ITエンジニアにとって、業務の中で最新テクノロジーに関われることは幸運であり、新たな技術の習得が可能なステージを求めて転職する例は一定数ある。今回インタビューした若手エンジニアのお二人もまさにそうしたケースといえる。トヨタコネクティッドへの転職を決めた理由や、現在の業務内容、その喜びや満足感を伺った。
トヨタグループ内のIT事業会社として、ヒューマンコネクティッドサービスやモビリティサービス・プラットフォームなどの開発を担い、新たなモビリティサービスの創出を目指すトヨタコネクティッド。
100年に一度の変革期にある自動車業界にあって、最先端のテクノロジーを駆使したMaaS(Mobility as a Service)やテレマティクスサービスなど、コネクティッドビジネスを全世界で展開している。同社の開発業務はこれまで、派遣や出向のエンジニアが担ったり、開発ベンダーへの外注だったりが大半であったが、方針を大きく転換。内製化に向けて、この数年エンジニアの中途採用に力を入れている。
そうした中、2024年2月にトヨタコネクティッドに中途入社したのが、技術本部 コネクティッド技術部 アーキテクチャ室 室付の阿部絢人氏だ。前職はSIer(システムインテグレーター)で不動産向けの賃貸管理システム開発に携わってきた。
「ユーザビリティ優先で新しい技術をどんどん採用するB2C(Business to Consumer)の仲介システムと違い、裏で動くB2B(Business to Business)のシステムということもあって、古い技術のまま“取りあえず動けばいい”という雰囲気の会社でした。Webアプリケーションのプログラマー、SE(システムエンジニア)を経て最終的にPL(プロジェクトリーダー)まで務めましたが、エンジニアとしてはここまでかなと感じました」と転職に至ったいきさつを語る。
トヨタコネクティッドに入社して数カ月、現在はグループのプロジェクトで利用する共通開発プラットフォームの設計、構築に携わっている。入社後に参加したあるイベントで運用担当から「トヨタコネクティッドはすぐ新しいものを提案してくるけれど勘弁してほしい」と半分冗談めいて言われたことがあり、アグレッシブな企業と認識されていることを、エンジニアとして誇らしく感じたという。
「AWS(Amazon Web Services)上の共通開発プラットフォームをより良いものにしていくのが私の役割です。テック系イベントに上長と一緒に参加することも多く、広く情報収集をしてチームにフィードバックしながら、楽しく仕事をしています」(阿部氏)
もう1人、先端技術で誰かの“うれしい”を実現することを熱望して、2021年5月にトヨタコネクティッドに中途入社したのが、スマートシステムグループ GM(グループマネージャー)の高柳和哉氏だ。
大学卒業後、塾講師の傍ら趣味でプログラミングの腕を磨き、その後、製造業向けCAD設計/生産管理統合システムの開発や、ADAS(自動運転支援)のアルゴリズム開発などに携わるなど、新しいテクノロジーに対する探究心を満たすためにキャリアを重ねてきた。そうした中、トヨタ自動車がモビリティを中心に据えた街(ウーブン・シティ)を静岡県裾野市に建設し、実証実験を行うというニュースを目にした。その瞬間、「絶対このプロジェクトに関わりたい!」と熱望したのが決定的な動機であった。
入社早々自動運転バスの管制センター開発に関わり、現在はトヨタ自動車としてホットなテーマである「BEV(Battery Electric Vehicle)充電サービス」の拡充プロジェクトで企画、推進に携わり、その時の夢を実現している。
一貫して変わらないのは、最新テクノロジーに関わっていたい(部外者でいたくない)という強い欲求だ。「正直、自動車それ自体については車種が何かも分からないくらいですが、動力源が何でどうやって動くのか、さまざまな選択肢がある中、今後どれが勝ち残っていくのか、その時にどういうサービスが求められるのか、といったことにものすごく興味があります」と自身の性格を冷静に分析する。
また、トヨタの戦略と共に経験領域がどんどん広がり、モビリティにとどまらず充電インフラや先進的な領域など、新たなテクノロジーを1から学び挑戦できるチャンスがたくさんあることにも、大きな魅力を感じているという。
両氏が現時点でそれぞれが感じているトヨタコネクティッドという会社の強みや、ITエンジニアとしての醍醐(だいご)味は何だろうか。
