インフラエンジニアの役割と、存在価値を高める手段とは「開発のスピード」だけでは、ビジネスは成立しない

およそ全てのビジネスをITが支え、経営環境変化も激しい中、システム開発・提供の「スピード」がビジネス差別化の一大要件だといわれている。しかし昨今は、システムの「品質」にまつわる事件・事故も目立つ。改めて問う「インフラエンジニアの役割」とは。

» 2021年09月17日 10時00分 公開
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「運用しながら改善」を支えるインフラエンジニアに求められるもの

 経営環境変化が激しく、ビジネス展開のスピードが不可欠となっている今、それを支えるシステム開発・運用にも変革が求められている。こうした中、システム提供のリードタイムを短縮するDevOpsに多くの企業が取り組んでいるが、「開発」の側面ばかりが重視され、「運用」は軽視されがちな傾向が強い。

 例えば、DevOpsの実践手段となるクラウドネイティブな開発アプローチにおいて、コンテナ、マイクロサービスなどを使った開発者の取り組みは脚光を浴びているが、インフラについては自動化の話ばかりが注目されている。また、パブリッククラウドの普及に伴い一部では「インフラエンジニアは不要」といった声すらある。

 だが、デジタルシフトが進む今、ITとビジネスは直結している。そしてビジネスとは「作るスピード」だけで成り立つものでもなければ、「開発して終わり」というものでもない。リリースした後は「いかに安定運用しながら、柔軟に改善し続けられるか」が成否を分かつ。企業のDevOps実践を支援しているSB C&Sの加藤 学氏(ICT事業本部 技術統括部 テクニカルマーケティングセンター テクニカルフェロー)は次のように話す。

SB C&S ICT事業本部 技術統括部 テクニカルマーケティングセンター テクニカルフェロー 加藤 学氏

 「2021年現在、アプリケーションを含めたシステムやサービス=ビジネスという時代になっていると思います。確かに開発環境やサービス提供環境はクラウドへの移行が進んでいますが、だからといってインフラエンジニアの仕事がなくなるわけではありません。その役割はむしろ拡大しています」(加藤氏)

 SRE(Site Reliability Engineering)もその1つだ。SREを担うインフラエンジニアには、システム=ビジネスを快適かつ安全、安定的に届ける役割が求められている。同じく企業のDevOps実践を支援しているヴイエムウェアの渡辺 隆氏(マーケティング本部 チーフストラテジスト−Modern Application & Multi-Cloud)はこう指摘する。

 「開発エンジニアは機能要件、インフラエンジニアは非機能要件を担保する役割だと明確に分けられると思います。クラウドネイティブな開発・運用スタイルになっても、インフラエンジニアがパフォーマンス、セキュリティなどに責任を持つことに変わりはありません」(渡辺氏)

インフラエンジニアは「ビジネスに貢献する役割」へ

 特に留意すべきは、開発エンジニア、インフラエンジニア、ともに「開発・運用を担えばそれでよい」わけではなく、「ビジネスへの貢献」が求められていることだという。

ヴイエムウェア マーケティング本部 チーフストラテジスト−Modern Application & Multi-Cloud 渡辺 隆氏

 「従来のシステムは効率化やコスト削減の手段でした。しかし今やそれだけではなく収益獲得の手段となっています。提供までのリードタイムを短縮し、ニーズをくみ取り継続的に改善していくことで、“ビジネスを伸ばす”ことが求められているのです。システムは守るものから成長させるものへ変容したと言えます」(渡辺氏)

 その分かりやすい例が、テクノロジーを武器にビジネスを展開する企業の台頭だろう。渡辺氏は米Fiserv(ファイサーブ)の事例を挙げる。

 Fiservは4000社以上の金融機関に決済や顧客管理などのバックエンドサービスを提供しているFinTech企業だ。同社はコロナ禍を受けて、中小企業が給付金申請を行うためのシステムを開発した。DevOpsのアプローチにより、実に15人の開発者で10万行規模の新規システムを約28日で開発したという。

 また開発に当たっては、機能要件の担保はもちろん、サービス提供を支える高度なパフォーマンス、セキュリティ、可用性、信頼性が求められた。このような短期間で給付金申請システムができた理由として、開発チームごとに異なるインフラを用意するのではなく、コンテナとコンテナオーケストレーションを使ってインフラが統一されていたことが挙げられる。加えて、「インフラを理解した開発エンジニア」と「開発を理解したインフラエンジニア」が協業できる部門横断的な体制を整備できていたという。

 「チーム単位でアプリを開発して終わりではなく、DevOpsによって機能要件と非機能要件を一体的に作り込み、継続的に強化していく仕組みを持っていたわけです。ポイントは、DevOpsを『開発の取り組み』ではなく『インフラも含めた取り組み』と捉えていることでしょう」(渡辺氏)

 しかし前述のように、国内ではDevOpsが「開発の取り組み」と捉えられる例が多い。加藤氏はこんなエピソードを明かす。

 「DevOps支援活動の際、顧客企業のインフラチームに『運用しやすいよう、開発方法をこう変えてくれと開発チームに訴えましょう』と提案すると、必ずびっくりされます。『なぜアプリのことまで考えなければならないのか』と。役割が固定化してきたこともあり、抵抗を感じるのも当然でしょう。しかしビジネスを順調に伸ばす上では、インフラチームが運用しやすい環境を作ること、開発チームが開発しやすいインフラを提供することは、合理的かつ自然なことです。運用のマニュアル業務をこなすだけでは“役割”を果たすことはできません」(加藤氏)

