“エンタープライズアジャイル”における、アジャイル型開発の真の価値は、開発された成果物が顧客満足度の向上やビジネス拡大など事業計画に貢献することであり、「プロジェクト全体がその目的のために進んでいるかどうか」が重要になる。そこで、“エンタープライズアジャイル”の次のステップでは、複数の開発チームが動くプロジェクト全体の進捗を管理するツールが求められてくるのだ。
変化が激しいビジネス環境に対応するため、ITの開発現場では従来のウオーターフォール型開発に加え、アジャイル型開発を取り入れる動きが加速しつつある。国内でも、アジャイル型開発を支援するプロジェクト管理ツールが各社からリリースされ、Web系開発を中心にアジャイル型開発に本格的に取り組む企業も増えてきている。
アジャイル型開発を取り入れることで、ウオーターフォール型に比べて短いサイクルで開発プロジェクトを回すことができ、市場ニーズの変化にも迅速かつ柔軟に対応することが可能になる。しかし、開発現場がアジャイル型を取り入れることで、また新たな課題も浮かび上がってくる。「アジャイル型開発では、複数の開発チームが短期間のスプリントを同時並行で進めていくことになるが、このとき、企業のビジネス部門の視点からプロジェクト全体をどう運用管理していくか」という問題だ。
確かに、アジャイル型開発に対応したプロジェクト管理ツールを導入することで、開発チームごとの進捗(しんちょく)状況や課題、成果物などは的確に把握できるようになる。ただ、複数の開発チームが動く場合、それらを俯瞰して見ることは難しい。そして、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、全体の状況は見えにくくなる。
“エンタープライズアジャイル”における、アジャイル型開発の真の価値は、開発された成果物が顧客満足度の向上やビジネス拡大など事業計画に貢献することであり、「プロジェクト全体がその目的のために進んでいるかどうか」が重要になる。そこで、“エンタープライズアジャイル”の次のステップでは、複数の開発チームが動くプロジェクト全体の進捗を管理するツールが求められてくるのである。
こうしたニーズに応えるため、アジャイル開発に最適なプロジェクト管理ツール「JIRA Software」を手掛けるアトラシアンでは、同製品をベースにしたアドオンツールとして、アジャイル型開発のプロジェクト全体を管理できるソフトウェア「Portfolio for JIRA」を提供している。
「当社のプロジェクト管理ツール『JIRA Software』では、アジャイル開発における各スプリントでの成果物を基に、実績ベースで開発チームの進捗状況を管理している。『Portfolio for JIRA』は、この『JIRA Software』と組み合わせて使うことで、複数の開発チームにまたがって、進捗状況や課題、チームのパフォーマンスなどを一つの画面から統合的に管理することが可能となる」と話すのは、アトラシアン シニアエバンジェリストの長沢智治氏。
「各開発チームのデータは、全て『JIRA Software』がベースになっているため、プロジェクト全体の進捗状況を実績ベースで把握できる。各開発チームが担当しているタスク、開発能力、課題、成果物などをタイムボックス画面から一元的に確認でき、プロジェクト全体が本当にビジネス成長に貢献できるのか、将来計画まで含めて、データを基にした見通しを立てることができる」(長沢氏)と、その導入メリットを強調する。
具体的に、「Portfolio for JIRA」で管理できる情報は、「バックログ」「開発スタッフ/チーム」「リリース日」の大きく3つ。「ビジネス部門は、これら3つの情報を的確に管理することで、“エンタープライズアジャイル”を成功に導くことができる」と長沢氏は指摘する。
例えば、事業計画を実現するためのアプリケーションをアジャイル型で開発するといったケースでは、まず、アプリ開発に必要な要件を洗い出して、「Portfolio for JIRA」のバックログとして登録。アプリのリリース日を設定し、これに向けて、各開発チームのスキルやパフォーマンス、稼働状況に応じてバックログをチームに割り当てていく。
実際にアジャイル型開発がスタートすると、タイムボックス画面から、各開発チームの進捗状況をスプリントレベルで管理でき、割り当てたバックログに対応できているかどうかをリアルタイムで把握できる。
特徴的なのは、「バックログ」「開発スタッフ/チーム」「リリース日」の情報がシームレスに連動している点だ。これにより、新たなバックログが追加された場合でも、それをどの開発チームに割り当てればよいのか、割り当てた場合にリリース日に影響が出るかどうかを、タイムボックス画面で確認し、的確な判断を行うことができる。
