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◆ 実践e−CRM〜Clementine導入効果に迫る
  第2回 導入事例:株式会社ソフマップ

顧客との高品質かつ継続的なコミュニケーションの確立を目指し、データベース・マーケティングに着手。
フロントエンドのデータマイニング・ツールとして
選択したのは、SPSS Clementine
 

 パソコン・ユーザーにとっては著名な流通小売業大手の株式会社ソフマップは、手厚い顧客サポートの一環として、データベース・マーケティングを開始した。

 会員200万人を対象とする大規模なデータウェアハウスの詳細な分析ツールとして選ばれたのは、エス・ピー・エス・エス株式会社の「Clementine」だった。

 製品選定の背景と同社での活用法を取材した。

目 次
手厚い顧客サポートを経営理念とする株式会社ソフマップ
デジタル・ライフスタイルという発想
データマイニング・ツールにSPSS Clementineを選択
マーケッターの発想に柔軟に対応できるインターフェイスを評価
ソフマップでのClementine活用法
売り上げは飛躍的に向上。しかし“本番はこれから”

  手厚い顧客サポートを経営理念とする株式会社ソフマップ

 首都圏でパソコンを購入しようと思ったユーザーなら、一度はこの店をのぞいたことがあるのではないだろうか。

 株式会社ソフマップは、パソコンおよびパソコン関連製品の流通小売業として知られる企業である。店舗数は現在33店。東京・秋葉原で展開している店舗は、パソコン・デジタル機器専門店、Macintosh専門店、ミュージック専門店などといった具合にいずれも専門性を強く打ち出し、他店との差別化を図っている。

 ソフマップでは、従来経営理念の大きな柱として“手厚い顧客サポート”を掲げてきた。それらの実例が、中古パソコンの買い取りであり、ソフマップカードというポイント特典を伴った会員制度であり、ソフマップワランティという独自の5年間保証制度である。単に商品を販売するだけではなく、顧客との高品質で継続的なコミュニケーションを図ることこそが、大きなミッションであると考えている。同社はそれを“顧客にとってのライフタイムバリューの追求”と名付けている。

 エレクトロニック・コマースへの進出も早かった。顧客の利便性が大きいチャネルとして、ソフマップ・バーチャルストアという形で1995年にスタート。同社はソフマップ・ハイパーというセールスプロモーション誌も発行しているが、このころより紙媒体と店舗、エレクトロニック・コマースを融合させたカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(以下、CRM)を志向していた。その意味においては、現在日米で話題となっている“クリック&モルタル”のまさに先駆けモデルといえる。

  デジタル・ライフスタイルという発想

 同社には、デジタル・ライフスタイルという考え方がある。例えば、パソコン利用は年に一度年賀状を作成するときだけといったユーザーが、何かのきっかけでデジタルカメラを購入する。それによって写真の面白さに目覚め、画像処理ソフトとの出合いによってより高度なクリエイティビティを発揮するということになれば、そのユーザーのデジタルライフはまちがいなく豊かになる。

図1 ソフマップのデジタル・ライフスタイル

 ソフマップは、ユーザーにこうしたデジタル・ライフスタイルを提案したいと考えている。そのためには、デジタル・ライフスタイルとは何かを明確に定義する必要がある。そこで着手したのがデータベース・マーケティングであった。

 通常のマーケティング手法といえば、前年の売り上げ実績や季節変動から顧客の購買動向を探り、当年の需要予測や適性在庫予測を行うといったことになるだろうが、パソコンの世界ではこうした指標はあまり当てにならない。それよりも大きいのはiMACやVAIO、PDAやCVDといった新製品の市場投入だ。これらが登場することによって、顧客の購買動向地図はまさにがらっと変化する。

 また、これまではユーザーをビギナー、ミドル、ヘビーとレベル別にカテゴライズするのが一般的だったが、これもいまや通用しない。パソコンの組み立てや拡張に関しては恐ろしく知識があるが、ソフトウェアに関しては知らないというユーザーや、パソコンに関しては詳しくないが、表計算ソフトのExcelの機能だけはすみからすみまで熟知しているといったユーザーが出現しているからだ。

