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第13回 データグラム通信を実現するUDPプロトコル:基礎から学ぶWindowsネットワーク(4/4 ページ)
データグラム指向のトランスポート層サービスを実現する、高速・軽量なUDPプロトコルの機能を知る。
ここでは、いくつかのUDPパケットの例を見てみよう。
DNS問い合わせパケットの例
DNSは、FQDN名からIPアドレスを求めたり、その逆を行ったりするためのサービスである。インターネットにおける、最もよく使われるUDPサービスだと思われる。プロトコル的には、DNSのqueryコマンド(問い合わせコマンド)を発行すると、DNSサーバがそれに対するanswer応答を返す、というふうにして動作している。それぞれ1つのUDPパケットが送信されるだけという、非常に単純なプロトコルである。
UDPの例―DNS問い合わせパケットの例
DNSサーバとのやりとりはUDPパケットの送受信で行われる。1回の問い合わせにつき、UDPパケットが1往復するだけのシンプルなプロトコルである。
(1)UDPプロトコル。
(2)DNSプロトコル。
(3)「送信元ポート」は2518番。このポート番号は、DNSの問い合わせごとに異なるので、同じマシンから同時に複数のDNS問い合わせが発生しても区別することができる。
(4)「あて先ポート」番号は、DNSサービスの53番。
(5)UDPパケット長。UDPヘッダ+DNS問い合わせパケットのサイズ。
(6)UDPヘッダ部分。8bytesしかない。
NetBIOSブロードキャストの例
NBT(NetBIOS over TCP/IP)のNETBIOS Name Serviceコマンド(UDPのポート137番)では、UDPのブロードキャスト通信を利用している。NetBIOSでは、通信相手を探すためにこのNETBIOS Name Serviceコマンドをブロードキャスト送信しているが、最終的にこれが、UDPのブロードキャスト通信としてネットワーク上に送信されている。ブロードキャストなので、送信先IPアドレスは「192.168.0.255(192.168.0.0/24におけるブロードキャスト・アドレス)」、送信先MACアドレスは「FF-FF-FF-FF-FF-FF(MACアドレスにおけるブロードキャスト・アドレス)」となっている。
UDPの例―NetBIOSブロードキャストの例
NBT(NetBIOS over TCP/IP)のNETBIOS Name Serviceコマンドの例。指定されたNetBIOSサーバ名を検索するために、NetBIOS Name Serviceのqueryコマンドをブロードキャストでネットワーク上へ一斉に送信している。このブロードキャストを受信したマシンのうち、問合せ対象の名前に合致するNetBIOS名を持つマシンは、(ブロードキャストではなく)ユニキャストで応答を返す。こうやって、あるNetBIOS名を持つマシンを調査する。
(1)UDPプロトコル。
(2)DNSプロトコル。
(3)あて先IPアドレスは192.168.0.255(192.168.0.0/24におけるブロードキャスト・アドレス)。
(4)「送信元ポート」番号は137番(NetBIOS Name Service)。あて先ポート番号と同じものが使われている。
(5)「あて先ポート」番号は137番(NetBIOS Name Service)。送信元ポート番号と同じ。
(6)あて先MACアドレスはFF-FF-FF-FF-FF-FF(MACアドレスにおけるブロードキャスト・アドレス)。つまり同じイーサネット上のすべてのマシンをターゲットとしている。
(7)UDPヘッダ部分。
次回からはTCPプロトコルについて解説する。
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