第8回 イーサネット(その3) - イーサネットとリピータ/ブリッジ/スイッチ:詳説 TCP/IPプロトコル(1/4 ページ)
TCP/IPにともに広く普及したイーサネット。今回は、コリジョン・ドメインとブロードキャスト・ドメイン、リピータ、ブリッジ、スイッチについて解説。
イーサネットでは、(ほぼ)同時に送信された信号がケーブル上で衝突を起こすことを利用して、複数のステーション間でのアクセス制御を行っているが、これに関連して「コリジョン・ドメイン」と「ブロードキャスト・ドメイン」という2つの重要な概念がある。
「コリジョン・ドメイン(collision domain)」とは、イーサネットのネットワーク上で衝突信号が伝わる範囲を、「ブロードキャスト・ドメイン(broadcast domain)」とは、ブロードキャストが届く範囲をそれぞれ表す。
コリジョン・ドメインは1つのセグメント、または物理層を中継するリピータ、またはリピータ・ハブによって接続された複数のセグメントで形成される。セグメントを越えた通信でも衝突が起こるため、CSMA/CDによるアクセス制御が必要となり、衝突検出のためにコリジョン・ドメインの最大長が制限される。10BASE5や10BASE2では1つのネットワーク媒体で接続された範囲をセグメントと呼んでいたが、10BASE-T以降はコリジョン・ドメインをセグメントと呼ぶことが多くなっている。
一方、データリンク層で信号の中継を行うブリッジやスイッチング・ハブは、正常なフレームのみを中継して、衝突(を起こしたフレーム、つまり不完全なフレーム)は中継しないため、接続されたセグメントはそれぞれ別々のコリジョン・ドメインを形成することになる。コリジョン・ドメインを越えた通信では衝突が起こらないため、CSMA/CDによるアクセス制御は不要となる。そのため、ネットワーク長の制限を受けることがないので、より大きなネットワークを形成することができる。
リピータやリピータ・ハブ、ブリッジ、スイッチング・ハブはブロードキャストを中継するため、これらで接続したセグメントは単一のブロードキャスト・ドメインを形成する。イーサネットでは、ブロードキャスト・ドメインが1つの「ネットワーク」となる。複数のネットワークを相互接続するためには、ネットワーク層で中継を行う「ルータ」を使う。ルータはブロードキャストを中継せず、別々のブロードキャスト・ドメインを形成する。
コリジョン・ドメインとブロードキャスト・ドメイン
リピータ、リピータ・ハブは複数のセグメントを接続し、単一のコリジョン・ドメインを形成する。ブリッジやスイッチング・ハブは複数のコリジョン・ドメインを接続し、単一のブロードキャスト・ドメインを形成するが、コリジョン・ドメインは別々のままである。イーサネットでは、ブロードキャスト・ドメインが1つのネットワークである。ルータは複数のネットワークを相互接続するが、それぞれのネットワークは別々のブロードキャスト・ドメインとなる。
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