tcsh
ティーシー・シェル
C言語に近い文法体系を持つCシェルの派生型の1つ。
Cシェルは、Bourne Shellが必要最低限の機能しか持たなかった現状を踏まえて、よりユーザーにとって使いやすく、理解しやすいシェルを提供するという立場に立って設計された。Cシェルはその文法体系の理解しやすさにより、さまざまな機能を追加・拡張した派生版が生まれてきた。また、当時のBourne Shellにはなかったジョブ管理機能やヒストリ(履歴)管理機能を搭載したのもCシェルが最初である。その使いやすさから、Bourne Shell同様にさまざまなUNIXに標準でインストールされているシェルでもある。
tcshは、Cシェルの派生版の中で特にユーザーインターフェイスの部分を中心に拡張されたシェルである。ビデオ端末上での使用を前提とした使いやすいコマンドライン編集機能と、さらに強力なヒストリ編集機能が追加されている。コマンドラインでEmacsやMuleと同じキー操作でカーソルを移動させたり、コマンド列を編集することが可能である。さらに、コマンドライン上のファイル名を補完する機能も追加されている。また、シェルプロンプトもホスト名や時刻などの環境変数を使って多彩に表現できるようになっている。コマンドにエイリアス(別名)を付けて定義し、長いコマンド列を短いコマンド名にして利用することができる。
Bourne Shellと同様に、tcshはコマンド列を並べて実行するスクリプトにも対応している。組み込み関数はC言語に似た様式が使用可能である。if文やswitch文、()の利用などがC言語に似ているので、いきなりC言語でプログラムせずにtcshで作成したスクリプトでプロトタイプを作成し、動作を確認することも容易である。
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