 実際、米国のプロダクト開発の現場では、インフラチームが開発者を「お客さま」と捉えているケースも多いという。インフラチームはインフラサービスを提供する“サービスプロバイダー”であるわけだ。「ビジネスを伸ばす」という目的に向けて、率先して協業することが不可欠なのだ。

これからのインフラエンジニアに求められる能力

 では、協業のためにはインフラチームに何が求められるのか。それはここまでの話でも明らかなように、「開発側の知識」と「インフラチームとしての専門知識」だ。

 「例えばどこまでがCIでどこからがCDかなど、ソースコードがアプリケーションになるまでの流れを理解できていることが重要です。一方で、セキュリティを守るにはどんなツールが必要か、マイクロサービスを監視する方法は何かなど、非機能要件を担保するための多様な知識を押さえる必要もあります。開発チームと同じ知識と、インフラチームとしての専門知識を持ち、互いの責任範囲を対等に議論したり、非機能要件を守る仕組みを主体的に選んだりすることが求められます」(加藤氏)

 従来のインフラ管理に閉じた役割からすれば、こうした知識を習得するハードルは高い。ただ渡辺氏は、「インフラチームを支援する手段も出そろいつつあります」と話す。例えば、ハイブリッド/マルチクラウド環境を一元管理することで、インフラを適材適所で使い分けられるツールや、ログデータを分析して安定運用をしつつセキュリティを守るツールなどだ。前述のように、システムの非機能要件を守るとは、ビジネスを守ることに他ならない。このために多様な知識を学ぶ必要はもちろんあるが、「ビジネスの安定運用」を支援する技術も整いつつあるというわけだ。

「存在価値を発揮できる手段」は既にある

 では具体的に、“インフラチームを支援する技術”とは何か。その1つがコンテナとコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」をベースとした管理プラットフォームだという。

 開発チームは作ったアプリケーションをコンテナ化することで、開発環境とは構成が異なる本番環境にもそのままデプロイできるようになる。インフラチームはアプリケーションの種類や環境を問わず、統一された手法でアプリケーションを管理できるようになる。つまり両チームでデプロイ方法を標準化できる。

 また、Kubernetesを使ってコンテナをハイブリッド/マルチクラウド環境でオーケストレーションできる仕組みを整備することで、開発チームとインフラチームは1つのコンテナプラットフォームで、1つのビジネス目的に向けて協業し、適材適所でインフラを使い分けながらビジネスを伸ばせるようになる。ヴイエムウェアは、多くの企業が使い慣れた「VMware vSphere」の管理コンソールでこれを実現できる製品として「VMware Tanzu」を提供している。

オンプレミスの仮想環境で使い慣れている企業も多い「VMware vSphere」の管理コンソールでKubernetes環境を制御できる

 また、「お客さま」である開発チームのニーズに応えたり、非機能要件を担保したりする上では、そのアプリケーションの開発・運用に最適なリソースを迅速に配備できることも必要だ。このためには、オンプレミスの物理サーバ、ネットワークなどを仮想化し、各種パブリッククラウドも含めて、全インフラをコードで統一的に管理する仕組みが求められる。この仕組みがあれば、目的に最適なリソースを迅速・確実に配備できる他、サーバ構築など各種インフラ業務も自動化でき、運用は大幅に効率が良くなる。つまり、インフラチームはサービスプロバイダーとして、開発チームの要望に迅速・柔軟に応えられるようになるわけだ。

 周知の通り、ヴイエムウェアはこうしたインフラを「SDDC(Software Defined Datacenter)」というコンセプトで説明しており、実現手段としてVMware vSphereや「VMware Cloud Foundation」を提供している。

 そして同社は、前述のVMware Tanzuとこれらを組み合わせた「vSphere with Tanzu」「VMware Cloud Foundation with Tanzu」を用意している。これらを使えば、インフラチームと開発チームはまさしく「役割分担」できるようになる。例えば、インフラチームは開発チームの要望に基づいて、Kubernetesの管理単位であるクラスタを構築し、それに最適なITリソースや仮想ネットワークを速やかに割り当てる。さらに、クラスタに準じる管理単位であるネームスペースを設定し、これを個々の開発チームに提供すれば、開発チームはネームスペースを自由に使うことができる。インフラチームは役割を高度化でき、開発チームは開発に集中できるわけだ。

 大きなポイントは、vSphere with Tanzu/VMware Cloud Foundation with Tanzuでは、多くの企業が使い慣れたVMware vSphereの管理コンソールでこうした制御ができることだ。つまり、インフラチームはクラウドネイティブな開発の知識が限られていても、既存の知識・スキルで開発チームと協業し、「ビジネスを伸ばすこと」に貢献しやすくなるわけだ。両氏は「手段」がそろっていることを受け、改めてインフラエンジニアにエールを送る。

 「ハイブリッド/マルチクラウド環境で稼働するKubernetesを、既存の運用体系で管理できるようになります。学習コストを抑えながら運用を変革し、開発チームとともにビジネスに貢献できるようになるのです。まずは触ってみることをお勧めします」(渡辺氏)

自動化のプレイブック作成支援、製品トレーニング、CI/CDパイプラインのデザイン、必要な技術スタックの勉強会などを用意。インフラエンジニアのスキル・価値向上を支援する

 「実践が何より大事です。特にVMware Tanzuはスモールスタートしてアプリケーションやプラットフォームのモダナイズへと取り組みを発展させやすい製品です。ビジネスは開発スピードだけではなく、開発者支援や非機能要件の担保を通じて、より良いものを作り、安定的に届けることで初めて成立します。SB C&Sは各種サービスを通じて『インフラチームの変革と価値向上』を支援していきたいと考えています」(加藤氏)

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