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特集:IP技術者のためのSAN入門ネットワーク・ストレージの新潮流を学ぶ(5/5 ページ)

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Part.5 SANの最新トレンド

 最後に、最新のSAN関連の技術動向について見ていきましょう。

ストレージ仮想化(Storage Virtualization)

 複数のベンダのディスクをネットワーク接続して仮想的な「ストレージ・プール」を作成し、サーバ(あるいはそれを使用するシステム管理者)からストレージの物理構成を隠ぺいするようにしたものです。「ストレージ・バーチャリゼーション」などと呼ばれることもあります。ストレージ仮想化技術を使用することで、ストレージの物理的な構成に依存することなく、柔軟にストレージ空間の割り当てや再配置などを行えるようになります。

 ストレージ仮想化を考えるうえでは、SANのどのレイヤで仮想化を実現するか、つまりどのレイヤからアプローチするかが重要なポイントになります。現在、ストレージ仮想化には、以下のようなアプローチがあります。

  • ストレージ・ベース
  • ホスト・ベース
  • SANアプライアンス/ホスト・ベース(非同期型)
  • SANアプライアンス・ベース(同期型)
  • ファブリック・ベース
図15 複数あるストレージ仮想化のアプローチ(図版をクリックすると拡大表示します)
図15 複数あるストレージ仮想化のアプローチ(図版をクリックすると拡大表示します

 アプローチの仕方によって、対応する製品にも違いが出てきます。ストレージ仮想化のための製品は、最近になり少しずつ出てきていますが、まだどのアプローチが主流になっていくのかははっきりしていません。

IP-SAN

 IP(主にTCP/IP)を使用して、SANを構成する概念の総称です。IP-SANと呼ばれる技術には、以下のようなものがあります。

FCIP

 ファイバ・チャネルのフレームを、TCP/IPパケットにカプセル化して伝送する技術です。この技術を使用することで、ファイバ・チャネルSAN(FC-SAN)の長距離接続が可能になります。

iFCP

 iFCPは、ポート・アドレスとIPアドレスのマッピングを行い、ファイバ・チャネル・フレームを適切なあて先アドレスにルーティングするための、ゲートウェイ間のTCP/IPベースのプロトコルです。iFCPでは、iFCPゲートウェイと呼ばれる装置がこれらの処理を行います。この技術により、ファイバ・チャネル対応のストレージ・デバイスやFC-SANを、IPネットワークに接続することが可能になります。

iSCSI

 SCSIブロックをIPパケットにカプセル化して送る技術です。SCSI技術を長距離に拡張することができるソリューションとして期待されています。しかし、提案段階ベースの仕様では、サーバのCPUでSCSIブロック・アクセスやTCP/IPパケットの処理を行うようになっているため、パフォーマンスの低下が懸念されています。そのため、一部ベンダはTOE(TCP/IP Offload Engine)と呼ばれる専用チップを開発し、これらのオーバーヘッドを軽減しようとしています。対応製品は、現在少しずつ出始めている段階です。

図16 ファイバ・チャネルとiSCSIとの違い
図16 ファイバ・チャネルとiSCSIとの違い

 IP-SANの技術は、まだまだ発展途上のものが多いといえます。ファイバ・チャネル技術との共存も考慮して、今後も引き続き注目していく必要があるでしょう。

SAN・Ed Online

 ブロケード コミュニケーションズ システムズでは、システム管理者がSANに対する理解を深め、SAN導入をより簡単に行えるように「SAN・Ed Online」というWebサイトを開設している。一度ユーザー登録を行うと、各種セミナー/トレーニング資料のダウンロード、簡単なSAN導入のROI(投資対効果)分析、SAN導入事例の閲覧、専門技術者への問い合わせなどを、Web上で行うことが可能だ。ユーザー登録は無料なので、ぜひ活用してほしい。

http://www.saned.ne.jp/


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