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ギガビット・イーサネット・スイッチの選び方スイッチング・ハブ導入の勘どころ(後編)(1/2 ページ)

スイッチング・ハブ導入の勘どころ「前編:まずは、スイッチング・ハブの基本機能を知ろう」では、スイッチング・ハブを導入する際に必要となる基礎知識を解説した。後編では、ギガビット・クラスの機能に加え、スイッチング・ハブの選択のコツを紹介する。

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スイッチング・ハブの機能(ギガビットクラス)

GBIC(Giga-Bit Interface Converter)

 ギガビット以上のイーサネット規格をサポートするスイッチング・ハブでよく見られるのが、「GBIC」というインターフェイス・モジュールだ。ギガビット・イーサネットには1000BASE-SX/LX/Tなどの複数のインターフェイスが存在するが、GBICでその違いを吸収することで、インターフェイスの構成を変更したり、既存ケーブリングのままスイッチング・ハブなどのアップグレードが可能になる。

全二重通信と半二重通信

 イーサネットでは通常、上りと下りの通信を1本の回線でシェアしており、10BASE-Tの10 Mbit/sという数字は、実際にはすべての通信を含んだ最大値となっている。この通信方式を「半二重(Half Duplex)通信」と呼んでいる。

 これに対し「全二重(Full Duplex)通信」では、1本の回線で上りと下り用に2つの経路を確保することで、実質的な帯域を10BASE-Tのケースで最大20Mbpsまで引き上げることが可能になっている。

 全二重通信の条件は、対向のポートが両方とも全二重通信をサポートしていることだが、現在ではほぼすべてのスイッチング・ハブやNIC(Network Interface Card)が全二重通信をサポートしており、意識せずとも全二重通信を利用している形になる。なお、全二重通信にはカテゴリ5以上のUTPケーブルが必要になる。

トランキング(Trunking)

 スパニング・ツリーの存在により、スイッチ間は1本のケーブル同士でしか接続できないため、トラフィックの集中するバックボーンやサーバ・ファームなどの場所では帯域が逼迫しがちである。10ギガビット・イーサネット(10GbE)のような高速規格を採用するのも手だが、価格単価が10倍以上に跳ね上がるため、あまり現実的な解になり得ないことが多い。

 そこでスパニング・ツリーとは関係なしに、スイッチング・ハブ間を複数のケーブルで多重接続して、通信帯域を拡大する手段を提供しているメーカーも存在する。この手法を「トランキング」と呼び、例えば4つの100BASE-TXを使ってスイッチング・ハブ間をトランキングした場合、実質的に800Mbpsの帯域が得られることになる(全二重通信時)。

 トランキングは帯域増強の用途のほか、特定の回線が断線したりした場合など、残りの回線を使って通信を継続できるため、耐障害用途としても使われることがある。以前まで、トランキングは同じメーカーの機器同士でのみ利用可能という独自技術のケースが多かったが、現在ではトランキングの標準(IEEE 802.3ad)も登場してきている。

ジャンボ・フレーム(Jumbo Frame)

 ギガビット・イーサネット(1GbE)ではフレームの転送速度が速く、本来規格化されている最大約1500バイトのフレーム・サイズでは転送が細切れになり過ぎてしまい、フレーム処理に掛かるオーバーヘッドにより、実質的な帯域の利用効率が30%近くまで落ちてしまうといわれている。

 そこで、フレーム・サイズを最大で約8000バイトまで拡張することで、転送効率をアップさせようとしたのが「ジャンボ・フレーム」だ。ジャンボ・フレームにより、利用効率は最大で70〜80%アップするともいわれている。

 ジャンボ・フレームは、そのフレームが通過するスイッチング・ハブがすべて対応している必要があるため、巨大データのレプリケーションが行われているようなサーバ・ファームやストレージ周辺など、バックエンド向けに導入するのがベストだろう。

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