プロとしてのバックアップ/リカバリ基礎知識:Oracleバックアップ/リカバリ講座(1)(1/4 ページ)
本記事では、Oracleデータベースのバックアップ/リストア/リカバリについて、そのアーキテクチャ、代表的なバックアップ手法、論理/物理バックアップ、RMANといった全般的な内容を解説していく。(編集部)
主な内容
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▼バックアップを取るだけでは不完全
▼バックアップの主な役割
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▼バックアップ計画の立て方
▼バックアップ要件
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▼バックアップ対象を決定する
▼いつバックアップを取得するのかを決定する
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▼バックアップ方法を決定する
▼バックアップの保持期間と取得先媒体を決定する
今回から始まる本連載では、Oracleデータベースのバックアップ/リカバリについて説明します。バックアップ/リカバリの重要性、そして実際の実行方法を理解していただければ幸いです。第1回では、まず概要を理解していただくため、Oracleデータベースに限定せずに、ごく一般的な例を挙げて説明します。
バックアップを取るだけでは不完全
もし、皆さんがいま使っているパソコンのハードディスクが、急に壊れてしまったとしたら、どうしますか? 「仕事が何もできなくなってしまう」「大切な写真、映像がなくなってしまう」「友人のメールアドレスが分からなくなってしまう」……など、泣くに泣けない方も多いのではないでしょうか。
もし、ハードディスクが壊れる前に、大切なデータをバックアップしておけば、こんなことにはならなかったでしょう。もちろんハードディスクの障害だけでなく、そのほかのさまざまな障害によっても大切なデータがなくなってしまう可能性があります。そのため、このような「万が一」に対するデータの保護を目的にデータをバックアップしておき、別の場所に保存しておくことが重要なのです。
では、データのバックアップさえ取得しておけば、万全でしょうか。残念ながら、それだけでは万全とはいえません。その取得しておいたバックアップは、いざというときに元通りに戻せるのでしょうか? 間違って削除してしまったデータは、きちんと元通りになるのでしょうか? データのバックアップを定期的に取得し、万が一の障害に備えている方もいらっしゃると思いますが、そのバックアップを使ってデータを元通りに復旧できるかを確認している方は少ないようです。
取得しておいたバックアップから、必要なデータをリストア注1し、元通りに利用できるようリカバリ注2できなければ、いくらバックアップを取得しておいても何の意味もありません。バックアップすべきデータが不足していたため、もしくはバックアップ方法が適切ではなかったために、すべてのデータを元通りに復旧できなかったというのは、よく聞く話です。
注1:リストア
取得しておいたバックアップから、データを物理的に復元すること。
注2:リカバリ
リストアしたデータに対して、その後の変更内容を反映させ最新の状態(障害発生直前の状態)に復旧すること。
いつの時点のデータがバックアップされているのか、必要なデータが漏れなく含まれているのか、そしてそれをどのようにしたら正常に元に戻すことができるのか、ということをきちんと確認しておくことがとても重要です。
バックアップの主な役割
はじめに、バックアップの役割について明確にしておきましょう。バックアップの役割は、主に以下の2つといえます。
- 重要なデータを損失から守る(データ保護)
- 過去データを保存する
1つ目は、必要なデータを損失することがないように取得するもので、最も一般的なものです。バックアップを取得することで実現できますが、単純に取得すればよいというものではありません。検討すべき項目については、この後説明します。
2つ目は、使われなくなったデータなど、過去のデータを保存する目的で行うバックアップです。企業が取り扱うデータには、法律などによって一定期間保持することが決められているものがあります。また、データ量が膨大であった場合、古いデータを別の媒体にバックアップしておき、過去データを削除することがあります。このようなシステムでは、長期間保存するためにバックアップを取得することもあります。
では、バックアップの主な役割を理解していただいたと思いますので、これ以降ではバックアップを取得するための計画の立て方と、その際に検討すべきポイントについて説明していきます。
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