System V
システムファイブ
AT&T社が製品化したUNIXの名称。AT&Tのベル研究所(Bell Laboratories)が開発したオリジナル版の流れをくむ。BSD系UNIXとの対比でSystem V系UNIXの意味で用いられることもある。
1983年にAT&TがSVR1(System V Release 1)をリリースし、その後のバージョンアップを経てSVR4(System V Release 4.2)に至っている。当初のバージョンではBSDと比較して機能の劣る部分があったが、その後BSDの機能を取り込んだ。OSのインターフェイス仕様はSVID(System V Interface Definition)によって定義されており、そのライセンスはAT&TからUSL、Novell、SCOを経て、現在はCaldera Systemsに引き継がれている。
System Vの原型となったUNIXは、1969年にAT&Tベル研究所のKen Thompsonによって開発された。当時、AT&Tは独占禁止法のために市場への参入が厳しく制限されており、UNIXは非常に安価に配布されたため広く普及した。しかしAT&Tの分割により市場参入が本格的に行われるようになるに従い、UNIXのライセンスは非常に高価なものになった。
ところが、このときすでにカリフォルニア大学バークレイ校(UCB)で開発されていたBSD(Berkeley Software Distribution)を安価に配布するBSDI(Berkeley Software Design Inc.)が設立されていた。1987年、AT&Tの子会社であるUSLはBSDIを「UNIX」という商標の不当使用を理由に訴訟を起こし、さらにAT&T社のコードの不当使用を理由にUCBとBSDIを訴えると、それに対抗してUCBが逆にAT&Tに対してコードの不当使用という理由で訴訟を起こした。これらの裁判は泥沼化の様相を見せたが、UNIXのライセンスがNovellに売却されたことをきっかけに両者は和解に向かった。その後、System V系のUNIXは各ベンダーの商用UNIXに多く採用され、BSD系のUNIXはBSDIの商用版とFreeBSD、NetBSDなどのフリー版に引き継がれて現在に至っている。
System V Release 4は、XENIX、4.3BSD、SunOSなどのインターフェイスを統合し、仮想ファイルシステム、NFS、RFS、X Window Systemなどを含み、さらにGUIインストールやマルチプロセッシングをサポートしたSVR4.2が1992〜1993年にリリースされた。
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