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プロとしてのバックアップ/リカバリ基礎知識Oracleバックアップ/リカバリ講座(1)(2/4 ページ)

本記事では、Oracleデータベースのバックアップ/リストア/リカバリについて、そのアーキテクチャ、代表的なバックアップ手法、論理/物理バックアップ、RMANといった全般的な内容を解説していく。(編集部)

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バックアップ計画の立て方

 これまで説明してきたように、バックアップは取得するだけでなく、必要なデータを決められた時間内に復旧できるように計画し、実行すること、そしてデータがきちんと保護されていることが非常に重要です。

 万が一、企業システムで障害が発生した場合、システム停止によって被る損害額は莫大なものになります。例えば、Web上のショッピングモールを考えてみてください。復旧に長時間かかってしまうと、その間のシステム停止時間に比例し、損害が拡大することは容易に想像できます。そのような場合に備え、企業システムでは、障害が発生してから復旧するまでの許容時間が決められていることが一般的です。

 ただ、データのバックアップを取得しておき、最終的に元通りに戻せば済むというものではない点に注意してください。ここでは、企業システムにおいてそれらを実現するために必要なバックアップ計画の立て方と、その際に検討すべきバックアップ要件について説明します。

バックアップ要件

 ひとくちにシステムといっても、さまざまな種類があり、当然求められる要件も異なってきます。そのため、皆さんの携わっているシステムに適したバックアップ計画を立てる必要があります。それでは、どのようにバックアップ計画を立てればよいのでしょうか? 実はシステムが異なっていても、計画を立てる際に踏まなければならないステップや、検討すべきポイントは大きく変わらないのです。

 バックアップ要件を検討する前に、まず障害から復旧を行う際に求められる条件を明確にしておく必要があります。

  1. 障害からの復旧にどれだけの時間をかけられるのか
  2. どの時点のデータに復旧すればよいのか

 上記2つの前提条件が明確でない場合、この後のバックアップ要件を決定することができませんので、重要なポイントであることを覚えておいてください。なお、障害からの復旧時間をバックアップ方法だけで短くすることは難しいですが、今回はバックアップに限った説明をします。

 では、身近な例として自宅で使用するパソコンのバックアップ要件を考えてみましょう。初めにどのような障害までを想定してバックアップを取得するかを考えます。ハードディスクの障害だけを考えるのであれば、外付けハードディスクを用意したり、DVDなどの別媒体へデータをバックアップしたりすれば済みます。しかし、盗難や災害までを想定すると、バックアップしたデータを同じ自宅内に保管していては、この要件を満たすことができません。このように、どの範囲までの障害を考慮するかによってバックアップ方法や保存先も変わってくるのです。

 続いて、どの時点のデータに復旧すればよいかを検討してみます。企業システムでは、障害発生直前まで復旧する場合が多いです。しかし、個人で利用しているパソコンにあるデータであれば、バックアップ時点で十分と考えることができます。また、いくら障害発生直前まで復旧したいといっても、利用しているアプリケーションが稼働中でもバックアップの取得ができ、かつ障害発生直前まで復旧できる機能がなければ対応することはできません。

 そのほかの要件として、バックアップを取得する時間もあります。自宅のパソコンであれば自分が使用しないときにすべてのアプリケーションを停止し、バックアップを取得する時間を確保できます。

 また、バックアップするデータ量が非常に多い場合、毎回フルバックアップを取得していては時間がかかり過ぎることもあります。そのときには、変更データのみのバックアップを検討する必要があります。例えば、写真、映像などのデータであれば、常に更新されるわけではありません。一度すべてのデータをバックアップしたら、それ以降は追加されたデータのみをバックアップすることで実現できます。

 表1に上記内容を基に一般的なバックアップ要件例をまとめてみましたので、参考にしてみてください。

バックアップ対象とサイズ ソフトウェア構成ファイル、データ
バックアップ取得時間帯 アプリケーションを停止できる/できない
_時_分から_時_分まで
バックアップ方法 フルバックアップ
バックアップ世代数と取得媒体 _世代
バックアップにかけられる費用 _円
表1 バックアップ要件例

 表1の最後にも記述しましたが、バックアップに掛けられる費用によって実現できる方法が大きく左右されますので、非常に重要な要件の1つになります。それでは、企業システムにおける各バックアップ要件について、もう少し詳しく説明していきます。

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