなかった、思いもよらない結果を生み出す可能性がある。 販売やマーケティングの現場のノウハウをモデル化し、それをまたターゲットとなる顧客の検出や予測に利用するといった使い方が可能となる手法である。この機能は、SPSS社から販売中ソフトウェア「AnswerTree」の“C&RT(Classification
and Regression Tree)”のアルゴリズムを元にしている。
以上のほかに、数値データの回帰関係を分析する“線型回帰”。新しいデータに対して因子/主成分スコアの計算が手軽にでき、重回帰モデルの多重共線性問題への対処にも利用できる“因子/主成分分析”。クラスタ数の最大値と最小値を与えることによって最適なクラスタ数を発見できる“TwoStepクラスタリング”を新たにサポートした。
より簡単になったClementine6.0は、顧客の動きを予測しながらビジネスを展開しなくてはならないすべての企業に、データマイニングを解放する決定的なソリューションとなるはずだ。
国内外でも数多くの導入実績を持つClementineシリーズ。ここでは、事業分野ごとの導入事例を紹介しよう。ここで紹介するのは、ほんの一部に過ぎない。
●テレコミュニケーション分野:
●EC分野: ●マーケティング分野: ●海外:
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