万が一、開発チームに問題が生じた際にも、「そのままスプリントを進めていくのか」「開発スタッフを補充するのか」「別の開発チームにバックログを振り分けるのか」「次のスプリントにバックログを回すのか」を迅速に判断し、プロジェクト全体のリリース日に影響が及ばないように対処することが可能だ。
さらに、「Portfolio for JIRA」では、開発チームとプロジェクト間の依存関係を管理することで、ボトルネックと潜在的な障害を特定し、事前に回避することもできるという。
「アジャイル型開発では、1つの開発チームが順調でも、別の開発チームが問題を抱えていることによって、プロジェクトが先に進まないというケースも珍しくない。例えば、1週間サイクルの開発チームAが遅延してしまった場合、これに依存する1カ月サイクルの開発チームBはスプリントを進めることができず、長期間の待機を余儀なくされる。
『Portfolio for JIRA』であれば、こうした依存関係も事前に管理できるので、問題解決まで動けない開発チームが出てきた場合、他の開発チームの支援に回したり、別のバックログに対応してもらったりするなど、限られた人的リソースを無駄にすることなく最大限に活用できる」
このように、アジャイル型開発のプロジェクト全体を実績ベースで統括的に管理できる「Portfolio for JIRA」だが、プロジェクトの進捗を単に管理するだけではなく、ビジネス部門が今後の開発計画や将来予測のシミュレーションに活用できる点も見逃せない。
「『Portfolio for JIRA』で管理するバックログや開発スタッフ、リリース日の情報は、『JIRA Software』の本番環境にそのまま反映されることはない。それぞれ仮の(バーチャルな)設定ができるため、事業計画の段階から『Portfolio for JIRA』を活用し、最適な“エンタープライズアジャイル”のプランを立てることができる」
例えば、新たなアプリケーション開発のプロジェクトを立ち上げるに当たって、必要なバックログを「Portfolio for JIRA」に仮設定で登録。このときにバックログの情報には、開発スタッフやチームに求められるスキルや条件を設定することも可能だ。
そして、それぞれのバックログに最適な開発チームをバーチャルに割り当てることで、「リリース日がいつになるのか」を予測できる。「一般的なプロジェクト管理ツールは、あくまで予想にすぎないが、『Portfolio for JIRA』は、実績ベースの情報を基にしているため、限りなく現実的な予測を行うことができる」と長沢氏は力を込める。
シミュレーションをした結果、リリース日が予想よりも大幅に遅くなった場合には、リリース日を前倒しに設定し、それを起点にバックログの条件や割り当て、開発チームのスタッフ編成などを見直すことで、無理のないプランに修正できる。そして、開発プロジェクト全体の見通しが立ったところで、実際にプロジェクト実施への検討を行うことが可能になる。可能になった結果は、JIRA Softwareで開発工程ごとの管理に任せることになる。
つまり、ビジネス部門は、「Portfolio for JIRA」を活用することで、事業計画の段階で、成功の確率を限りなく高めてから、“エンタープライズアジャイル”のプロジェクトを実行できるのである。
もちろん、「Portfolio for JIRA」はレポート機能も充実しており、管理画面から、複数チームにまたがった開発プロジェクト全体の進捗状況を、さまざまな角度から分析できる。従来のようなガントチャートではなく、全てが実績ベースの現実的なレポートであるため、これを開発チーム全体で共有することで、全スタッフが共通の認識を持って開発プロジェクトに取り組むことができる。
また、ビジネス部門は、最初に立てた事業計画を踏まえながら、レポートに基づく的確な意思決定を行い、“エンタープライズアジャイル”の成功に向けて、ベストプラクティスを選択することが可能となる。
今、「JIRA Software」を活用して、アジャイル型開発に取り組んでいる開発会社は、次のステップとして「Portfolio for JIRA」を導入することで、企業の事業計画にアジャイル型の考え方を適用し、変化の激しいビジネス環境の中で、さらなる企業成長へとつなげることができるのかもしれない。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年6月22日