 こうした状況を考えても、データベース・マーケティングは不可欠なプロセスだった。ソフマップカード会員200万人の購買データを詳細に分析することによって、リアルなデジタル・ライフスタイルを浮かびあがらせ、裏付けのある提案として顧客にフィードバックすることが、同社の志向する高品質かつ継続的なコミュニケーションの向かうべき道だった。

  データマイニング・ツールにSPSS Clementineを選択

ソフマップ・ドットコムでのClementine活用例を語る
株式会社ソフマップ 
EC事業 EC企画室
次長 浅見 浄治氏

 1997年にプロジェクトはスタート。データウェアハウス構築のためコンサルティング会社に協力をあおいだ中で、データマイニング・ツールとの出合いがあった。ここで株式会社ソフマップ EC事業 EC企画室 次長 浅見浄治氏はこのソフトウェアの大きな可能性を知る。

 同社での採用を決め、翌年にはデータマイニング・ツールをフロンドエンドにおいた顧客応報データベースという名のデータウェアハウスが完成する。ここで選ばれた製品がエス・ピー・エス・エス株式会社のClementineだった。

 1999年、ソフマップ・バーチャルストアをデータウェアハウスと連動させるべく一度“閉店”し、1年間かけて画面設計からバックエンド・プロセスまでのすべてをリニューアル。そして、2000年1月1日、ついにソフマップ・ドットコムが誕生する。

 しかし、それがゴールではなかった。翌月末には顧客がWebサイト上で獲得したポイントが見られるようになり、11月にはそのポイントがソフマップ・ドットコムで使用できるようになった。

 現在もさらなる利便性を追求して進化のただ中にあるが、その中でも特筆すべきはClementineを使った顧客データ分析であり、Webサイトでのパーソナライゼーションである。

  マーケッターの発想に柔軟に対応できるインターフェイスを評価

 同社がClementineを選択したのは、Clementine が、“高度なプログラミング知識を必要とする難解なツールではなく、現場のマーケッターが仮説を迅速に検証できるもの”という、同社の条件にかなったものであったからだ。

 データマイニング・ツールを探す中で、エス・ピー・エス・エス株式会社が主催するセミナーに複数人で参加、実際に製品デモを見て“これがいい”と全員の意見が一致したという。浅見氏は、Clementineを選んだ理由を次のように語る。

 「インターフェイスがよかったですね。こちらのアドホックな思いつきでアイコンをポコポコ置いて、自在に、またリアルタイムに、ストリームを作っていけるというのがいいと思いました。また、1回作ったものも、違うなと思えばどんどん変えていくことができます。マーケッターの思考に柔軟に対応してくれるという点を大きく評価しました」

 この採用を後押ししたファクターとしては“価格”も挙げられる。当時、検討したデータマイニング・ツールの中で、最も費用対効果の高かったのがClementineと浅見氏は証言する。

  ソフマップでのClementine活用法

 ソフマップのClementine利用法は大きく2つある。

 1つは店舗とソフマップ・ドットコムのトランザクション・データベース分析によるレコメンド・ルールの構築だ。具体的には顧客データベースから来店回数、購買価格などをキーに有力顧客を抽出、Clementineが持っている Kohonenというクラスタ分析手法を用いてクラスタ化する。

 クラスタ化されたグループに購買動向あるいは検索動向、属性などに類似性を見出し、これらをデジタル・ライフスタイルのモデルとする。有力顧客が歩んできた道は、これからデジタルライフを始めようとする顧客の歩む道であるというわけだ。

 そのため、このモデルを一般顧客に適用すると、次に推奨したい商品がおのずと見えてくるという論理である。順序としては、日々のトランザクション・データをClementineで分析にかけ、モデル化、それを店舗やソフマップ・ドットコムの商品ラインナップに反映させるという流れになる。

 もう1つは、ソフマップ・ドットコム上でのパーソナライゼーションだ。同社では顧客のライタイム・バリューを追求するためにもパーソナライゼーションは重要と考えており、そのルール構築のためにClementineを利用している。

