「Webサービス」という言葉は、ほとんどのIT技術者が知る単語になりました。しかし、「Webサービスって何?」と聞くとさまざまな答えが返ってきます。これはWebサービスが多くの技術要素で成り立ち、さまざまな使い方があり、適用範囲が広いためです。そこで、この連載では、この広大なWebサービスの世界すべてを知るのではなく、最も基本となる技術を実際にプログラムを作りながら身に付けていただこうと思います。「SOAPとは何か?」「WSDLとは何か?」など、実際に自分のPCで操作し、動かしながら理解していくことにしましょう。
樋口研究室とは?
トレンドの追っかけから、技術検証まで、コンピュータに関するあらゆる分野でただ知的好奇心を満たすためだけに研究に没頭する技術集団。メンバーが運営するホームページ(以下のURL)もある。
http://www.ibm.com/jp/software/websphere/developer/tips/kouza/index.html
今回の目的は「Webサービスのセッション管理を理解する」
連載も第5回になりました。第4回「Webサービスの動作を決めるスコープの謎」までに、パソコンを使いながらSOAPやJavaBeansの仕組みをお話ししてきましたが、連載を読んで「Webサービスって少し難しくてハードルが高いな」とおっしゃられる方もいらっしゃるようです。そういう方は、ぜひこの記事を読むだけでなく、自分のパソコンを用意して、Webサービスを試す環境を作ってみてください。Webサービスを実行する環境の作り方は第1回と第2回に解説しています。冬休みの間を利用して、Webサービスの動きをじっくり自分で確かめてみるのもいいことです。動いたときは、ちょっとした感動が味わえると思います。
さて、今回は前回の続きを進めていきます。前回はスコープの利用方法について解説しましたが、「session」スコープがうまく動きませんでした。この宿題を解析しながらsessionスコープの使い方を学んでいきましょう。
セッション管理はWebブラウザを利用したWebアプリケーションでも重要な技術です。WebアプリケーションではHTTPという「ステートレス」なプロトコルを利用するおかげで、さまざまなテクニックを利用してセッション管理を行っています。ServletやJSPを書いたことのある方であれば、セッション管理技術は1つの勉強テーマであったはずです。
Webサービスにおいても同様なセッション管理が必要です。SOAPをHTTP上で動かしている以上、sessionスコープをうまく動かすためにちょっとした細工が必要になります。今回は、前回の宿題プログラムにおいていくつかの解析をし、この細工を探っていきます。それでは、早速本題に入っていくことにしましょう。
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