阿部氏は、自主性が生かされる自由な風土を真っ先に挙げる。部門長を兼任する直属上司と行動を共にする形でさまざまなプロジェクトに顔を出すようになり、その中で新たにできたCCoE(Cloud Center of Excellence)チームに参加することに。入社4カ月目にして、AWS開発基盤と並行して、重要プロジェクトのメンバーとなった。
思わず「いきなり忙しくなり、大変なのでは」と心配になり聞いてみたが、実際は全く逆で、前職で当たり前だった長時間労働が一切なくなり、自身のスキルアップに時間を使う余裕ができたという。「今は自分で手を動かすことがあまりないので、プライベートでアプリを開発するなどして、腕が鈍らないようにしています」と話す。
共通開発プラットフォームは、グループ案件の開発に際して一定の品質やセキュリティを保証するためのもので、特に外部の協力を得て開発を進める際にガバナンスを効かせる上で重要な役割を果たす。阿部氏が担当するAWSについても、新しいサービスや機能が次々にリリースされており、セキュリティにおいては攻撃する側が日々進化しているため、情報収集や検証など不断の取り組みが欠かせない。
「イベント参加もそうですが、会社として新しい技術へのアンテナが高く、業務の中で無理なくキャッチアップできる環境があります」(阿部氏)
“異見”を聞こうとする姿勢も、会社の特長だと阿部氏は述べる。業務で関わるメンバーから「別の業界にいた経験を基に、感想でも何でもいいから遠慮なく言ってほしい」と求められることが多々あるのだという。
実はトヨタコネクティッドがキャリア採用を進める理由は内製化だけではない。さまざまな業界で活躍してきたエンジニアから多様な意見を聞き、多面的に深く考える文化を定着させるためでもある。その根底にあるのは、絶えずカイゼンし続けなければ、100年に一度の変革期を生き延びられないという危機感だ。
長く会社に居る人間が気付いていない問題点や課題を、外部の視点で指摘してほしいという思いは、中途入社してくる人材にとって、萎縮することなく発言できる環境につながっているようだ。
入社4年目の高柳氏は、仕事のスケールや社会への影響力の大きさを挙げる。
独自の「マルチパスウェイ」戦略を打ち出し、BEVだけでなくPHEV(プラグインハイブリッド車)などを含めた多様な選択肢を提供するトヨタ自動車。車両の開発と併せて課題の一つとなっているのが充電インフラの拡充であり、高柳氏は次世代型充電サービスを支えるシステムの開発に携わる。
現在はGMとして、BEV充電サービスに関する企画支援、システム開発、運用までを総合的にハンドリングしている。自らがトップエンジニアとして技術の向上に取り組む一方で、組織マネジメントも担っている。
GMになったのは入社2年目からで、それまでの仕事の成果を認められて昇進を果たしたという。努力や結果を認めて機会を与えてくれる人事制度と、役職が上がるにつれて関わる仕事の範囲が広く深くなること、そしてそれが世の中の“幸せ”につながることは、高柳氏にとって働く原動力だ。
「“テクノロジー大好き人間”の私にとって最大の関心事は、テクノロジーで世の中を良くすることです。この大きな規模感で“誰かのうれしい”や“より良い社会”を実現する仕事に関われることに、至上の喜びを感じています。これもTier1に位置するトヨタコネクティッドだからこそだと思います」(高柳氏)
経歴も業務内容も異なる2人だが、新しい技術に強い関心、興味を持ってトヨタコネクティッドに入社し、現在の業務に高い満足度を示している点は全く同じだ。
阿部氏は「高柳さんのお話を聞いて、共通開発プラットフォームをさまざまなプロジェクトの皆さんに使っていただくことで、私自身もビッグな仕事に関われているのだと気付かされました。プログラミングやデザインは個人でもできますが、これだけ大きなワークロードを支える基盤作りは、個人や中小のSIerにはできません。改めてトヨタコネクティッドに入社してよかったと思います」と語る。
自分のキャリアはモビリティビジネスとは関連がなく役に立ちそうにない……と躊躇(ちゅうちょ)する方が多いかもしれない。だが“異見”をトリガーに改善しようとするトヨタコネクティッドにとって、出身業種は全く関係ない。むしろ異業種で培った視点を求め、自社の変革につなげようとしている。マンネリから脱却して新しい技術に取り組みたい、もっとスケールの大きな仕事をしたいと考えるなら、一考の価値がある企業といえそうだ。
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提供:トヨタコネクティッド株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2024年8月21日