 当初はエレクトロニック・コマース用に開発されたパーソナライゼーション・ツールの採用も考えたが、嗜好性の高い書籍やCDならともかく、嗜好性があるかどうか分からないパソコンやパソコン関連製品には不向きと判断。推奨ルールをきめこまかく構築する必要があることから、Clementineでアクセスログなどを詳細に分析しながらストリームを作成している。

 ここがクリック&モルタルの最大の強みといえるところだが、こうした推奨ルールの作成に関しては店頭での販売経験が生かされているという。ソフマップ・ドットコムで何か商品を選択して詳細を表示させると、画面の右側に2つばかり別の商品が現れる。これは店頭販売で実際に顧客が比較検討するケースが多い商品や、検討している商品と一緒に購入するケースが多い商品で、それをそのままエレクトロニック・コマースでも活用しているのである。

 画面設計に関しても、小売業の世界で基本となっている“アイドマの法則”を活用している。「顧客を誘導する主導線を構築する」「売り場には目玉になる商品を置いて顧客の関心をひきつける」といった、小売業では伝統的なあの手法だ。ソフマップ・ドットコムのトップ画面がいきなりお勧め商品で始まっているのは、店頭のワゴンをイメージしたものだからだそうだ。

図2 ソフマップ・ドットコムの商品推奨画面

  売り上げは飛躍的に向上。しかし、“本番はこれから”

 Clementineには“人間が見つけにくい仮説を構築できる”という特徴がある。しかし、ソフマップではまだそれは見つかっていない。無理もない、本格的に活用し始めたのは昨年の11月中旬なのだから。“まだまだ試行錯誤の段階で、本番はこれから”と浅見氏はいう。

 「しかし、日々のデータを分析し、モデル化して、その結果を店舗とWebに反映するという流れができたのは、Clementineというツールを導入したおかげですね。分析のアルゴリズムに関しても、だんだん組み合わせ方が見えてきたので、あとは実際に使ってみて、結果を出すだけという状況です」

 Clementineの導入効果はまだ実感できていないということだが、ソフマップ・ドットコムの認知度は確実に向上している。データウェアハウス導入以前は月間1800万ページビューだったアクセス数が、3200 万〜 3300万ページビューになった。

 売り上げも、2000年2月までの1年間で30億円だったものが、すでに2000年3月から8月の前半期で33億円を達成しており、前年比ではすでに352%の伸びだという。パソコンベンダ以外の小売業者のエレクトロニック・コマースでは一躍トップクラスに躍り出た格好だ。

 また、これは副次的なメリットといえるのだろうが、浅見氏は、Clementineの導入をきっかけにエス・ピー・エス・エス株式会社の主催する教育研修を受講し、統計解析の知識を体系的に身に付けたことを喜んでいる。

 同社は、Clementineばかりか姉妹製品であるAnswer TreeやDecision Time、ひいては統計解析エンジンであるSPSS BaseまでSPSSプロダクトファミリーを幅広く購入している。“SPSS製品群を中核として統計解析の知識を広く深く学べたことは、マーケッターとして大きなスキルアップにつながった”と感慨深げに語った。

 今後の展開として、ソフマップ・ドットコムでは2つの方向性を考えている。まず顧客とのコミュニケーション分野では、商品の買い取り/買い替えの自動提案、ダイレクトメールによる自動One-To-Oneレコメンデーション、季節変動、時間帯を意識したプロモーションを検討中。

 Clementineを使った分析では、さらにデジタル・ライフスタイルのモデル化を深化させると同時に、サプライ・チェーン・マネジメントに必要な需要予測を行っていくという。

 Clementine導入を契機に、次々と構想が広がるソフマップ・ドットコム。エレクトロニック・コマースの可能性を実証する先進事例として、これからも注目していきたいWebサイトだ。

 

Index
広告企画:実践e-CRM〜Clementine導入効果に迫る
  第1回 データマイニング・ツール導入のススメ
第2回 導入事例:株式会社ソフマップ
  第3回 Clementine 6.0が登場
  第4回 ソリューションテンプレートなら「自分にもできる!」
第5回 テキスト・マイニングに活用されるClementine

 


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(2000年11月01日)
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